209_【超独特】イルカの仲間の識別方法 #動物 #能力

「アメリカの作家アイザック・アシモフは『仮に知識が問題を作り出すとしても、それらを解決するのは無知によってではない』と残しています。無知には問題解決能力はありません」


「やっほー、人生よくなってる読者様。使える知識をお届けする世界一の美女サクラです! 今回は『【超独特】イルカの仲間の識別方法』のお話をしますよ」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はイルカが仲間を識別する方法を知っていますか?」


「おそらく、大半の読者様が知らないと思います。口笛のような音で仲間と認識してる、というのは有名なので、一度は聞いたことがあるかもしれませんね。実に野生のバンドウイルカの38~70%は特徴的な音で仲間とのコミュニケーションを取っています」


「それに、イルカはとても賢いので、仲間の音を20年以上覚えておけるそうです」


「いやはや、イルカの記憶力には脱帽ですね。私は20年前のことを覚えているかと聞かれると、自信はありませんよ」


「とまあ、イルカは音を使って仲間を認識するのですが、イルカは時として音を使わずに仲間を認識することがありました」


「え? 『耳が使えないなら、目で確かめればいい』ですか。確かに、その通りですね。人なら顔や体型の違いで判別できますよね」


「もしかしたら、イルカも目で見て仲間かどうか判断するかもしれませんね」


「ですが、今回お話ししたいのは、そんなありきたりな話ではありません。もっと独特な手段で仲間を識別する方法です」


「読者様は想像できますか? 目と耳以外の何を使って、仲間を判別すると思いますか?」


「人間の五感で言えば残りは、味覚、嗅覚、触覚になります。さて、この中に答えはあるのでしょうか?」


「ということで、今回の研究のお話をしましょう。今回はスコットランド海洋研究所やセント・アンドリュース大学が調べたものです」


「研究者は平均年齢8.5歳のバンドウイルカを8頭集めて実験を行いました」


「いやー、稀に見る若さです。私が紹介している研究の中でも群を抜いて若いです。人と動物では寿命が違うので、仕方がないのですが……」


「ごほん、ともかくですね、イルカを集めて何をしたのかと言いますと、おしっこをプレゼントしました」


「おしっこと言っても人間のおしっこではありませんよ。同じ仲間のイルカのおしっこを与えたのです」


「もう、ここまで話したら、イルカがどうやって仲間を識別しているのか、分かりますよね」


「そう、イルカはおしっこで仲間を識別していたのです!」


「もう少し具体的に話しますと、集めたイルカちゃんに仲間のおしっこを与えた場合と、仲間じゃないイルカのおしっこを与えて、反応の違いを確認しました」


「結果ですね、仲間じゃないイルカのおしっこには仲間のおしっこに比べて、約3倍の時間をかけておしっこを確認していました」


「仲間のおしっこはすぐに判別できるのに対し、仲間じゃないイルカのおしっこをすぐに判別できないことから、イルカはおしっこで仲間を識別していると言えるのです」


「面白いですよね。まさか、おしっこで仲間かどうか識別するなんて、読者様は予想できましたか?」


「興味深いことにですね、イルカには嗅球がありません。嗅球とは、嗅覚情報を処理する脳の領域です」


「簡単に言ってしまえば、イルカは匂いを感じとることができないのです」


「つまりですね、イルカは仲間のおしっこの匂いを嗅いでいるのではありません。何をしているのかと言いますとーー」


「味わっているのです!」


「いやはや、驚きですね。人間が同じことをしたら、変態と罵られますよ。読者様もおしっこで仲間かどうか識別する時は気を付けてくださいね」


「え? 『やらないに決まっているだろ!』ですか。いえいえ、分かりませんよ。世の中には特殊な性癖を拗らせている人もいます。読者様も無縁とは限りませんよ」


「いつだって、どこでだって、特殊な世界へ足を踏み入れる可能性はあります。ゆめゆめお忘れなきよう、お願いします」


「安心してください、読者様。私は他人に迷惑をかけない性癖には寛容です。読者様が特殊な性癖を持っていも見捨てません」


「少し脱線しすぎたので、閑話休題です」


「イルカにはですね、顎を使って他の個体の性器を調べる性質があります。その際に一緒におしっこの味を覚えているのだろう、というのが研究者の考えです」


「人が挨拶として握手やハグをするように、イルカは挨拶代わりにおしっこを味わうのです」


「しかも、イルカのおしっこは仲間を識別するに留まりません。おしっこを味わうことで生殖できるか分かったり、フェロモンによってお互いの行動に影響を与えることもできるそうです」


「おしっこにはたくさんの情報が含まれているのです」


「言われてみれば、納得です。人間にも尿検査があります。たくさんの病気がわかることを考えれば、イルカがおしっこで仲間を識別しても何ら不思議ではありません」


「読者様も気が向いたらおしっこを味わってみてはいかがでしょうか? 訓練すれば、仲間のおしっこを識別できるかもしれませんよ?」


「特殊なプレイを薦めた所で今回のまとめです」


「イルカを集めて、仲間のおしっこと仲間じゃないおしっこを与えてみたよ」


「すると、仲間のおしっこはすぐに判別できたけど、仲間じゃないおしっこは判別に時間がかかったよ」


「どうやら、イルカは仲間を識別する時におしっこを頼りにするそうだよ」


「でも、イルカは嗅覚が働かないから、味覚でおしっこを感じ取っているみたいだよ。とっても面白いね」


「おしっこにはたくさんの可能性があります」


「たとえば、イヌがマーキングする時にはおしっこを使います。オオカミのおしっこがする場所では小型の動物が近づかないなど、動物界では極めて重要な指標となります」


「ばっちい、と思っている読者様はいつか痛い目を見ますよ」


「ですので、おしっこは侮っちゃいけませんよ」


「それにイルカは半球睡眠の能力を持っています。右脳と左脳を交互に休ませることで、一日中眠らないで行動ができます」


「実は、すごい能力を持っているのがイルカなんですよ」


「記憶力もよくて、仲間の味を識別できて、眠らないで行動できる。うかうかしていたら、人間はイルカに滅ぼされませんかね?」


「ということで、今回は『【超独特】イルカの仲間の識別方法』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございます。高評価や応援コメント、お願いします」


「読者様が『こんなことが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『プロのシェフが作るチャーハンを研究した話【美味しいチャーハンの作り方】』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Cross-modal perception of identity by sound and taste in bottlenose dolphins

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