27. Are you excited? 前編
『夏祭り』とは、夏期に開催される祭りの総称のこと。
現代では、これらの風習は変化した祭りも多くなり、パレードや花火大会などを取り入れることも多い。
夏を
しかし......
◇◆◇◆◇◆
「タスク!タスクってば!」
「ちょっと待ってろ。今月の収支を計算して、明日までにギルドに提出しなきゃいけないんだぞ?今はトールにかまってる暇は無いんだよ」
「えー!今日のタスクはつまんないよ。天気は良いし、私は予定無くて暇なのにー」
聞き分けの無い子供かよ。
リーダーの苦労もちょっとは理解してほしい。
計算は苦手なんだよな、電卓は無いのか電卓は。
「タスクぅ......」
「そんな目で見てもダメだ!これが終わらない内は、一切相手にしないからな」
「しゅん...真面目だなぁ。でも、ここの計算間違ってるよ?あと、ここも」
「げ!ほんとだ...計算し直さないと...」
いかん、頭が爆発しそうだ。
「もうやーめぴ!外で飯でも食ってからにしよう。行くぞトール!」
「そうこなくっちゃ!あとで私も手伝ってあげるよ」
そして、遊びすぎて忘れてた。
【この後ギルドから、こっぴどく叱られた】
"フランキーのジム"
まだまだ暑い日が続くが、夏も後半へ差し掛かる。
「タスクー、お客さんだよー」
レッスン終わりのトールが、若い男を
ほんとに昔はボッチだったのか、と疑うほどのコミュニケーション能力だ。
「初めましてタスク氏。トールさんと交際している『
その青年は、かぶっていたシルクハットを取り、深々とお
「そうかー、トールにも彼氏が出来たのか。良かったなトール、おめでとう」
ついに彼氏まで連れてくるとは、これでベンにうるさく言われなくて済む。
「違うでしょ!さっきそこで声かけられただけだよ!マーフィーさんはタスクに用事があるんでしょ?」
「ヒハハ、冗談冗談。失礼したね。しかしタスク君、本心から祝福されるとは思わなかったよ。ボクの予想では、二人はもっと親密な関係かと思っていたんだけど...」
そりゃ、彼女なんて出来たことないし、全然知らない奴が、目の前でイチャイチャしてたら悔しいんだろうけど。
「別に、ただの仲間だよ。仲間の幸せは嬉しいもんだろ。それで、あんたは俺に何の用事があるんだ?」
結婚式場のバイトをしたことがあるが、人の幸せを祝うのは、本当に気持ちが良い。
何故かトールがスネてるけど、まぁいいか。
「そうだった。ギルドから君に、呼び出しがかかっているよ。こちら
マーフィーは何も持っていない手から、手品のように書状を出現させ手渡すと、笑いながら帰っていった。
大道芸人ってマジックもやるのか。
独特な雰囲気を持った奴だな。
しかし、ワーカーギルドから名指しで出頭命令だと?
思い当たる節がありすぎて怖い。
「おい、スネとる場合か?これ絶対に怒られるやつだぞ」
「でもその召喚状、タスクの名前しか書かれてないよ?」
オーマイガー!俺だけブタ箱行きって、どういうことだよ。
ついに前科者になってしまうのか。
「ほらタスク、一緒に行ってあげるから......ブタ箱、しっかりお勤めしてきてね...ぷふ」
こいつ!
【ワーカーギルドへ出頭した】
"ワーカーギルド 会議室"
ギルドの一室に通された俺達を、係員が待っていた。
「急にお呼びだてして、申し訳ありません」
いつもと表情は変わらない。
しかし、それが逆に怖い気もする。
「いえ、それで用事ってのは?まさか、先日ギルドの置物を壊したのを黙っていたことですかね!」
「そういうことではなくてですね」
「ということは、やっぱりトールの食べ過ぎで、街が食糧難になっているとか?」
「ちょっと!いくらなんでも、そんなに食べれるわけないでしょ!」
こいつなら、実際にあっても不思議はない。
「いいですか?今回、来てもらったのはですね、『夏祭り』実行委員への参加をお願いしたいのです」
なんてこった、お祭り男が祭りの運営に関われるのか。
これほど名誉なことはない。
「...トール、知ってただろ?」
「うん、書いてあったからね」
「何で先に言わないんだよ!」
「聞かないんだもん!だいたい、タスクがちゃんと読まないからいけないんでしょ!」
まったく、こいつときたら、いっつもこれよ。
「先日の七夕での活躍で、あなたを
「よかろう!詳しく話を聞こうじゃないか!」
「タスク、こっち向いてドヤ顔するのやめてよ。祭りのことになると、すぐスイッチが入るんだから」
「しょうがねぇよ。今まで、誰かに認められて仕事を任されたこと無いし。嬉しくてさ、舞い上がってるよな」
「そっか...うん、そうだね。おめでとう、良かったねタスク」
これで祭りを俺が自由にカスタマイズできるわけだ。
アレをこうして、ナニをああして、これを、こうっ!つってね、ふっふっふ。
「タスク、顔が悪い子になってるよ?」
【夏祭り実行委員に選ばれた】
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