第114話 たぬきケーキ

 初めて二人で彼女の誕生日を祝った時のこと。


「誕生日ケーキ何がいい?」

「たぬきケーキ」

「あぁ、あのたぬき型の……」

「たぬき型はしてない」

「違うの!?」

「昔誕生日に食べたんだけど、すごい美味しかった。また食べたい」

「……たぬきで出来てるの?」

「いや、上にたぬきのマジパンが乗ってて」

「いやぁ安心した。で、結局何ケーキなの」

「さぁ?」

「なんでマジパンは覚えてて本体は覚えてないんだ……」


後日、普通にチョコバターケーキだと判明した。忘れるか普通?

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