239 コルト
こんにちは。
うーん。
今、自分用のコートを作っているのですが。と言うのも、新しく作ったパターンのコートを納品して手放してしまう前に、どんな風に作っていたのかの見本として手元に置きたいのです。
見本が無いと組み立て説明書がある訳じゃないから、細かなところをその時の気分で作ってしまい、同じものにならないので。
せっかく自分用に作るんだったらと、サーミ族のコルトをイメージしたデザインにしようと思って。
サーミ族はフィンランドの北部に住んでいる民族で、ディズニーの大ヒット氷映画でヒーローのモデルになった民族です。もともとは定住ではなく、フィンランド・ノルウェイ・ロシアあたりの土地をトナカイの放牧に回っていたらしいのですが……そこまで私も詳しくない。定住する地を持たずに、国をまたいでの定期的移動するという生き方が、今の世界の中では難しいみたいですね。戸籍や税金など、その国の法律などの関係で。
で、そのサーミ族の民族衣装っぽい物を作っているのですが、なんか、思いのほかそれっぽい感じになってしまっている気がして……これ、大丈夫だろうか?とちょっとビクビクしてきました。
というのも、先日のC国でコスプレーヤーが浴衣を着ていて注意を受けた話や、アイヌの模様の浴衣を作る事への歴史的背景を考慮した中止などを思ってしまうから。
ハイブランドでも色んな民族の伝統的なデザインをヒントにする事はよくあるし、もちろんコルトはとてもかわいいデザインなので、そう言う事もあると思うのだけど。それを他民族がエッセンスを越えた(とサーミ側が思うかもしれない)デザインを着る事をどう思うんだろう。
日本人の私的には、べつにどの国の人が着物を着ても「めっちゃいいやん!」と思うけど。実際にフィンランド人の友達が彼女をつれて日本に来た時は浴衣を着せて祇園祭に行ったし。
サーミはアイヌ同様に差別を受けた歴史があるからなぁとか、変に考えを巡らせてしまう。もちろん和人がサーミを差別していたわけではないですが。
でもコルトっぽいだけでコルトでは無いからなぁ。フエルトで作っている訳でもないし、模様は刺繍しているのではなくチロリアンテープを縫い付けているだけだし……模様も違うし。しかしなぁ、思いのほかコルトだよなぁ……うーん……。と、堂々巡り。
出来上がったら一度フィンランドの友達に見せて、嫌な思いをしないか聞いてみようかなぁ……。彼はサーミ族ではないけれど、北の出身だと言っていたし、サーミの話も前にしてくれたから私よりは近い存在だろう。
民族って国民とは別の大きな括りですね。もしかしたら国民よりも所属している感覚が強いかもしれない。そういうグループの中でだけで共有している言葉にすることは難しい感覚って、すごくナイーブな問題だなぁと思います。私も含めて。みんな宇宙からしたら地球に暮らしている種族なんだけどなぁ。巨人のお話のように、もう一個外の括りの敵が出て来たら、そういう感覚が芽生えるんでしょうね。
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