ナエ①弱い立場の女性相談「コロナ禍のバカ!」…SNSでつながりたい自撮りは、危険!?友達と修学旅行を楽しみたいからって、あんなことしてほしくないから!
第15話 「こういうのを聞いてくれる人に出会えて、良かった」そう言ってもらえるのは、うれしいんだけれど。
第15話 「こういうのを聞いてくれる人に出会えて、良かった」そう言ってもらえるのは、うれしいんだけれど。
「こんにちは!」
女性は、活発だった。
「私と、同じくらいの年齢ですよね?親近感を覚えちゃって、つい、声をかけてしまいました。てへへへ」
その女性は、どうやら、SNSと、格闘中。
「スマホって、便利なようで、怖いんですよ?」
教えてあげた、ナエ。
「そうなんですか?」
「怖いですよ」
「小学生にも、教訓になるでしょうかねえ?」
「さあ、どうでしょう?」
コロナ予防のマスクが、彼女の笑みで、ゆれ動いた。
そう、そう。
S NSは、怖いんだ。
SNSを使うと、きつい世界に、簡単に、つながってしまうんだから。
「…私、今日、泊まるところがない」
SNSで、それだけを発信したとする。
使ったのは、捨てアカウントと呼ばれるもの。
そのときにだけ、使う顔。
すると…!
秒で、返信!
返信してきたのは、すべて、知らない人たち。
「泊まるところ、ないの?」
「困ったね」
「うち、くる?」
「相談に、乗るよ」
「俺の、連絡先は…」
どういう気持ちで言ってくれているのか、悩むところ。
「こちら、○○○区。遠い?」
「隣りの、○○○区」
「俺の部屋、使う?」
「俺の部屋、今、誰もいないぜ。鍵、やるよ。くれば?」
「家賃は、いらないから。くる?」
「心配、いらないって」
「これも、人助けじゃないのかな?」
助けるという言葉には、弱かった。メッセージの1つに、気軽に、返信をしてしまった。
「じゃあ、いっても良いの?」
またまた秒で、見知らぬ波が返ってきた。
「良いよ。迎えに、いこうか?」
その女性は、そういうやりとりを、これまで何度もしていたらしい。
「…そんな感じで、私、中学生の頃から、何度も何度も、家出を繰り返していたんですよ」
「そうですか」
「そして、何度も何度も、家に帰っていました」
「家の鍵を、もっていたんですか?」
「ええ。鍵っ子、でしたから」
「…鍵っ子」
ナエの心が、凍った。
「…こういうのを聞いてくれる人に出会えて、良かった。あの…名前、何ていうんですか?」
「ナエ、です」
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