119_偉い人がデタラメな言葉を言っても信じちゃう【肩書きに騙されるな!】 #言葉 #知能

「素粒子物理学の世界的権威であるエドワード・K・リールは格言を残しました。『そう、私たちが直面する可能性のあるものを根絶することは可能ですが、私たちには希望がないわけではありません。混乱は、変革が排除された隙間で生まれます。私たちが再び活気づくことができます』というものです」


「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『偉い人がデタラメな言葉を言っても信じちゃう』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は言葉で騙された経験はありませんか?」


「え? 『私に騙された』ですか? はて、どういう意味でしょうか? よくわかりません」


「まあ、私のことは置いておいて、人というのは権威に弱いです。とても弱いのです」


「どれくらい弱いかと言いますと、権威ある人が言った言葉がデタラメでも信じてしまうくらい弱いです」


「そんなこんなをアムステルダム大学の研究チームが調べてくれました」


「研究チームは世界24ヶ国から10195人を対象に実験を行いました。大規模ですよ」


「内容は、物理学の世界的な科学者、もしくは宗教における精神的な教祖のどちらかの写真を見せて、AIが作成したデタラメな言葉を信用できるか評価するというものです」


「それぞれの名前は、科学者がエドワード・K・リールで、教祖がソール・J・エイドリアンです」


「つまり、偉い人が言った言葉なら、内容がデタラメでも信じてしまうのではないか? これを確かめる実験です」


「さて、読者様はどのくらいの人がデタラメな言葉を信じたと思いますか?」


「デタラメだからそんな多くないでしょ、ということで10%くらい? それとも、すごい人が言ってるから30%くらい? 結構人は簡単に騙されるよ、だから50%くらいは信じちゃうんじゃない?」


「結果はですね、76%でした!」


「実に4人に3人がデタラメな言葉を信じたのです!」


「もう一度言います、4人に3人がデタラメな言葉を信じたのです」


「正確には科学者の言葉なら76%で、教祖なら55%でした」


「たとえ、教祖の言葉でも半分以上の人が信じたのです」


「偉い人が言った言葉を人は無条件に信用してしまうのが人なんですよ!」


「恐ろしいですよ。読者様もテレビに出ている大学教授や学者の話を鵜呑みにしていませんか?」


「教授が言ってるから大丈夫だろう、と安易に考えていませんか?」


「一度胸に手を当てて思い返してください」


「冷静に考えると当たり障りのないことしか言ってない教授もいますよ。それに話が支離滅裂になっている学者もいますよ」


「そんな人の言葉に騙されていないと、胸を張って言えますか?」


「私も、教授の言ったことを真に受けることがあります。後から調べると全然違った、なんて経験は腐るほどあります」


「気を付けてないと、誰でも騙されてしまうのです!」


「ちなみにですね、科学者のエドワード・K・リールと、教祖のソール・J・エイドリアンなんですが、この世に存在しません」


「この実験では、AIが作った文章を架空の人物が残した言葉として紹介しているのです」


「実験の参加者は、誰とも知らない人の言葉を信じていたのです!」


「本当に恐ろしいですよ。肩書きさえあれば、その人の実績や人格を知らなくても、相手の言葉を信じてしまうのです!」


「おー、怖い怖い」


「何が怖いって、私が冒頭に申し上げた言葉はAIが作成し、実験に使用した言葉だということです」


「読者様は大丈夫ですよね? 冒頭の言葉に感心したり、納得したりしてませんよね?」


「え? 『いいこと言うなぁ、って思った』ですか。バリバリに騙されているじゃないですかっ!」


「もっと考えないとダメですよ。私は嘘の情報を言うつもりはありません。ですが、読者様に必ずしも当てはまるとは限りません」


「自分で考えて答えを出さないと、手痛いしっぺ返しを食らいますよ。気を付けてください」


「今回の実験で真実があるとするなら、写真です。写真だけは実在の人物の写真を使用しています」


「科学者がエンリコ・フェルミで、教祖はホセ・アグエイレスの写真を使用していました」


「まったく、嘘の中にも真実を混ぜているのですから、研究者も質が悪い」


「研究者の批判をした所で、今回のまとめです。研究者は架空の科学者と教祖を用意して、AIが作成したデタラメな文章を読んでもらったよ」


「すると、科学者が言った言葉だと76%の人が信用したよ。教祖の場合は55%だったよ」


「人は権威の前では思考を放棄することが確認できたよ」


「ちなみに、研究者はデタラメな文章でも権威ある人が言えば、信じしてしまう現象をアルベルト・アインシュタインにちなんで『アインシュタイン効果』と呼んでいます。テストに出ないから、覚えなくて結構だよ」


「特に権威のある人の言葉はマーケティングの世界で見かけます」


「皮膚科医がオススメする化粧品とか、です。何となく効果がありそうだと思った読者様は既に騙されてますよ」


「芥川賞作家が絶賛! と謳っていたら面白そうではありませんか?」


「心理学者が実践した本当に痩せるダイエット! 何だか痩せそうな気がしませんか?」


「もし、これらのキャッチコピーに釣られて商品を買った経験がある人は、騙されてますよ。注意を払ってください」


「用心するに越したことはありません」


「偉い人が言っている=正しい、とは限りません。しっかりと読者様の目と耳と鼻と口と体でジャッジしてください」


「ということで、今回は『偉い人がデタラメな言葉を言っても信じちゃう』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『ロボットから褒められると成績が上がる』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様が気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

The Einstein effect provides global evidence for scientific source credibility effects and the influence of religiosity

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