第70話 まさかの展開

 チュンチュン チュンチュン


 う~ん……ん、もう朝かよ?

 昨日の疲れが全く取れて無いんだけどなぁ。


 しかし……


 昨日はマジで驚いたな。まさか、ルイルイの『本業』が俺達を散々振り回してくれたあの『占い師』だっただなんて……言われてみればルイルイの本業は朝が早いって言ってたし、合点がいくか。


 ルイルイ本人は本業がバレて逆に開き直っていたな。


 ルイルイが『占い師』になった理由だが『昔から親父の次に尊敬している人が占い師だったからその人に弟子入りした』という事だったが、途中からあんな『インチキ占い』をやりだしたのは去年から『ネガティ部顧問』のアルバイトを始めてからだそうだ。


 理由はいたって簡単、『ネガティ部の部員達が自分の占い通りに行動しているのを見るのが面白かったから』って事らしいが……


 ふっ、ふざけんじゃねぇぞルイルイ!!


 そして思い通りに部員達を動かす為に同年代の『アーカイ部』の協力をもらって部員の個人情報を入手し、その情報をうまい具合に占いに利用していたそうだからたちが悪過ぎる。


 なっ、何ていう女だ!!

 俺達の人生を遊び半分で操作しやがって!!


 そのせいで俺は入部するはずもない『ネガティ部』に入部したんだぞ!! あんなネガティブな性格の人達の相手を毎日毎日しなくちゃいけない羽目になったんだぞっ!! メチャクチャ迷惑な話だ!!


 ……ん?……


 ……俺は本当に心の底から迷惑だったのか?

 『ネガティ部』に入部して本当に後悔しているのか?

 先輩達に出会ったのも相手をするのも嫌なのか?


 イヤ、嫌じゃ無いじゃない……

 逆に、あの人達に出会えて俺は感謝しているくらいだし……


 『性格に問題』はあるが、見た目は学園一の美男美女。そして『性格に問題』はあるが勉強もできる。それに『性格に問題』はあるが、皆さん、とっても優しい……


 普通はそういった人達と出合うのはかなり難しいと思う。


 そうなんだよ。『性格』以外は素晴らしい人達なんだ。そんな人達と出会えたのも『あの占い』からなんだよなぁ……それにこの間の『謎めいた合宿』でも本当は俺達の班は具材無しのカレーライスを食べるはずだったんだ。それがいつの間にか俺達のクラスだけが『合格』扱いになったのも、きっとルイルイの考えだろうし、そのお陰で舞奈もクラスの奴等と仲良くなれた。


 本当にルイルイは『悪い女』なのか?


 面白半分で顧問やっている様に見えて、実は部員達の事を何とかしてやろうと思っているんじゃないのか? もしかしたら、あの『占い』もその為に利用していたんじゃないだろうか……?


 いや、良いように考え過ぎかな?

 う~ん、難しいなぁ……


 ただ一つ言えるのは、俺と『結婚』したいってのはマジみたいだ!!


 その為に本気で『占い』を利用していたし、俺以外の部員には前の晩に『明日早起きして朝のテレビ番組を観たら何か良い事があるかもしれないぞ』みたいなメールを送っていたそうだからな。


 全員、占い通りになれば嫌でもルイルイのプロポーズを受け入れざる負えないだろうという作戦だったって言ったし……


 何て用意周到な女だ!!


 しかし、この俺がルイルイに本気で……いくら親父の代わりだとしても一回り近い年下の俺なんかに『プロポーズ』をするなんてあり得るのか?


 あの後、親父に結婚は諦めろと言われてもそれだけは譲らなかったもんなぁ……それだけ俺の事を思ってくれているのか?(ポッ)


 やっ、止めてくれっ!!

 なんか身体中がムズかゆくなっちまうぜ!!


 今まで年下の女子には告白された事はあったけど、まさか同い年を飛び越えて、年上に告白されるなんて、まるで夢を見ているようだ。


 そういえばあれから親父とルイルイは何やら話をしていたみたいだけど、どんな話をしていたのだろう? 家に帰ってから親父に聞いても教えてくれなかったんだよなぁ……


 親父が部室で言っていた『さすがルイルイやなぁと感心した』って言葉も少し引っかかるし、帰り際にはルイルイの肩をポンポンと笑顔で叩いていたのも凄く気になったし……

 

 いずれにしても『ポジティ部』に関係ある人間の考えている事は全然俺には理解できないぞ。


 まだまだこれから色々とありそうな気がするよなぁ……






「母さん、おはよう」


「あら、おはよう。今日も早起きね?」


「そうなんだよ。何か俺は疲れている時の方が早起きするタイプみたいだよ」


「ふ~ん……『普通に変わった子』ね」


「母さん、『普通』は別にいらないだろ!?」


「あらそう? 『普通』にゴメンなさい。プッ」


「か、母さん……」





『視聴者の方々に残念なお知らせがあります。この番組の人気コーナー『イル姫様の占いの館』ですがイル姫様が体調を崩され長期入院される事になりました。つきましてはイル姫様が復活されるまでの間『イル姫様の占いの館』はお休みさせていただきます。どうぞご了承ください。そしてその間ですが、『スポーツの館』『お天気の館』の時間を五分ずつ増やしてお送りする予定ですのでどうぞ宜しくお願い致します……』



 ・・・・・・?



 え――――――っ!?

 ルイルイ、体調崩したってのは絶対嘘だろ!?


 それに『本業』を休むって大丈夫なのか!? 生活できるのか!?


 って俺が心配する必要は無いけどな!!


 あの占いであれだけみんなに迷惑かけたんだ。しばらくは頭を冷やす為にも休むのも正解かもしれないな。


 それと……


「『館』『館』って何だよ!? どれだけこの番組は『館』が好きなんだ!?」


「あら一矢。あんた、この番組のタイトル知らなかったの?」


「えっ? 知るわけないじゃん」


「そうなんだぁ。この番組のタイトルは『おはよう『館』です!』って言うのよぉ」


「意味分からんわ!!」


「でも残念ねぇ『イル姫様』って前の『トラ姫様』と同じくらい人気があって私も大好きだったのに……早く復活してもらいたいもんだわぁ」


 でもルイルイは母さんを思いっきり嫌っているんですけど……


 それにしてもイル姫様って瑠衣をひっくり返しただけの名前というのは分かるけど、トラ姫様ってのはどこをどうイジってそんな名前にしたんだよ!?



―――――――――――――――――――――


「という事で担任の山本先生が急に体調を崩されまして、しばらく入院する事になりました。なのでその間、本日付で我が校に赴任されました先生が3組の臨時担任として赴任されますので紹介させていただきますね? さっ、どうぞ。中に入って来てくださーい?」


 えらい突然だな? 山本先生は大丈夫なのか?



 コツコツコツ……


 バンッ!!!!


 えっ!!??


「よう、1年3組のクズ共、しばらくぶりだなぁ!? 今日からお前達の担任になった『久地川瑠衣『くちがわるい』』だ!! 宜しくな!! フフフ、これから仲良くしようじゃないか~特に……(チラッ)『ヒトヤン様』はな♡」



 なななな何で……



 何でルイルイが俺達クラスの担任なんだ!!??

 っていうか『教員免許』持ってたのかよ!?


 もしかして俺達の担任になる為に本業の占い師を休む事にしたんじゃねぇだろうな!!??




――――――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


遂にルイルイが部活顧問だけでは飽き足らず?一矢や舞奈の担任に!!

これはもう波乱確定かもですね(笑)


ということで第71話から新章になります。

ただ、濃いキャラが増えてきたということもありますので皆さんに『ネガチャ部キャラ』を更に理解していただこうと思いまして次回は『登場人物一覧』をお送りする予定ですので宜しくお願い致します。


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