22. Planetary Festivals 前編
『七夕』とは、
有名な七夕の伝説として、
二人は結婚したが、仕事をしなくなり、その
神は、悲しみに暮れる織姫を
行事としての七夕は、笹に願い事を書いた
しかし......
◇◆◇◆◇◆
「ううむ......うーん」
「どうしたのタスク、人の顔見て考えこんだりして」
「いや、トールの髪型なんだけど」
「ポニーテールのこと?下ろすとフワってなって邪魔だから、まとめてるんだけど...」
髪を束ねた形が、馬の尻尾のように見えるヘアースタイルだ。
トールはいつもポニーテールにしているので、下ろした姿を見たことがない。
「風邪の時もそれだったよな?それに、毎回尻尾の場所が変わってるんだが、着脱式なのか?」
スタンダードに後ろに付くこともあれば、アップに構えたチョンマゲみたいな時もあり、左右どちらか、又はツインテールの時もある。
本日の尻尾は、頭の上で結んでデコを強調している。
この位置だと、もうポニーテールとは呼べない気もするが。
「アハハ、取り外せるわけないでしょ。髪の毛が多いから、気分で色々変えてるんだよ。ほら、引っ張ってみる?」
尻尾を掴んで、上に引き上げてみる。
顔全体が引っ張られて、変顔みたいになってしまった。
確かに、ウィッグとかではないようだ。
「ホントは下ろすと恥ずかしいんだけどね。まぁタスクなら別に見られても抵抗無いかな」
「なんか、そう言われると複雑な気分になる」
リボン付きの髪止めを外し、左右に頭を振ると、フワリと良い匂いがした。
こういう仕草って、ちょっとドキっとする。
ん?......何かすごい違和感が。
「トール......どうなってんだ、その髪!?」
「ね、すっごい邪魔だし、頭大きく見えちゃうんだよね。髪を洗うのも一苦労だし」
そういう問題じゃない。
先ほどまでは、せいぜい肩までしかなかった髪の毛が、下ろした瞬間に腰あたりまで展開された。
しかも、ポニテの時はストレートっぽかったのに、今は緩やかなウェーブがかかっている。
まとめたぐらいで、この毛髪が隠せるものなのか。
「そんなに邪魔なら、切っちゃえばいいんじゃないか?」
「嫌だ!絶対に切らない!」
普段は可愛い系なのに、髪を下ろしただけで急に大人っぽく見える。
黙っていれば容姿端麗・超絶美人、まるで別人を見ているようだ。
この髪、呪いの
"フランキーのジム"
セミわめき、大地
昼ともなれば、その気温は最高値に達する。
外を歩けば、たちまち水分を奪われ、力尽きてしまうであろう猛暑。
こんな日は涼しいジムで過ごすのが一番だ。
「はぁー、何もしたくない。何で異世界なのにジム内が冷房効いてるかのように涼しいかを考えることすらしたくない」
「ダラけすぎだよ。ルーンを駆使してクエストを達成するんじゃなかったの?」
声優協会のレッスンから帰ってきたトールに、開口一番お叱りを受ける。
わかっちゃいるが、こんな暑い日は、やる気が湧いてこない。
夏は嫌いだ、早いとこ過ごしやすい秋になってほしい。
「俺はもうダメだ...この暑さに屈してしまった敗北者なんだ。
「もう!今日は『
「おい、星降祭とは何だ?詳しく聞こうじゃないか!」
「何もしたくないって言ってたのに、急に食いついてくるね?」
祭りと聞いてはダラけてはいられない。
こう見えて俺は『お祭り男』として町内でも有名だった。
「立てばお
ホッケ祭りの時はダウンしていたが、今回は存分に異世界の祭りに参加できる。
「フェスクって...それ、多分だけどバカにされてると思うよ?星降祭っていうのはね、星空を眺めながら、短冊に願い事を書いて飾ると、願いが叶うお祭りだよ」
なるほど、俗に言う『七夕』のことか。
天の川を隔てて、男女が想いを募らせる伝説。
物語としても楽しめる、夏の祭りの前哨戦とも言えるイベントだ。
こっちにも似たような風習があるとは、実に興味深い。
「ギルドからは、お祭りクエストが出されるから、参加するなら忘れずに受注すること。チョコちゃんとハーさんにも声かけなきゃね」
ますますイベントっぽくなってきた。
七夕は、そこまで大騒ぎするような祭りではないが、郷に入っては郷に従えとも言う。
こちらの世界の七夕、星降祭を堪能しようじゃねぇか。
「やいトール!こうしちゃいらんねぇ。すぐに準備してギルドへ突っ走るぞ!祭りだ祭りだー!」
「ガッテンでぇ兄貴!......って、あれ?私ってば何言ってるの...タスクの波長に引っ張られてる。何か変なスキルでも使ってるんじゃないの?」
「てやんでぃ!まごついてっと乗り遅れっぞ!一番乗りだってんだい!」
こいつは
自然と喋り方まで、お祭りモードになっていく。
祭りと言えば夏、やっぱ夏が一番好きだな。
「タスク......星降祭は夜からだよ?」
ですよね......やっぱり。
【お祭り男は出鼻をくじかれた】
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