第54話
僕の一言により、議会はこれ以上ないくらいにざわめき出す。
「確認させてもらっても?」
「あぁ。構わないとも」
僕と同じ公爵専用の特別席に腰掛けたエリュンデ公爵家当主、ブリュンドが僕に尋ねてくる。
それに対して僕は快い返事を返す。
「失礼しよう」
エリュンデ公爵家当主は高速で資料に目を通していく。
読む速度は異次元そのもので、すぐに読み終わった。
エリュンデ公爵家当主は机の上に資料を置く。
「……これはどこから?」
「『クロノス』という組織からだな。我が領内で飛んでいる羽虫を潰したら出てきたのよ。随分とマメなようでな。録音すら残されていた」
魔法を使った録音を僕はこの場に大音量で流す。
「なっ……!なっ……!なっ……!」
第五皇子は固まり、二の句を告げられないでいる。
「貴様が取り引きした品。それを使えば魔物を操作することくらい簡単だろう。これはれっきとした証拠になるだろうなぁ。それに、だ。お前には動機があるように割れの目には映るぞ?」
僕は楽しそうに笑いながら言葉を続ける。
誰よりも傲慢に。
この場の支配者は今。この僕となった。
「でっちあげだッ!そんなもの俺は知らぬッ!それに動機などないッ!」
第五皇子は叫ぶ。必死に抵抗する。
「ふむ。現状況が動機であろう?貴様に足りぬ中央貴族たちの支持。第二皇女の元に集まっている中央貴族たちの支持。それを得るための行動ではないのかな?第二皇女に裏切られた哀れな中央貴族たちを寛大な心を持っている第五皇子が許し、自らの配下とする。実に素晴らしいシナリオだとは思わないか?お前が第二皇女を許し、結婚したとすれば、第二皇女に恩を感じておる中央貴族たちは自分に忠誠を誓うだろうからなぁ」
僕はにやにやと笑いながら告げる。心底愉快だ。それを全面的に表し、僕は告げた。
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