第124話
「失敗だ。失敗。ぜーんぶご破産だ」
いきなり項垂れ、投げやりに呟く僕に三人は首を傾げる。
「世界全土を戦争でぐちゃぐちゃにして、最終的にイグニス公爵家が勝利する!なんて作戦を当初は建ててましたよー?でも全部ご破産。うぇーい。僕は表舞台に立たされ、こんなことしているんだね!はぁー、クソ」
僕はブツブツと不満を口に漏らす。
「そもそも僕は当主になるつもりもなかったし。裏から世界をするつもりだったし……はぁー」
大きなため息を吐き、哀愁を漂わせる。
「クソ。クソゲーだよ。マジで」
「私たちは偉大なスキア様の姿を世界に見せつけたかったんです」
「まぁ、最初から計画は破綻していたんだけどね……」
僕は完全に置いてかれている三人の方に視線を向ける。
「僕の目的は唯一。小さな頃から変わっていない。世界全土を戦禍に包むのも、帝国を滅ぼすのも全部ついて。全ては教会を、神国メシアを倒すため。……姉を殺した、ね」
「ッ!?」
姉を殺した。
この一言に誰よりも強く反応したのは第三皇女、ミリアだった。
僕には姉がいた。僕よりも遥かに優秀で、僕と同じように前世の記憶があるんじゃないかと疑うほどに優秀な。
そんな姉は死んだ。
僕がまだ小さかった頃に。
「嘘だッ!!!」
叫んだのはミリアだ。
「殺したのはあんただッ!あんたが殺した!勝手に罪を押し付けるな!」
ミリアは自分の心のまま絶叫する。
姉の殺害。
それが、僕という人間の信用を地に叩き落とした事件と言っても良いだろう。アレの結果。今の、一切信用されない厄介者である僕が誕生したと言っても良いだろう。
……あそこが僕の、世界のターニングポイントだった。
「ふん。まだガキでしかなかった僕が……自分の姉を殺せるかよ。姉は天才だ。あのときの僕がどんな手を使ったところで姉には勝てないよ」
「そんな……!そんな……!そんなペテン……ッ!認めないッ!!!」
「お前の許可など要らん。黙れ」
僕はミリアに向かって吐き捨てる。
「黙れよ。黙れ。これから話すことを信じる、信じないもお前の自由だ。例えお前がどちらを選んだとしても世界は変わらない」
淡々と事実だけを並べていく。
第三皇女。その肩書の力はミリアの想像以上に低い。
「だから、黙ってろ。大事なのは第二皇女の選択なのだから」
「……えぇ。そうね。話してちょうだい。すべて。私がこのまま無知でいるのは認められないわ。ずっとあなたの手のひらというわけにも行かないもの。この帝国の未来の皇帝としてね」
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