第66話 久しぶりの占いだな!!
衝撃の夜が明けた朝……
チュンチュン チュンチュン……
う~ん、もう朝かよ~? っていうか、昨日はせっかく振替の休みだったのに逆に疲れたよな。まさか親父まで加わって今まで知らなかった事をあれだけ聞かされるなんて……特にルイルイの過去とネガティ部の初代部長については衝撃が強すぎたよな。
皆も驚き過ぎてあの後、直ぐにお開きになってしまったくらいだからな。
ただ皆が帰った後に親父と母さんが部員全員の名前を言いながら怪しげな笑顔で俺に聞こえない様に話してたんだよなぁ……
詳しくは聞いていないけど子龍先輩の両親とは昔からの知り合いだというのは前に聞いて知っているからアレだけど、もしかして他の人達の親とも……いや、さすがにそれは無理があり過ぎるよな?
「母さん、おはよう」
「あら、おはよう一矢。昨夜は凄く盛り上がっていたからあんた疲れていると思っていたのに意外と早く起きたのね?」
「えっ? ほんとだ。畜生!! あと30分も寝れたじゃないか!! ボーっとしていたから時計を見て無かったよ」
「フフ、まぁ良いじゃない。『早起きは三文の徳』って言うでしょ。もしかしたら何か良い事あるかもしれないわよ」
「まぁ、そうだと良いんだけどね。ところで親父はまだ寝てるのかい?」
あれだけ喋りまくっていたからさすがの親父も疲れているだろ?
「あの人なら朝1番の新幹線で京都に出張に行ったわよぉ」
「え―――っ!? また親父、出張かよ!? しかし何という会社なんだ!? 昨日、出張から帰ってきたばかりの人間をまた次の日から出張に行かせるなんてさ!! それを素直に聞いている親父もどうかしてると思うけどさ」
「一矢、そんな事言うものじゃないあわよ。あの人は昔から疲れ知らずで出張仕事も楽しみながら行ってるのよ。それにあのテンションでしょ? 毎日家に居られてもお母さん、突っ込み疲れをおこしてしまうわ。適度に出張で家を空けてくれる方が助かるってもんだわ。フフフ」
「ハハハ、言われてみればそうだね? 母さんが俺の知らない所で親父に突っ込みを入れていたなんて、こないだの勉強会で初めて知って驚いたけどさ」
「そうね。今までは一矢に母さんが突っ込みを入れるところを見られるのが恥ずかしいっていう気持ちがあったからあなたの前ではずっと我慢してたんだけど、あの子達と出会った瞬間に何故か我慢できなくなっちゃって……あの子達はホント、突っ込み甲斐のある子達だわ」
「まぁ、それは俺も否定は出来ないな。突っ込みを入れないと成立しない人達ばかりだし。それと俺の『突っ込みマスター』は母さん譲りって事が分かって少しホッとしたしさ……」
「あら、そうなの? そう思ってもらえて母さんも嬉しいわ。逆に恨まれたらどうしようかと少し心配したっちゃし……」
「ハハハ、別に恨む理由なんてないよ」
恨むとすれば、なんで俺の名前を『一矢』にしたんだ!? って事ぐらいだぜ!!
「さーてと、テレビでもつけようかな?」
ポチっとな……
『続いて蟹座のあなた……』
ゲッ!?
またこの『占い』かよっ!?
この占いには俺は2度も振り回されているからな!!
べ、別にお前の占いを信じている訳では無いけどな!!
『男女関係無く蟹座のあなたは今日中に思い人にプロポーズをしないと……』
ん? プロポーズをしないと何だ?……
『プロポーズをしないと死ぬでしょう!!』
また『死』の宣告かよ!?
こんな占いを早朝からテレビで流しても良いのか!?
蟹座の人が可哀想過ぎるぞ!!
それにこれは占いというより予言みたいだよな!?
『続いて獅子座のあなた……』
今度は獅子座か……
『男女関係なく獅子座のあなたは強烈な悩み事が出来てしまいます』
ふ、ふ―ん……悩み事ねぇ……
で、この強烈な悩み事の対処方法はあるんだろうな?
『諦めてください……』
たっ、対処方法ねぇのかよ!!?
何なんだ、この占いは!?
獅子座の人は今日1日メチャクチャ憂鬱じゃないか!!
どうか菜弥美先輩が獅子座でありませんように……
『次に乙女座のあなた……乙女座のあなたは男女関係なく、想い人が他の人に奪われてしまい傷心の1日になるでしょう……』
うわぁ~乙女座の人もメチャクチャ可哀想だな。
もし俺の近くに乙女座の傷心している女子がいたら俺がしっかりと慰めてあげるぜ!! そしてあわよくば……
ってかモテたことのない俺が傷心した女子に何ができるってんだよ!?
はぁ……一瞬でも無謀な事を考えてしまった自分が恥ずかしいぜ。
『続いて天秤座のあなた……』
うわっ、この次が俺の蠍座じゃないか?
ってか、べべべ別に占いなんて信用してないんだけどな!!
『天秤座のあなたは男女関係なく、『少しだけ気になる人』が目の前で他の異性に告白された事がキッカケとなり、逆にその人が『常に気になる存在』へと変化していくでしょう……』
えっ、えらい細かい内容だな!?
これはドラマか何かの話しかよ!!
『続いて蠍座のあなた……』
きっ、来たぁ―――っ!!
ついに来たぁ―――っ!!
い、いや別に期待している訳では無いぞ!!
『蠍座の男性の方……』
えっ、何で蠍座だけ男女別なんだ!?
『蠍座の男性の方は、本日、思いもよらない人からプロポーズをされるでしょう』
はい、消えた!!
ヘヘェ~んだ。高1の俺がプロポーズなんかされる訳無いもんな。それに普通は男性からプロポーズするもんだろ? 女性からプロポーズされるなんて男としては情けない話だぞ。
『……もし、プロポーズを断れば……』
ハイハイもし断ればどうなるってんだよ?
『断れば死ぬでしょう!!』
フンッ、そうくると思っていたぜ!!
15歳の俺がプロポーズなんかされるなんてあり得ないんだから死ぬってのもおかしいんだよ!! このインチキ占い師め!!
『そして蠍座の女性の方……』
おっ、舞奈の番だな?
フフーン、俺全然余裕だし~
『蠍座の女性の方は衝撃的な場面に遭遇し、いてもたっても居られなくなり泣きながら家に帰るでしょう……』
ハッハッハッハ!!
舞奈の性格なら内容によっては泣きながら家に帰るってのはあり得るよな。
でもあいつが泣いて帰ると、きっとその夜に長文メールが俺に送られてくるだろうから、それはそれで面倒だな。是非、何事も無い事を願いたい!!
『そして最後に射手座のあなた……』
ついに美代部長の番だ!!
ってか俺いつの間にかこの『占い』を楽しんでいるような……
チッ、何か悔しいぜ!!
『射手座のあなたは『衝撃アリアリ』の場面に出くわし、『アワアワ』と言いながら気を失うでしょう。救急車の準備をしていてください……』
まず、『衝撃アリアリ』って何だよっ!?
それに『アワアワ』って……
そういえば美代部長は昨日親父の話を聞く度に『アワアワ』って言っていたような……これは非常にマズイかもしれないな。
だからといって事前に救急車の準備なんか出来る訳ねぇだろ!!
しかし、さすが美代部長の星座だな。美代部長だけは何だか当たる様な気がしてきたぞ。これは美代部長の事を今日1日、気にかけておかないといけないな。
「一矢!? いつまでテレビに向かって突っ込みを入れてるの!? もうこんな時間じゃないのぉ!? これじゃぁ早起きた意味が全然無いわよぉぉ!!」
「えっ!? うわぁぁああ、ヤバい!!」
畜生―――っ!!
ついインチキ占いを見入ってしまったじゃないか!!
めっちゃ悔しいーーーっ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます