第34話

「はーい。よく食べるんだよぉー」

 

 僕はそんな事を言いながら試験用の魔物たちにエサを与えていく。

 

 魔物。それはこの世界におけるイレギュラーとも言える存在。

 強い感情を抱いたままその存在が死んだ時、その存在が持っていた『魔術を使うときに必要になるすべての生命すべてが保有している力』である魔力の一部がこの世界に留まり続け、それらが変異し、合体し合うことで生命全てに深い憎悪を抱いた生命が誕生する。

 それが魔物と呼ばれる存在だ。

 だからこの世界では人が死ぬ時強い感情が抱かないように様々な工夫がなされている。

 

 例えば、この世界では死刑を行う前。

 死刑を受ける人間の心を、拷問、飢餓、長年の拘束などにより、ぶち殺してから死刑を行うことになっている。犯罪者に人権はないのだ。処刑された人間の死体は必ず晒されるのだが、その死体は醜悪そのもの。体に刻まれる数々の拷問の後、骨が浮き出るほどのガリガリの体で、髪はすべてストレスで抜けているそんな死体の数々だ。

 市民のほとんどがあんなふうになりたくはないと思っているのか、死刑になるような犯罪を起こる可能性は限りなく低い。殺人事件なんてほぼゼロに近い。この帝国、世界は。

 

 そんな魔物は人類の脅威であり、倒すべき相手。そして、それらを倒すのは僕達戦うものの役目。

 戦うものを育てる学園では魔物との実際に戦う授業があるのだ。

 これらの魔物はその時に使うことになる魔物だ。

 

 魔力から生まれたこいつらではあるが、何故かこいつらはちゃんと肉体を持っていて食事も必要とする。

 そんな魔物の世話を第二皇女は任されているのだ。

 僕は今、第二皇女の代わりに魔物に餌やりをしているのだ。今、第二皇女はとある大貴族とあっていて忙しいから。


「ふぅー」

 

 僕はすべての魔物にエサをやり終え、ほっと一息を吐く。

 その後、僕はちゃちゃっと後片付けを終わらせる。

 

「んあー」

 

 そして、僕は今僕が住んでいる家に向かう。

 魔物の餌やり。それで今日僕が学校でやらなきゃいけないことは終わりだ。

 学校で授業を受けて、その後第二皇女のお手伝いをして。結構ハードな一日だぜ。

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