12話 再会


「あぁ、生きてるよ?ていうか君本当に動かない方が……」


「殺してやる!殺してえ!殺す!」


「こりゃ、聞く耳持たずだね!?」


 フェイルは悪魔でも自分の命より、ギャレスの命を案じて忠告をしているのだが、今のギャレスにそんな言葉は届かない。

 勿論フェイルの言葉が聞こえていないのだから、警察の脅しなど聞こえている筈がないだろう。

 じわじわとギャレスがフェイルに近付く中、いよいよ警察側も覚悟を迫られた。

 普段なら撃たない────しかし、目の前の人間は明らかに異端である。

 人格の移り変わり、それに伴う言動の変化。

 それらが警官達の本能に『撃て』と忠告を促していた。

 そしてその瞬間が訪れようとする────


「最後の忠告だ!後五歩進むのなら撃つ!」


 一人の警官が覚悟を決め、叫んだ。

 その覚悟は叫びを通じて他の警官にも伝染し、フェイルを囲む警官達は普段なら絶対に味わうことの無い緊張感に襲われた。

 本来なら撃ちたくない所ではあるが、ギャレスはやはり止まらない。

 一歩、また一歩と歩みを進めそして────その時は訪れる。


 

 ギャレスと警官は同時に動きを止めたのだった。


 警官が動きを止めた理由はギャレスが原因ではない。

 その原因とは、目の前に現れた一人の男であった。

 ギャレスもまた、その男が原因で一旦足を止めた。

 目の前に現れた男はフェイルの横に立ち、同時に警官に対して銃を下ろすようにと手で示していた。


 そんな腕を上げたままの男はフェイルに話掛ける。


「久しぶりだね、フェイル」


「やあ、ハルネ。約百年振りぐらい?」

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