180_気持ちよく会話を終わらせるのは99%不可能 #会話 #人間関係
「アメリカの作家であり医学者であるオリバー・ウェンデル・ホームズ・シニアは朝食テーブルシリーズの中の『朝の食卓の大学教授』で『話すことは知識の本領を発揮することだが、聞くことは知恵の特権を享受することである』と述べています。話すこと以上に聞くことは大事です」
「やっほー、賢明なる読者様。読むと人生が変わる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『気持ちよく会話を終わらせるのは99%不可能』のお話をしたいと思います」
「では、よろしくお願いします」
「読者様は会話の締めに困った経験はありませんか?」
「話を終えようとした時に、相手が新たな話題を切り出してきた。なんて経験があると思います」
「会話を終わらせるのって、意外と難しいですよね」
「え? 『何度も経験がある。気まずくなる』ですか。そうですね。私もどう締めようかと悩んだことがあります」
「会話というのは始めるのは簡単なのに、終わらせるのは難しいですよね」
「では一体、どれくらい会話を気持ちよく終わらせるのが難しいと思いますか?」
「二人が納得して会話を終わらせられる確率というのは、どれくらいなんでしょうか? そんな疑問をハーバード大学の研究者が調べてくれました」
「まず研究者は、806人の男女を集めて、直近の会話を思い出してもらいました」
「その会話で、会話が終わるタイミングがあったのか? 会話をどれくらい続けたいと思ったか? という質問をしました」
「また、同じ質問を会話相手だったらどのように答えるか、というのも想像してもらいました」
「要は、会話が理想的に終わったのかどうか確認したのです、ついでに、相手も同じように感じたのか考えてもらった、というわけです」
「被験者の79.16%は恋人や家族、友人といった親しい人との会話を思い出したようです」
「さて、読者様はどれくらい会話が理想的に終わったと答えたと思いますか?」
「なんだかんだで理想的に終わるのは80%くらい? それとも、半分を越えれば御の字? 理想は理想、ほとんどの人が理想とはほど遠い?」
「結果は…………66.51%の人が会話を終えるタイミングがあったのに会話が終わらなかった、と回答しました」
「つまり、3分の2の人が理想的に会話を終えられていなかったのです!」
「どうでしょう? この数字が高いと思いますか? それとも低いと思いますか?」
「判明したのは理想的に会話を終わらせられなかったことだけではありません」
「実は、会話を終えるタイミングが過ぎたと感じた被験者は、会話を楽しめなかったことも判明しました」
「まあ、終わらせるつもりだったのに長引いたから仕方ないかもしれません。理想のタイミングというのは、一番気持ちいい瞬間でもあります」
「一番のピークを過ぎ去ってしまえば、後は下降していくだけです。印象というのは最後の状況に大きく左右されます。なので、途中が楽しくても、最後が楽しくなければ、総合的な楽しさは減ります」
「また、被験者は会話がもう少し長く続けたいと望んでいました」
「実験では相手がどう考えているかについても質問しています」
「その結果、相手が会話を終わらせたいと感じた人は53.1%いました」
「半数の人は相手の態度から、会話を終わらせたいサインを受け取っているようです」
「面白い結果ですよね。でも、相手のサインを受け取っても、自分の話が終わってなければ、気持ちよく会話を終わらせられません」
「結局、どちらかが割りを食う結果となります。会話を終わらせるのは難しそうです」
「研究者はもう一つ実験を行っています」
「先の研究では、知り合いとの会話を思い出してもらいました。ですが、二つ目の研究では見知らぬ人と実際に会話をしてもらったのです」
「252人の男女を集めて、1分以上45分未満の会話をしてもらいました。その後、会話を終わらせるタイミングはあったか? 会話を楽しんでいたか? などを質問しました」
「親しい人なら、話したいことがあれば多少強引でも、信頼関係があるので話せます」
「また、会話の終了のタイミングが、会話を終わらせたかったのか? それとも予定があったから切り上げたのか? どちらか不明です」
「記憶に頼っている点も、信頼性を担保しません」
「そのため、見知らぬ参加者を対面させて、会話が終わるまで話させました。また、会話直後に質問することで、記憶間違いを防げます」
「先に行った実験の補強をするための実験ですね」
「しかも、会話をした両者から話を聞けるので、互いに何を思っていたのかも分かります」
「それで結果なんですが、先の研究と同じでした」
「会話を終えるタイミングがあった、と回答したのは68.65%でした」
「また、会話を終えるタイミングを過ぎても会話を続けた場合は、やはり会話を楽しめませんでした」
「今回の実験でも会話相手が何を考えているかも質問しました。そして、当人にも質問しているので、結果を擦り合わせることが可能です」
「その結果、会話相手の気持ちを正しく認識できていないことが判明しました」
「会話を終わらせたいタイミングが分かった、と答えていた人がいましたが、それは幻想です。ほとんどの人が間違った認識をしていたのです」
「話が弾まず会話を終わらせたいと感じても、相手はもっと話したいと思っていたました」
「逆に、もっと会話をしたいと感じても、相手は『こんな、つまらない会話を早く終わらせたい』と思っていたのです」
「残念!」
「研究者によると、見知らぬ人と話す場合、『同時に会話を終わらせたいと思うことはほとんどない』と語っています」
「そのため、二人の会話が気持ちよく終わるのは不可能とも述べています」
「とても残念です。会話を気持ちよく終わらせるのが難しい、というのは理解していも、ほとんど不可能とまでは思っていなかったのではないでしょうか?」
「読者様も気を付けてくださいね。ついつい長話をしていると、相手に『早く終わらないかな』と思われます」
「初対面での会話は早めに切り上げるのがよさそうです。相手が話を終わらせたいのに終わらなかった場合は、会話が楽しめません。読者様の印象が悪くなります」
「印象が悪くなるくらいなら、会話を早めに切り上げたほうがまだ相手も会話を楽しんでくれます」
「読者様の選択肢は二つに一つです。自分が会話を気持ちよく終わらせるために、相手に不快な思いをさせる。もしくは、相手を気持ちよくさせるために、自分が不快になる。どちらかしかありません」
「3分の2の確率で話を終えるタイミングを逃します。二人合わされば、単純計算で二人が気持ちよく会話を終わらせられるのは1%にも満たないです」
「ほとんど不可能なので、諦めましょう。時には諦めも肝心です」
「見も蓋もない結末を語った所で、今回のまとめです」
「たくさんの人を集めて、会話についての分析をしたら、誰しもが会話を終えるタイミングを逃していたよ」
「しかも、会話を終えるタイミングを過ぎても会話を続けていると、会話が楽しくなくなっちゃうよ」
「相手に悪印象を与えないために、会話は早めに切り上げたほうがいいかもね」
「廊下や道で知り合いとすれ違ったとき、気軽に挨拶をします。その際に何か気軽に話題を提供でもしようものなら、必ずどちらかがモヤモヤして会話が終わります」
「今後、気軽に挨拶もできませんね」
「ただ、会話はキャッチボールです。自分が話したら、次は相手が話すという流れです」
「会話が気持ちよく終わらないのは、互いに配慮した結果とも言えます。相手を慮った上での結果なら、この結果にも希望が見えます」
「まあ、実際は不明ですが……」
「とにもかくにも、よきタイミングで会話を終わらせるのは難しいのです。ダラダラと長話をしないように気を付けてくださいね」
「引き際が肝心です」
「ということで、今回は『気持ちよく会話を終わらせるのは99%不可能』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」
「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」
「次回の『本に囲まれて育った子供は年収が高くなる』で、お会いしましょう」
「もしくは、読者様の気になるお話でお待ちしております。バイバイ」
参考文献
Do conversations end when people want them to?
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