〇キャラクターのなまえ
個人的には、登場人物のなまえに「美靴」と名づけた時点で星3個。
個性的ななまえは、小説のよいアクセサリーになるが、やりすぎると読み手がついて来なくなる。その点、ちょうど良い名づけだと思う。
この作品の固有名詞は、映画「キングスマン」から取られているようだが、「美靴」もそうなのだろうか(まだ観ていないのでわからない)。
由来がどこから来ているのかはわからないが、とにかく、「美靴」がどうなるのか気になるなまえであった。
登場人物のなまえに惹かれたのは、「吾輩は猫である」(夏目漱石)、「赤西蠣太」(志賀直哉)以来。
〇構成
複雑な構成を、文章のおもしろさでうまくまとめている。
オチは、途中でふたつ思いついて、その一方が当たったが、うまい閉じ方だったと思う。
〇物づくし
日本文学の伝統に、物の羅列というものがあって、それこそ、平安の枕草子の時代から、日本人は物語を書くときに、物の羅列を好んで来たのだけれど、この作品でも、その物の羅列が、効果的に使用されていて、感心した。
作者は適当に並べただけかもしれないが、並べ方でリズムと印象が変わる中で、うまく配置されていた。