第286話 味付け

 おくさんが玉子焼きを作っている。


「ねぇ。しょっぱいのと甘いのどっちが好き?」

「僕は、すき焼きの割下で作るのが好きだったから甘い派になるのかな?」

「ふーん」


おくさん急に素っ気無い。


「どうかしたの?」

「何故お前は甘い玉子焼きを好むくせに目玉焼きには塩胡椒なんだ? ん?」

「料理が違うし……」


砂糖かけられた目玉焼きが出て来ないだけ、今日のおくさんは慈悲深い。

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