第96話 傘下なんていらねぇよ!!
誰が『女ったらし』だっ!!
おまけに『普通の』まで付けやがって!!
「あのぉ……
「わっ、分かったわよ! それで話って何なのよ!?」
「は、はい……実は……私達のネガティ部が今回のドッジボール対決に勝ちましたので、夏合宿に使う別荘の用意やエグゼクティ部からネガティ部へ部費の一部支払いの件については約束を守って頂きたいと思っています。で、でも……」
「でも? でも何なのよ!?」
「でも……『廃部』まではする必要が無いと思うんです。せっかく皆さんで創った部を無くすというのは逆の立場で考えても心が痛みます。いかがでしょう? 『廃部』というお話はこの際、無かった事にしませんか?」
「 「 「 「えっ!?」 」 」 」
さぁ、どうする?花持部長さんよぉ。今の美代部長の言葉で、あれだけ疲れ果てた表情をしていたエグゼクティ部の部員達の表情が少しだけ明るくなったぞ!!
「花持部長、これは願ってもない事じゃないですか!! 『廃部』の条件を無かった事にしてもらえるなんて凄く良いじゃないですか!!」
「うっ、
うわぁ〜なんて頑固な『チビ女』なんだ!!
マジで可愛げが無い女だよなぁ……せっかくの可愛い顔が台無しだぜ!!
「オイオイオイッ、部長!! せっかく越智子さんが、そう言ってくれてるのになんで断るんだよ!?」
「おだまりなさい
「花持部長、もう良いじゃないですか? そろそろ素直になりましょうよ。全然、可愛げが無いですよ。って、すみません。また余計な事を言ってしまいましたね?」
(ポッ)「『普通のくせに普通じゃない女ったらし』の君は黙っててちょうだい!!」
なっ、何かさっきより呼び名増えてるじゃねぇか!!
「花持さん……先程の質問にお答えします。こんな『ドジ』で『ブス』で『のろま』な私でも部長としてのプライドは一応あります……」
みみみ美代部長、今ここでそれを言っちゃダメでしょう~っ!!
「ねっ、ほら、あなたもプライドがあるじゃない!! でも今あなたが言った『ドジ』っていうのはよく分からないけど『ブス』で『のろま』ってのは嫌味に聞こえて仕方ないわね!!」
ほらぁ、やっぱりその言葉に引っかかったじゃないですか!!
同性には絶対言ってはいけない『ワード』なんですからね!!
「……部長としてのプライドはあります。と言いますか、ネガティ部を一番愛しているというプライドがあるといいますか……ですので、もしネガティ部が勝負に負けていたら、私はエグゼクティ部の皆さんの前で土下座をして『廃部撤回』をお願いしようと思っていました……」
「えぇ―――っ!? 美代部長、そんな事を思っていたんですか!?」
「は、はい、そうです。こんな私に出来る事はそれくらいしかありませんので……」
わ―――っ、なんて素敵な人なんだ―――っ!!
今直ぐにでも抱きしめたい衝動にかられるぜ!!
「うっ……」
「お~いっ、モチモチ~っ!!」
「誰がモチモチよって、えっ!? えっ!? てっ、天翔君!!」(ポッ)
「僕からも頼むよ~っ!! せっかくモチモチが頑張って創った部なんだからさ~『廃部』にするのは勿体無いと思うんだよな~っ!! それに他の部員達は『廃部』は反対なんだろ~っ? それだったらさぁ、モチモチに部長としてのプライドがあるんなら『部を絶対守る』っていうプライドを持った方がカッコいいし、そっちの部長さんの方が僕は好きだなぁ~っ!!」
「!! すすす、好きですって……!?」(ポッ)
んっ?
テンテン部長が現れた途端、花持部長の表情がとても可愛らしい表情に変わったぞ!! も、もしかしてこれは…………
「花持部長、テンテン部長が珍しく、とても良い事を言っています。いかがですか? 俺もそういう感じのプライドを持った部長の方が大好きです!!」
「!! だだだ大好きですって……!?」(ポッ)
「ヒトヤン君~『珍しく』って、結構キツイ事を言うじゃないか~っ!? でもそのセリフ最高~っ!! 凄く気持ち良いよ~っ!! グゥ〜だよ~!!」
あんたは子龍かっ!?
あっ、子龍先輩を呼び捨てしたぞ。でもまぁいっか。心の中だしな……
「わっ、分かったわよ!! 分かりました!! はは『廃部』はしないわよ!! それで良いでしょ!? こ、この『ダブル女ったらし』めっ!!」
『ダブル女ったらし』って、どういう意味だ!?
俺とテンテン部長の事を言っているのか!?
言っている意味がサッパリ分からないぜ!!
「でも……でも『廃部』はしないけど、前にあなた……そうよ、『普通のくせに普通じゃない女ったらし君』が言っていたネガティ部の『傘下』にはなるからね!?」
俺の呼び名、長すぎるだろ!!
っていうか……
「いや、花持部長『傘下』っていうのは冗談で言った事ですので気にし無くても……それに『傘下』になるっていうのは、高校の部活であまりヨロシクないんじゃないでしょうか? ねぇ、美代部長?」
「そ、そうですね。『傘下』っていうのはあまり聞こえが良く無いと思いますが……」
「フンッ、だったら良いわよ!! ネガティ部の『傘下』にはならないわ!! その代わり、そう、あなたよ!! 私達、エグゼクティ部員全員『
・・・・・・
「えっ、え―――――――――――――――っ!!?? 今のは冗談だ言ったんですよねぇ~っ!?」
「えっ? エグゼクティ部』が一矢君の『傘下』になったって!?」
「一矢、本当なの!?」
「一矢君……あなた、本当に只者ではないわね……」
「ひっ、一矢君!! ぼ、僕はとっくの前から君の『傘下』だからね!!」
――――――――――――――――――――
「フフフ……本当に彼は『名染伊太学園四代目異端児』になりそうだな」
「ほんと、そうですね……」
「海藤君」
「ん? これは理事長に学園長」
「あの子が、あの『ヒトヤン』の息子なんだね?」
「はい、そうです理事長」
「やはり親子だな。容姿もそうだが、全体的によく似ているねぇ。なぁ、太一郎?」
「そうですね、お父様」
「バカモン!! 学園内では『理事長』と呼べとあれだけ言っているだろう!!」
「すすすみません!! おと、いや、理事長」
「いずれにしても、久しぶりに『ルイルイ』以来の騒がしくも楽しい学園になりそうだな」
「そうですね、理事長。ぼ、僕も彼にはかなり期待しています。きっと僕が彼の父親に振り回されていた、あの頃の様な活気のある学園になると思いますよ……」
「布津野君、これからよろしく!!」
「布津野師匠、ヨロシク!!」
「普通の女ったらし君、よろしくね~?」
「わ―――っ!! や、やめてくれ―――――――――っ!! 俺は『傘下』なんていらねぇんだよ―――――――――――――――っっ!!!!」
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