第53話 苦手

 おくさんは割とゴキでも蜂でも恐れない。


しかしそんなおくさんにも苦手なものがないわけではない。



 ある日曜日、家でのんびりしている僕に散髪へ出掛けたおくさんからラインが。


『助けて』

『玄関に蛾が止まってる』

『玄関開けられない』

『おうち入れない』

『助けて』


おくさんは「この世から一種族滅亡させられるなら?」と聞かれたら「蛾!」と即答するくらい蛾が苦手だ。

そんな質問されることはないと思うけど。


とにかくおくさんが門前払いされてる人みたいになっているのも可哀想なので、僕が家の中から玄関を開けると、


「今ので蛾が飛んだらどうする!」


めっちゃ怒られた。


どうしろって言うのさ……。

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