169 老舗の和菓子屋
こんにちは。
いやー、舐めてた。ほんと、舐めてました。
今日は関東の知り合いの作家さんが、私がお世話なっている雑貨屋さんで個展をされていて。在廊もされるという事でお会いしに行ってきたのですが。その手土産にと、老舗和菓子屋さんの大福を買って行こうと寄り道をしたのです。
もともと私たち地元民はそのお餅屋さんの大福やおはぎが大好き。節分などの行事食のお餅や団子はそこで買ったものを食べたいのが市民の心です。昔から大人気で並ぶのは当たり前。だからもちろん並ぶつもりで足を伸ばしたのですが、未体験ゾーンまで列が伸びてました……
以前は店前の狭い歩道に何とか収まって列は蛇行していたのですが、今日は店前の横断歩道を渡って他のご商売の邪魔にならなさそうな歩道にまた蛇行の列。店前の列が空けば五人ずつそちらへ送るという寸法で。
人気がすごい事は知っていましたが。ほんと、ここまでとは。まぁね、仕方ないんです。おいしいんですよ。本物のつきたてのお餅にほんのり塩気の効いた赤エンドウがたっぷりと混ざっていて。どこを食べたって赤エンドウを頬張れる。中のこしあんも外の塩気に気が付いてから分かるくらいの仄かな甘さで、ほとんど飲み物。スルスルと食べてしまう一品。
地元の人たがこっそりと楽しんでいたのに、今は地元の人以外にもばれてしまったんですねぇ。
ここの豆大福が好きすぎて、
列は長くとも、買わないわけにはいかないし。作家さんは私の地元を観光する時間も無く帰ってしまわれますからお土産くらい、と思うわけで。
でも流石、列を並ばせる従業員さん方の言葉が、男性でも言葉の柔らかい土地柄もあって、しかも今日は曇り過ぎず晴れ過ぎず。風が吹けば涼しく。並んでいる間、梅雨の合間の夏の風情を心地よく感じながら過ごす事が出来ました。
心が穏やかでいるというのは、本当に大切なことですねぇ。
今月は六月。水無月の季節です。最近は関東でも売っているお店もあるそうですが、私の地元では昔から水無月を食べます。夏本番までに精を付けて無病息災というやつです。(本当は月末に食べます)
水無月はういろうの上にあずきを乗せて固めてある三角形の和菓子ですが、ういろうって土地によって味や歯切れが違うんですよね、色々食べたけれど。水無月のういろうは、歯切れが良いのにもっちり。あんまりコッチリカッチリはしていない。ねっとりもしていない。不思議な食感。
ってまた食レポしてしまってますが……。まぁ水無月も地元特有だし季節ものだからと、大福と水無月を買う事にしました。
いつもここで購入する時、オーダーをどう伝えたらお菓子を用意しやすいだろう?と考えてしまいます。大抵私は家用と、その場で食べる用(←)とお土産用を買うし、詰めてほしいお餅やお饅頭がバラバラ。そして、そのオーダーをお店の方は、聞きながら用意するのではなく、一人一人のオーダーを全て聞き終えてから暗記して用意するのです。
きっと頭の中に箱か何か用意してあって、「豆餅が四つと……」とか言うとポンポンっと大福が入って行くのかもしれない。けれど、水無月だけで四種類。ほかの商品もある。秋なんておはぎの種類も大福の種類も多いのです。だから、いつも申し訳ないから少しでも覚えやすく、わかりやすいように伝えようと少し緊張する。
「いらっしゃいませ、ご注文どうされますか?」
「えーっと、三つ作って欲しいのですが……一つは豆餅が二つ。二つ目は豆餅が一つと水無月が一つ……」
「水無月は……(色々ありまして、どれにされますか?)」
「あぁ、一番普通|(プレーン)ので。で、三つめは豆餅四つと、水無月の普通のが二つ、です」と指で個数を示しながら。マスクをしていますからね。聞き取りにくいだろうし。
「かしこまりました。作ってまいりますのでお待ちください。ご確認していただきますね」
と言うとにっこりして、他の従業員さんもテンヤワンヤしている中に入って行き、パックに餅を詰めてくれます。で、用意してくださったものを確認すると二つ目のパックに豆餅×2と水無月×1。「あぁぁぁ、ごめんなさい、1個ずつでいいんです……」と。
もしかしたら私が間違えて伝えてしまったのかもしれない。でもきっとアレだ。私が「二つ目|(のパック)は」と言ってしまったからだと思う。言葉を選び間違えた。一つは、とか次は、と言えば間違えなかったかもしれないし、一個ずつと言えば良かったかもしれないのに。言葉は印象の方が強く残りますからね。
お会計を終えて「私が間違ってしまったのかもしれません、ごめんなさい」と伝えるとすごく良い笑顔で「いいえ、大丈夫ですよ」と。
沢山いる売り子さんの中、前からこの子に当たる事が多くて。いつも良い接客をしてくれる。だから、このお店に並んでも買いたくなるんだよなぁ~と思う。これも込みで老舗の味です。本当は愚痴も言いたくなるほど忙しいハズなのにね。嫌な客に当たることもあるだろうし。有り難い。
ついでに駅で、これまた地元の人たちが愛しているパンを一つ購入して一時間半の道のりを電車で向かいました。
作家さんが、観光ナイズ獲れすぎていない「THEお土産」よりも、地元に愛されるソウルフードみたいなものが好きなのは何となく知っていたので、喜んでいただけました。良かった。
あー、おいしい物を食べると、優しい店員さんに出会うと、心が穏やかになるなぁ。
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