第247話 蚊

 押し入れを整理していると蚊取り線香が出て来た。


「ここ数年、まともに使ってないかも」


おくさんは多分渦巻きを目でなぞっている。


「飛んでないからね。暑過ぎて蚊もまともに活動出来ないらしい」


それを聞いたおくさん、しばし考えて、


「ヤバいな」

「ヤバい暑さだね」

「つまり暑さに屈した個体は繁殖出来ずに淘汰され、今後現れる連中は暑さを克服したバイオ蚊ということに……」

「バイオではない」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る