第81話 俺の方がピンチじゃないか!!
早くこの場から立ち去らければ……しかし全然、身体が固まって全然動いてくれない!!
「どう、エリ君? 気持ち良い?」
「あぁ、キリたん、とても気持ち良いよ。気持ち良く過ぎてこのまま寝てしまいそうだよ……」
寝てしまいそう?
「駄目だよぉ。せっかく私がしてあげているんだから、寝るなんて私に失礼じゃないのぉぉ」
「ゴメン、ゴメン……冗談だよ。でも少し怒った表情のキリたんもめちゃくちゃ可愛いなぁ♡」
「もう~また言ってる~その言葉、何度も言われているから聞き飽きちゃったわよぉ♡」
お願いだぁ。もう止めてくれ~聞いているだけで俺が変になりそうだ。
「ハッハッハ、私は全然、言い飽きていないけどね」
「もう~キリ君ったらぁ、まぁ良いわ。別に言われて嫌な事じゃないしね。むしろとっても嬉しいし……」
「しかし、キリたんの『上』は毎回だが、とっても気持ち良いなぁ……」
「そう言って貰えて嬉しいわ。私もやりがいがあるってものだわ……」
上っ!?
うぇーっ!! ってダジャレじゃねぇぞ!!
上って何の上なんだ!?
変なことばかり想像している俺がいるぞ。
こんな15歳の少年には刺激が強すぎるだろ!!
イチャイチャ……イチャイチャ……イチャイチャイチャ…………
しかし、いつまでこのイチャイチャタイムは続くんだ!?
ダメだ、もう我慢できない。
体が動かないならとりあえず扉を開けて2人が何をしているのかだけでもこの目で確認してやる。じゃないと何か損した気分だしな!!
ふ、不安はあるけど、ここは覚悟して扉を開けるぞ。
そーっと……そーっと……
ギ、ギーー……
ソファーに卯馬副会長が座っているな。そして海藤会長は卯馬副会長の膝の上に……
「って、膝枕かよ!?」
しまった!! 期待外れだったからなのかどうなのかはよく分からないが思わず声に出してしまった!!
「だっ、誰だ!?」
「だ、誰かそこにいるの!?」
「・・・・・・」
「誰かいるのは分かっている!! いいから早く出てくるんだ!!」
「ニャ~……ニャ~……ニャ~……」
「あぁ、なんだ、ネコか……って、私が信じるとでも思っているのか!? いいから早く出てこい!!」
ダメだ。誤魔化しきれない……ここは観念するしかないよな。
「し、失礼します……先程はどうもです……」
「ふっ、布津野君だったのか!? 一体ここへ何しに戻ってきたんだ!?」
「い、いや……総会の時にハンカチを忘れてしまったみたいで……そ、それで……」
「それで、隣の会議室に戻ってきたわけね?」
「は、はい、そういう事です。そして会議室のテーブルの上に俺のハンカチはありましたので……だから用事は終わりましたので俺は部室に戻りますね? それではっ、お疲れさまでしたー!!」
「オイ、待て!?」
「ヒェ〜ッ!! おっ、俺はなななななっ、何も聞いてませんし、ななな何も見てませんからご心配なく!! という事でお疲れ様です!!」
「だから待つんだ!? ここから一歩も動くんじゃない!!」
ダメだ!! 逃走失敗だーっ!!
「お、お願いです!! い、命だけはご勘弁をー!!」
「バ、バカな事を言わないで。命なんて取る訳ないでしょ!?」
「そんな事よりも布津野君、君はどこまで聞いて、どこまで見たんだ?」
「な、何の事でしょううか? 俺は何も……」
「嘘はいい!! 正直に言わないと……マジで『取る』ぞ……」
「ウゲ―――ッ!! はっ、はいっ!! 正直に言います!! でも、そんなには聞いてないし、見てもいないですから!! 俺は会長が副会長に甘えた声を出しながら、ソファーに座っている副会長の膝の上に頭を乗せて、2人で『あーでもない、こーでもない』とイチャイチャしている所しか聞いてないし見てませんので!! 全然大丈夫です! ご心配無さらずに!!」
「ぜっ、ぜっ、全部聞いているし、見ているじゃないか―――っっ!!」
恐ろしさの余り、正直に言ってしまったぞ!!
俺はバカなのか!?
「これはマズいわねぇ……布津野君、このままでは君を部室に帰すことはできないわ。今から3人で、ゆ~っくりと、時間をかけて話し合いをする必要があると思うの。そうですよね、海藤会長?」
「ああ、そうだな。卯馬副会長の言う通りだ」
今更、お互いを会長やら副会長で呼び合っても意味が無い様な……
「何か言った、布津野君!?」
「い、いえ、何も言ってません!!」
ヤバいヤバいヤバい、非常にヤバいぞーっ!!
ネガティ部がピンチの前に俺の方が大ピンチじゃねぇか!!!!
お、お願いだぁああ!!
だっ、誰か俺を助けてくれぇぇ――――――――――――――――――っ!!!!
―――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
これで『四大茶部総会編』は終了です。
そして次回から新章『ドッチボール対決編』が始まります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます