第33話

「そっちの書類を取ってちょうだい」


「はい」

 

 僕は第二皇女に言葉に従い、僕用の机の上に置かれていた書類を渡す。


「ありがと」

 

 第二皇女が僕に笑顔を浮かべ、お礼を言ってくる。

 

 僕は今、第二皇女と一緒に書類仕事をこなしていた。

 ちなみに二人だけだ。書類仕事をこなせる人が僕以外にいないらしい。

 まぁ、第二皇女は優秀だが、女なのだ。中世に似ている文化、価値観で男尊女卑がバリバリ存在している世界だ。

 女である第二皇女に書類仕事が回ってくることはなく、当然文官の部下もいない。個人的にこそこそ動いてるため、書類仕事はあるのだが、他の人に頼めないのだ。勝手に個人的に動いているのがバレると大変なことになってしまうのだ。

 

「本当にあなたの書類仕事の速度は早いわよね」


「ありがとうございます」

 

 僕は第二皇女の言葉にお礼を口にする。

 まぁイグニス公爵家の書類仕事は全くしてこなかったけど、『クロノス』とか、色々なことで書類仕事はこなしてきたからね。

 書類仕事は慣れたものだよ。

 『リーエ』ならば書類仕事も出来て当然だろう。そういう『一族』なのだから。

 

「じゃあさっさと今日の分は終わらせて、剣の修行でもしますか」


「はい。承知致しました」

 

 僕と第二皇女はかなりの速度で書類を捌いていった。

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