第42話
「まぁ、結果は残念だったがそこそこ成長はしていると思うぞ。多分僕を抜いたらこの国でトップに立てるレベルには」
僕は息を整え、死にそうな状態から回復したアインスにそう告げる。
「……本当ですか?」
「あぁ。本当だ。よく頑張ったな」
僕は座り込んでいるアインスの頭を優しく撫でてあげる。
「ありがとうございます……」
僕の言葉にアインスは頭を下げる。いやぁー素直で僕も嬉しいわ。
「よし。じゃあ仕事の話をしようか」
「はい!」
僕の言葉にアインスは元気よく返事をし、立ち上がる。
「第五皇子の取引の件ですよね?」
「うん。そうだね」
僕はアインスの言葉に頷く。
現在ローオス帝国では皇子たちが次期皇帝の座を狙って政戦を繰り返していた。皇帝が昏睡状態となり、次期皇帝を決める必要が出てきてから早三年。勢力図もそろそろ固まってきた。たくさんの候補がいたのだが、今残っている有力な候補は全部で4つ。
皇帝の長男である男で、今までの皇帝の多くが長男だったという理由で保守層から支持を受ける第一皇子
第一皇子を遥かに超える才能を持っている天才であり、この国の宰相補佐。文官からの絶大の支持を集める第二皇子
唯一海外への留学経験を持つ男であり、海外に存在する強いコネを一番の武器とし、他にも自治権を持たない属州への自治権を褒美として属州からも高い支持を得ている第五皇子
皇子の中で最も武勇に優れている戦いの天才で、武官から絶大な支持を受ける第七皇子
これら4つだ。
第五皇子は海外、属州へ強い権限を持っているもののローオス帝国の中央貴族たちからの支持は薄い。そのため、第五皇子はそんな現状を打破するために計画を動かしていた。
その計画を打ち破るべく僕も動いているのだ。
「『クロノス』の支部の一つをガイア様の名の元に潰しておきました!第五皇子と『クロノス』の致命的な交渉の印をガイア様が奪還保有している状態です!」
「……は?」
僕は呆然と言葉を漏らした。
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