196_あるもので口をすすぐとランニングの距離が伸びる #運動 #能力

「アメリカの投資家であるチャールズ・エリスは著書『敗者のゲーム』にて『投資家は常に高いレベルの知識と技能を維持できるわけではない。むしろ、その水準は常に変動する』と語っています。プロでも常に最高の成績が出せるとは限りません」


「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『あるもので口をすすぐとランニングの距離が伸びる』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はランニングをしてますか?」


「え? 『健康のために公園を走っている』ですか。とてもいいことだと思います」


「読者様はランニングをしている時に『もっと走れたらいいのに』なんて思ったことはありませんか?」


「実力以上の力を発揮したいと思ったことはありませんか?」


「思ったことがあるよー、という読者様に朗報です。ある飲み物で口をすすぐだけでランニングの距離を伸ばすことに成功したのです」


「面白いですよね。カフェインが運動のパフォーマンスを向上させることは”019_運動能力をブーストする魔法の飲み物”で、お話ししました」


「ですが、今回の研究では摂取の必要がないのです! 摂らなくても運動のパフォーマンスをアップさせることができたのです」


「ということで、今回の研究はイギリスのラフバラー大学が行ってくれました」


「研究者は習慣的に運動をしている男女10人を集めて、室内でトレッドミルを使い、ランニングをしてもらいました。ちなみに女性が6人、男性が4人、年齢は27歳~33歳です」


「被験者にはウォーミングアップをしてもらった後に、きついと感じる速度で30分間ランニングするように指示がありました」


「ランニングの途中、5分ごとに『うがい薬で口をすすぐ』ことをしてもらったのです。一連の流れを7日に一度、計3回してもらいました」


「そう、今回の実験は運動の最中にうがい薬で口をすすぐと、運動のパフォーマンスに影響が出るのか調べるのが目的でした」


「『じゃあ、うがい薬で口をすすぐことが運動のパフォーマンスをアップさせるのか?』というと、そうでもないのです」


「実験で用意されたうがい薬は2種類ありました。一つは透明です。もう一つは着直量を使ってピンク色にしたものです」


「被験者にはうがい薬と伝えましたが、実際は甘味をつけただけの水でした。栄養的に何も効果がないものです。栄養を摂取して運動のパフォーマンスが変わることはありません」


「というのも、被験者にはあらかじめうがい薬の効果を教えておいたのです。実験内容はうがい薬とスポーツドリンクで効果の違いを調べます、と伝えられていたのです」


「つまり、被験者はうがい薬とスポーツドリンクを比較する実験だと思っていたのです。先入観を持たせないために、偽りの情報を与えたのです」


「実際の研究者の目的は、色違いのただの甘い水を口をすすいで、効果が変わるのか、です」


「聡い読者様なら、結果は想像できるのではないでしょうか?」


「それで結果ですが、ピンク色のうがい薬で口をすすいだら、ランニングの距離が伸びました」


「パチパチパチ。読者様も運動する時は水をピンク色にしましょう。これで今まで以上の成果を出せること間違いなしです」


「で、具体的にどのくらいランニングの距離が伸びたのかと言いますと、透明のうがい薬の場合4835±816mで、ピンク色の場合5047±795mでした」


「およそ5%のパフォーマンスの改善になります」


「もちろん、数値としては少ないですが、ただピンク色の水で口をすすぐたけで5%も改善するなら、お得です」


「しかも、普段から運動習慣がある人が行っているのです。ペース配分などに慣れていますので、たまたま上手くいったとは考えにくいです」


「ピンク色の水には運動能力を改善する力があるのです」


「この効果は気分にも現れています。ランニング後の被験者に気分を聞いた所、10人中6人が『気分がよくなって、より前に進めた』と答えています」


「いやー、面白いですよね。被験者が口をすすいだ水の違いは色だけです。他は同じです」


「栄養もないので、エネルギーになるものもありません。単純にピンク色の水に効果があると考えられます」


「研究者はピンク色の水でパフォーマンスが上がったのは、プラシーボ効果だと考えています」


「ピンク色の液体は甘さを連想させます。甘いものには糖分が入っています。ピンク色の水で口をすすぐと糖分を摂取したと錯覚して、パフォーマンスが上がったのではないか。と考えているようです」


「まあ、納得ですよね。透明の水とピンク色の水に見た目以外の違いはありません。何かしら錯覚が起こって、エネルギーが湧いてきた、と考えるのはおかしくありません」


「それに全ての被験者は『ピンク色の液体のほうが甘い』と思っていました。思い込みの力が発揮されたのでしょう」


「思い込みの力ってすげー、という所で今回のまとめです」


「普段から運動している10人を集めて、ランニングの途中でピンク色の水で口をすすいでもらったよ」


「あら不思議、ピンク色の水で口をすすいだら、ランニングの距離が伸びたよ。運動能力が5%くらい改善したよ」


「どうやら、ピンク色の水は甘いものと錯覚するみたい。砂糖を摂取したと勘違いして、パフォーマンスが上がったっぽい。要するにプラシーボだよ」


「というわけで、運動のパフォーマンスを上げたければプラシーボが有効という結果になりました」


「これでは、ピンク色の水を用意しても意味がないかもしれません。読者様が試す際は、自分以外の人に試したほうが良さそうです」


「ただ、プラシーボならランニング以外の運動でも効果が期待できます。思い込みで力を発揮できるのですから、運動以外でも有効かもしれませんね」


「ネックなのは、今回の研究は被験者の数が少なさと期間の短さです。サンプル数の少なさで結果が偏ったことも考えられます」


「今回の結果は、あくまで参考程度に留めてください」


「…………本当に運動能力を向上させたければ、カフェインのほうがいいでしょう」


「ということで、今回は『あるもので口をすすぐとランニングの距離が伸びる』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『ダイエットをする時に自分に厳しくするべきか? 甘くすべきか?』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様が気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Mouth Rinsing With a Pink Non-caloric, Artificially-Sweetened Solution Improves Self-Paced Running Performance and Feelings of Pleasure in Habitually Active Individuals

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