2021 秋
水曜日 読書の秋とは言うけれど。
もう、秋になってしまった。
合唱コンクールは会場の都合で中止。
音楽室の窓からのぞけば、キンモクセイの香りと黄色が私を支配した。
次の授業に遅れてはいけない・・・急いでファイルと筆箱と教科書を抱えて、音楽室をでた。
昼休みになっても、私は図書室には行かなくなっていた。
二日後に、テストがある・・・そう考えただけで、期待と共に身体中をせわしなく駆け巡る
月曜。
テストが帰ってきた。私の手の元に・・・重みはなかった。
理科の結果は 44 点。
まけた。
くだらないことでミスしちまったなんて、そんな簡単な気持ちじゃなかった。
もう自分がどうかなってしまいそうなほど、私は憂い、しぼんでいた。
正門までの急な下り坂を一人で降りた。
消えてしまいたかった。
こんな点数のとき、親は褒めてくれた。みんなもすごいと言ってくれた。
そんな状況に、呑まれてしまうのが怖かった。
今年の一年は点数が低すぎると先生たちはテストを、一回目よりもものすごく簡単にしてくれている。
なのに5コしか書いていないだの、10 点とれたら良いほうだよねだの。
正直ショックだった。
努力しているのはごく一部で、自分はそんなに上ではないことを知った。
きっと今 30 点未満の人も、10 点台の人も、努力すればもっと、もっと、もっともっと、もっともっともっとのびる。
そんな中でどれだけ私が取り立てられていたか、量りしれないほどの点数を、今 23 点や 9点で笑っている人は墓に埋めていた。
帰ったあと、英語の宿題をしようとノートを取り出す。
理科だけでなく、英語もボロ敗けだった。
テストにも、他人の点数にも。
勝手にライバル視しているミヨは学級委員で、点数もほぼ満点の47。
大きく、息をすった。
ミヨの英語力には完敗だ。
それだけでなく、他の全てのことにも。
きちんと係の仕事もこなす。
教師、生徒、両親。
どのような人からも信頼をうち取る。
もちろん、私からも。
なんとなく、理由は言えないけれど羨ましい。
なんでもできるあの子が憎い。
こんなのは理不尽だとわかっているし、わかって・・・・る。
別に、きらってるわけじゃない!
0.3 のシャープペンの先っぽが机に刺さり、同時に鈍い音がした。
折れたシャー芯が宙を舞う。
わけのわからない怒りに、開きかけていたノートを閉じた。
自分の気持ちをコノちゃんに話そうという気持ちなど、微塵もなかった。
気怠さ冒険記 トてら @totetotetotete
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