314_恐竜の好物は何だったのか?【ドラゴンの資料に】 #動物 #食べ物

「フランスのモラリストであるジョセフ・ジュベールは著書の『パンセ』にて『知識がなくて想像力を持っている人間は、足がないのに翼を持っているようなものだ』と記しています。足がないと困るのでしょうか? 足は飾りではありませんか」


「やっほー、人生よくなってる読者様。いつもは使える知識をお届けする世界一の美女サクラです! ですが、今回は『恐竜の好物は何だったのか?【ドラゴンの資料に】』のお話をしますよ。役に立つかは不明です」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は恐竜を見たことがありますか?」


「おそらく大半の読者様が見たことがないでしょう。私も見たことがありません」


「そんな古代に絶滅した恐竜ですが、色々な研究が行われており、様々なことが判明しています」


「たとえば、食べ物の好き嫌いです」


「今回はいつもと少し違ったテイストのお話をお届けしたいと思います。ファンタジー小説でドラゴンを描く際の参考にしてもらえれば、幸いです」


「恐竜の食の好みを調べてくれたのは、イングランドのレスター大学です」


「実は恐竜のエサというのはあまり分かっていません。胃の中に内容物の化石でも残っていれば、解析できます。しかし、ほとんどの化石で胃の内容物が残っていることはありません」


「ですので、恐竜のエサというのは、ほとんど解明されていません。未知のままだったのです」


「一応、頭蓋骨の化石から、現存する爬虫類の頭蓋骨と比較して、『こんなの食べてただろ』という予想はありましたが、予想の域を出ません。確たる証拠はありませんでした」


「ですが、安心してください。恐竜の化石でも、ある部分を調べれば、エサが判明するのです」


「研究者は恐竜の化石の中でも、歯の化石を解析して、食の好みにアプローチしました」


「どうして、歯を解析したのかと言いますと、歯に食べた跡が残るからです」


「読者様も食べ物を噛んだら、食べ物に歯形がついた経験があるでしょう」


「実は、食べ物に歯形が残るように、歯にも食べ物の跡が残るのです。食べ物と歯形の関係は一方通行じゃないのです。双方向の関係だったのです」


「跡が残るのは本当に小さくて、マイクロメートルの世界にしか痕跡はありませんが、技術の進歩によって調べるのが可能になったのです」


「とまあ、滅茶苦茶大変ですが、歯を調べたら恐竜が何を食べていたのか判明するのです。そこで、研究者は恐竜の中でも翼竜を対象に歯を調べました」


「ちなみに、翼竜が生息していたのは2億1000万年~6600万年前の中生代ですよ。あまりに昔すぎて、ちょっと想像できませんね」


「さて、読者様は恐竜が何を食べていたと思いますか?」


「映画では人を食べたりしますので、肉食なのでしょうか?」


「草食の恐竜もいますので、葉っぱを食べていたのでしょうか?」


「それとも、別のエサが好物だったのでしょうか?」


「読者様は予想は当たるのでしょうか?」


「歯の跡を解析した結果、翼竜が食べていたのは…………色々なものでした!」


「どうやら、翼竜でも種によって、食べているものが違うことが判明しました」


「読者様はディモルフォドンという恐竜を知っていますか?」


「ディモルフォドンは、全長が1メートル、最大翼開帳は1.4メートルの翼竜です。翼竜の中では翼が小さい種です」


「元々は、歯の形状から魚を食べていると考えられてきました」


「ですが、歯の解析によって、脊椎動物を食べていたことが判明しました」


「普通にお肉を食べていたみたいです」


「頭蓋骨の形状から予想するのは難しかったみたいですね」


「次に、ランフォリンクスという翼竜は知っていますか?」


「ランフォリンクスは、靭帯で強化された長い尻尾を持つ翼竜です」


「他に、顎を閉じた時に、歯がお互いに噛み合う形状になっていることから、魚を食べていたと考えられています」


「で、歯を解析した結果、魚を食べていることが判明しました」


「予想が当たる結果となりました」


「歯の形状に着目した研究者も鼻が高いでしょう」


「続いて、アウストリアダクティルスという翼竜に参りましょう」


「アウストリアダクティルスは、細長い頭骨を持っており、ニワトリのようにトサカを持つ翼竜です」


「歯をたくさん持っていて、上顎には大小含めると74本の歯があった考えられています。下顎にも歯があるみたいですが、詳細は不明みたいです」


「そんな歯が多いアウストリアダクティルスが何を食べていたのかと言いますと、堅い無脊椎動物です」


「具体的には、甲虫や甲殻類です」


「たくさんの歯で、堅い殻を砕いていたのかもしれません」


「次に、イスティオダクティルスです」


「イスティオダクティルスは大型の翼竜で、翼開帳は4.5メートルにも及びました」


「頭骨の大きさも45センチで、大きな頭を持っていました」


「イスティオダクティルスは歯の形がカミソリのようになっており、魚や肉を食べていると考えられていました」


「そして、歯の解析でも同じ結果となりました」


「イスティオダクティルスは魚や肉を食べていることが判明しました」


「歯を解析すれば、本当にたくさんのことが知れます」


「その結果、途中で食の好みが変わっている種がいることも明らかになりました。グルメな翼竜もいたものです」


「その最たる例が、プテロダクティルスです」


「プテロダクティルスは、現在は最古の翼手竜類とされる種です」


「大きさは種によって変わりますが、最小種なら翼開帳が25センチほど、最大種なら翼開帳は2.5メートルと推定されています」


「胃の内容物から、魚や昆虫を食べていたと考えられています。また、翼の形からエサを取るときに泳いでいた可能性があります」


「そして、歯の解析の結果、元々は無脊椎動物を食べていたが、段々と魚や肉を食べるようにシフトしたことが判明しました」


「胃の内容物と一応同じ結果となりました」


「胃の内容物では、時期によって食べているものが変化していることは不明でした。しかし、歯の解析によって、初期は無脊椎動物を食べ、後期になると魚や肉を食べるようになっていることが明らかとなりました」


「おじいちゃんとおばあちゃんは虫を食べ、孫は魚や肉を食べていたのですね。面白いですねぇ」


「どうしてこのような食の好みの変化が起きたのかと言いますと、グルメになったから、ではありませんよ」


「他の動物、主に鳥類との競争の結果だと研究者は語っています」


「鳥類が台頭してきたことで、エサの昆虫が少なくなり、やむなく魚や肉に手を出すことになったみたいです」


「まさに、弱肉強食ですね」


「まあ、弱肉強食の世界を生き抜いても、最終的には隕石かなんかで絶滅するわけですが…………悲しいですね」


「生存競争に勝っても死んだら元も子もないよね、ってな所で今回のまとめです」


「研究者が翼竜の歯の化石を調べて、翼竜が何を食べていたのか調べたよ」


「ディモルフォドンは脊椎動物を食べていたよ」


「ランフォリンクスは魚を食べていたよ」


「アウストリアダクティルスは堅い無脊椎動物を食べていたよ」


「イスティオダクティルスは肉や魚を食べていたよ」


「プテロダクティルスは途中で食べているものが変わったよ。最初は無脊椎動物を食べていたけど、後になると肉や魚を食べていたよ」


「読者様は今回の結論はどうでしたか? 予想は当たっていましたか? それとも、外れていましたか?」


「まあ、私はどっちでも構いません」


「今回のお話は人生に役立つ知識ではありません」


「それでも使おうとするなら、小説や漫画でドラゴンの食事の設定を決めるくらいです」


「それでも、楽しいと思っていただけたら、幸いです」


「たまには、今回のような箸休め会があってもいいよね」


「ということで、今回は『恐竜の好物は何だったのか?【ドラゴンの資料に】』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価や応援コメント、お願いします」


「読者様が『こんなことが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『「団塊の世代」と「Z世代」で性格に違いはありますか?』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Dietary diversity and evolution of the earliest flying vertebrates revealed by dental microwear texture analysis

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