237 虫の声

 こんにちは。


 最近夜は、窓を開けると涼しい風が入って来る。涼しい風が通るってなんて気持ちの良い事なんだろうなぁ~と。少し湿度のある風が良いんですよねぇ。ひんやりしていて。

 同時に虫の声がずっと聞こえている。あれは何て言う虫なんだろう。コオロギかな? 虫の鳴き声と虫の名前と姿はあまり結びついてはいない。三つそろって分かるのはコオロギと鈴虫くらいだろうか。


 最近、虫の声を聴けるのは、日本人とポリネシア人だけだという話を聞いたのだけど。こんなにはっきりと聞き取れるものを本当に認識できないのだろうか?と思ってしまう。

 鈴虫寺に行くと禅宗の教えからお茶を出しおもてなしをして頂いて、法話を聞く時間があるのだけど、そのお部屋に入るともう鈴虫がうるさいほど鳴いている。「鳴く」というと口から声を発する事になるのだけど、実際は翅を擦り合わせて音を出しているので「鳴く」という表現は違うのだろうけれど、虫の「声」を聴く、とか、虫が「鳴く」と昔からいうのだから、日本人は昔からこの虫の羽音にいろんなことを感じてきたんだろう。なので鈴虫寺は日本人ばかりかと思うと、そうでも無くて。外国の方も結構いらっしゃっていた。彼らはどのように認識しているのだろう。


 虫の声が日本人にだけ聞こえるというメカニズムは、脳のどこで虫の声を処理しているかによるらしいのだけど、日本人は言語脳であり、論理的思考・計算能力をつかさどる左脳で聞いているらしい。そしてそれ以外の国の人々は音楽・直感・イメージをつかさどる右脳で聞いている。なので虫の声を雑音として処理さるので気に留めないのだそうだ。

 虫が鳴いている最中に「この、今聞えている音です」と説明しても、すぐには聞こえず、数日で聞こえるようになる人もいるそうだけど、ずっと聞こえないままの人もいるとか。そして聞こえたとしても、興味が無いらしい。

 

 物語などで虫やカエルの声が止んで、無音により異変を感じさせる演出とか外国では通用しないのか……。虫の声が明るく聞こえたり、寂しそうに聞こえたり、虫の声にイライラしたりして自分の精神状態を感じ取ったり。鳴く虫の声の違いで季節の移り変わりを感じたり。日本人はけっこう虫の声にはお世話になっているなぁ。

 その他にも日本人は、波・風・雨・水の流れなど自然界も左脳で聞いているそうで。水の表現だけでも、ザーザー・シトシト・ゴーゴー・とうとう・さらさら・ぴちゃぴちゃ・ちゃぷちゃぷ・ばしゃばしゃとか色々あるもんなぁ。

 虫も種類によって色んな音・声が当てはめられているし。

 そういうば日本には桃が川を流れる擬音までもがあるもんな。「どんぶらこ」(笑)


 そんな違いは何処で生じるのかと言うと、母国語が母音を中心にした言語であるか、子音を中心にした言語であるのかの違いらしいのだけれど、日本とポリネシアは母国語タイプらしくて。それにより、音を聞き取る脳が違ってしまう。


 前から思っているけれど、耳が良いって「聞こえている」という事よりも「脳が処理できている」という事の方が大きいと思っている。

 聞き慣れない言葉や、意味が分からない事を言われると、脳が処理できないから聞き返してしまう。

 歳をとって耳が遠くなって聞き取れない事ももちろんあれけれど、処理する脳が付いて行かないという事も大きいのだろうなと。

 ちょっと別の話。育った地域や性差や年齢差、職業差とかもあるのかもしれないけれど、会話をしていて、自分が口を挟まなくてもいい話や、例えば隣の席などで話されている会話などを無意識に聞き取って脳で処理していたり、処理する事を止めていたり、そういう事も耳の良し悪しでは無くて、脳の処理問題。

 昔、関西人は自分が入らなくても良い会話も、ずっと聞き続ているのだなぁと思った事かあった。何の時だったかなぁ……みんなで話していた時だったかなぁ。こっちで話していて、すぐにあっちの話には入れたり。お笑い芸人さんなどはもっと会話に関しての聴く脳が優れていると思う。いい感じで突っ込んだり例えたりしないといけないし、話の流れを聞いて理解している。……ずっと脳がフル稼働しているから疲れるのだけど、無意識にやっているからオフが出来ないんだよなぁ。


 音楽的な意味での「耳が良い」はまた意味が違うとは思うけれど。音程の違いが分かるとか。一番は、音が塊で聞こえなくて、楽器別や一音ずつバラバラに聞こえたりする事が一番「耳が良い」状態だと思うけれど。団子で聞こえない状態。


 ほんと「聴く」と「脳」の関係って面白いなぁと思った一件でした。


 

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