第22話
食料不足。
それは非常に憂慮すべき問題だ。
北の大地の大半は不毛な土地であり、ガナダルシア砦の近くにある村々は自分たちが生きていく分の食料しか持っていない。
それ故に他の村から食料を徴収してくることも出来なければ、王都からこっちの砦の方まで運んでくるのも非常に苦労する。
だからガナダルシア砦には小さな畑があるし、月に一度。森に向かい、森の動物を狩ることになっている。
ガナダルシア砦に勤務している兵士たちが軍の中で一番狩猟が上手い部隊だろう。
僕と第三王女はガナダルシア砦の執務室の窓から森の中へと入っていく狩猟部隊を眺める。
「彼らが無事に帰ってこれると良いのですが……」
「今僕たちが出来ることなんてありませんよ。僕達に出来るのは一刻も早く北の遊牧民たちを全滅させられるように努力することだけです。我々の仕事は彼らの負担を少しでも減らすことだよ。そのために祈るなんて不確かなことしてないで、仕事して」
「……」
僕の言葉を聞いた第三王女が僕をジト目で睨む。
「何?」
「祈りが不確かなこと、ですか?教会に怒られますよ?」
「ご生憎さまどれだけ祈っても人は死にますからね。僕は祈れば救われると騙されて何もしなかった。平民、貧民たちが死に絶えていくのを間近で見ていますからね。祈るくらいなら何かしますよ。僕はそうやって生き残ってきたので」
「……そう、ですか」
第三王女は悲しげな声を出す。
別に僕が神を否定したからではないだろう。この人はそれほど信仰心あふれる人ではないし。
ただ人が死ぬ。そこに悲しみを抱いたのだろう。この人は心の底からのお人好しなので。
僕は最早僕人が死んだくらいで悲しむような感性を失ってしまったが。
『一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない』というのはよく言ったものだよね。
「ほら、仕事しますよ」
僕は棚に重ねられて置かれている書類の束を手に掴む。
バサバサ
僕がその書類の束を持ち上げた時、たくさんの手紙のようなものが落ちてくる。
「ん?」
「あっ!だめ!」
僕はその手紙を手に取り、中を確認する。
「これは……恋文?」
カクヨム文芸部 書評バトル!らしいですよ?
誰か書いてください。お願いします。
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