第164話 収穫祭の準備はできた?
今週は、そちらに全力だね。
「パーシバル様もお忙しいのでは?」
朝からの
「ペイシェンス様も音楽クラブの発表と前日の錬金術クラブの体験コーナーで忙しいのではないですか?」
それ、本当に大変だけど、錬金術クラブの方はカエサル部長に丸投げなんだよね。
「錬金術クラブの体験コーナーは、大教室を貸し出すことになりました。あのキックボード、私も作ってみたいです」
ふふふ、パーシバルなら乗りこなすのもすぐだろうね。
「キックボード、弟達にもあげたいし、パーシー様にも差し上げますわ」
学生会長は、準備に忙しそうだからね。
「それは、嬉しいです!」
そんな呑気な事を話していたが、金曜の収穫祭を目指して、音楽クラブとグリークラブは総仕上げに入っていた。
「ペイシェンス! 乗馬クラブに変わったのかと思ったぞ!」
やれやれ、アルバート部長の嫌味だ。
「まぁ、アルバート!
マーガレット王女、ありがたいよ。
でも、リュートの練習不足は実感した。サミュエルにもチェックされちゃったしね。
「ペイシェンス、もう少し練習しなくてはな!」
その通りなんだよ。ついつい、寮での練習もサボりがち。だって、マーガレット王女は勉強を真面目にしているのに、横で気を散らしたらいけないからね。
「ええ、収穫祭まで頑張るわ!」
後は、錬金術クラブの体験コーナーの準備だけど、こちらは部品とかはもう準備されている。
「ペイシェンス、少しでも良いから顔を出してくれないか? 女学生が意外と多く参加してくれるみたいなのだ」
今回は、マーガレット王女やリュミエラ王女は音楽クラブとグリークラブの発表会の練習があるから不参加だけど、前に参加してくれた手芸クラブや料理クラブの女学生が参加してくれるのだ。
「まぁ、アイラ様とルーシー様も? それにリンダ様やジェニー様もね!」
討伐の時に同じテントだった魔法使いコースや騎士コースの女学生達も参加してくれる。
「アルバート部長には練習をサボったから睨まれているけど、音楽クラブの練習が終わったら、少しだけでも来れるようにしますわ」
カエサル部長がそれは何とかすると言ってくれた。
「階段の飾りや、ペンライトで錬金術クラブはかなり貢献しているからな。ペイシェンスが少しこちらに来れるように、協力して貰うさ」
その交渉は、カエサル部長に任せるよ。
「ベンジャミン様、あのカザリア帝国の遺跡のファイル! 収穫祭が終わったら、作りましょう!」
ミシンは、特許申請中だし、今度はファイルだね。
「あのくらいなら、ペイシェンスは1人で作れるだろう?」
それは、そうだけど夏休みに一緒に作ろう! って流れだったじゃん!
「ベンジャミンが嫌なら、私が作ろうかな?」
ブライスの言葉にベンジャミンが噛み付く。
「なんで、お前に譲らないといけないのだ? そのくらいなら、私がする」
はい、はい、そのくらいに!
「ペイシェンス? あのファイルシステムか? あれは私も気になっていたのだ。よく考えて、基準を作った方が良い」
カエサル部長に、穴の数やファイルの大きさの基準を考えるように言われた。
「そうですよね! 公文書の書類の大きさに揃えた方が良さそうです」
ただ、魔導船の設計図とかは、倍の大きさの紙を折り畳んであったんだよね。
屋敷の設計図とかも、普通の大きさのファイルだと不便そう。
「倍の大きさのファイルもあると便利かも?」
ミハイルは、設計図をいっぱい書き写したから、ピンときたみたい。
「ええ、2種類にしても良さそうです」
全員が「ああ」と頷く。
でも、新規に入ったマックスとエドは、意味が全部はわかってないね。あの遺跡で見つかった物は、秘密になっている。
そのうち、ある程度は発表されるのだろう。
この件を、どこまで話すのかは、カエサル部長と、次の部長になるベンジャミンにまかせる。
舞台装置とも言える、階段のデコレーションを確認して、火曜の錬金術デーは終わった。
放課後は、音楽クラブに行く。
火曜は音楽クラブの活動日だけど、収穫祭は『歓喜の歌』と『再会の歌』を演奏するから、グリークラブと合同だ。
「木曜は、音楽クラブは午後3時から講堂で練習します」
なら、少しは体験コーナーに行けるかな? なんて気楽な事を考えていた。
「木曜のグリークラブの練習は、午後1時からです。ご協力お願いします」
グリークラブのマークス部長、それは困るよ!
錬金術クラブの体験コーナーは、午後から始まる。
3時からの音楽クラブの練習は、参加しないといけないと思っていたけど、1時からだと全く体験コーナーには行けなくなっちゃう。
「ペイシェンス? 錬金術クラブの体験コーナーは、収穫祭の前日だったのでは?」
サミュエルは気がついたんだね。
「ええ、私の知り合いの女学生も参加してくれるから、少しだけでも顔を出しておきたいの」
アルバート部長には、カエサル部長が何とか交渉してやると言っていたけど? どうなったのかな?
サミュエル達とリュートの練習をしていたら、アルバート部長がやってきた。
「ペイシェンスは、前の日のグリークラブの練習は、錬金術クラブの体験コーナーに行って良い。だが、ちゃんと練習をしておくように!」
えっ、あの音楽馬鹿のアルバート部長が、譲歩してくれるだなんて!
「ありがとうございます!」
余計な詮索はしないで、お礼を言っておく。
「あの……ちょっと」とアルバート部長にクラブハウスの隅に連れて行かれた。
「ペイシェンスは、カルメン・シーターと親しいのか?」
うん? クレーマン教授と一緒に教授会に来た
「いえ、一度、教授会の時にクレーマン教授と一緒に来られただけですわ」
はぁ、と深い溜息をつく。
「実は……どうも親しくされすぎて困惑している。コルドバ王国の出身だと聞いているのだが、あちらではあれが普通なのか? ボディタッチが多くて困っているのだ。親しいのなら、ペイシェンスから注意してほしかったのだが……」
カルメン・シーター! やりすぎは嫌われるよ。
「それと、カルメン・シーターが素晴らしい小曲を弾いてくれた。あれはペイシェンスが作った曲だろう?」
ああ、忘れていたよ。
「ええ、歌詞は作っていませんから、アルバート部長にお任せします」
前世のクリスマスソングだったけど、収穫祭の歌にしても良さそうなんだ。
「ペイシェンスも自分で作詞してみたら良いと思うが……まぁ、小曲だから面白そうだし良いのだけれど……」
アルバート部長としては少し消極的なのは、カルメン・シーターから聞いたからかな?
どちらにせよ、収穫祭の前の日、3時までは錬金術クラブの体験コーナーに行けそうだ! 女学生達が早めに来ると良いな。
なんて呑気な事を考えていたけど、ドレス問題が残っていたんだよ!
「ペイシェンス、無理だわ!」
水曜の朝、マーガレット王女に泣きつかれる。私的には手伝うのは良いのだけど、キャメロン先生は?
「先生も助手や友達に手伝ってもらっても良いと言われたの」
女学生達は、朝から他の授業はパスして裁縫教室に向かっている。かなり修羅場っているよ!
私は、昼から手伝う。国際法と経営2もかなり討伐の間に進んでいるからね。
「ああ、ペイシェンス、手伝ってあげて! 皆様、今回だけですわよ! 助手達も増やしますから、頑張りましょう」
私も全員のは手伝えない! マーガレット王女、リュミエラ王女、エリザベス、アビゲイルのを手伝う。
リュミエラ王女のは、ほぼ仕上がっている。裾のまつりは、縫わない糊でやってもらう。
アビゲイルのも、なんとか間に合いそう。
マーガレット王女とエリザベスのは、デザインに凝りすぎて、未だ裏地は手をつけていない状態だ。
それに、縫い目も酷い! 解いて、縫い直す時間は無いから、少し、キツくなるかもしれないけど、外側をざっと縫い直す。
「裏地をつけますわ」
何とか2人の裏地もつけた。やれやれ!
「裾の始末は、縫わない糊でして下さい」
少しぴったりになりすぎかな? と心配したけど、2人ともスタイルは良いから大丈夫だった。
「ペイシェンス、ありがとう! これで何とか、収穫祭には間に合いそうだわ」
マーガレット王女とエリザベスにお礼を言われて、やれやれと安堵する。
他の女学生達も助手に手伝ってもらって、何とか仕上げている。
「ペイシェンス、あのミシンとかは、いつから使えるのかしら?」
キャメロン先生は、今回の修羅場にうんざりしたみたい。
「カエサル様にも聞いてみますが、新学期から2台は使えるようにしますわ」
使い方から練習しないといけないからね。青葉祭は、こんなことにならないようにして欲しいな。
「できたら10台、購入したいです」
それは、カエサル部長と要相談だね。
マーガレット王女、リュミエラ王女、エリザベス、アビゲイルの余り布で、髪飾りを作る。本人達は、それどころじゃなさそうだからね。
手持ちの半貴石を散りばめたら、なかなか良い感じ!
「まぁ、素敵ね!」
うん、これを収穫祭に着けたら良いよね。
何とか、ドレスも仕上がりそうだし、木曜の午後の魔法教室もお休みにしてもらっている。
収穫祭の準備はできたと思う。
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