第103話
この部屋を美しい音楽が包み込む。
そんな部屋の中央で、僕と第二皇女は優雅に踊っていた。
「そっちはどうだったかしら?」
小さな声で第二皇女は僕に話しかけてくる。
「はい」
そして、僕も小さな声で返す。
「……彼女に関して言えばかなり深刻だと思いますが、第二皇女殿下の策に上手く乗ってくれるでしょう」
「あら、そう。それは良かったわ……」
第二皇女が安堵したように声を漏らした。
「他は……?」
「全て問題ないかのように思わえます。全て計画通りに行くでしょう」
「あら、そう……あなたにそう言われるとほっとするわね……」
「僕なんぞの意見を聞かなくとも、第二皇女殿下の作戦が揺らぐことはないでしょう」
「えぇ。そうね。そうでなければならない……。でも、一人というのは、頂点というのは孤独なの……誰でもいいから上手くやれている。そう言ってくれる人が……欲しかったのよ」
……。
僕は想定外の第二皇女、スシャーナの言葉に……何も言えなくなった。言葉を失う。
「……これが、甘えなのは理解しているわ……でも……少しくらいは頼らせて頂戴?」
「……えぇ。僕で良ければ喜んで」
僕は第二皇女に対してそう言葉を返した。
「良かったわ。……さて、次は私が集めた情報についてね……」
ダンスを踊りながら、僕は第二皇女の言葉に耳を傾け、自分の予想との差異がないかどうかを確認していた。
よし。今のところ何も外していない……僕の計画は何の問題もなく進んでいる。
……僕は甘えられない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます