第6章 策定者《フォーミュレーター》

第1話 自分が『選ばれた人間』って思った事がある人って少なくないと思うけど、歳を重ねると同時に、そんな考え消えていくよね。

 ……この人は……突然、何を言い始めたんだ?


策定者フォーミュレーター……って…… 何?」……僕が次に言えるセリフはこれ一択だ。


 狭間さんは……「……本当の所、私も詳しい事は知らないんだけど……」……と前置きをして、話し始めた。


『フォーミュレーター』とは、日本語では『策定者さくていしゃ』と表現される、特別な人達の事……だと言う。


「私……そんなもの知らなかったし、自分がそんなものになるなんて……思って無かった……」 ……狭間さんはそう言って近くの席に座り、話を続けた。


 ……今から何年か前……


 詳しくは語らなかったが、狭間さんは命の危機に瀕していた。 自らの最期を悟った彼女は、心から『死にたくない』と願ったと言う。


 ……すると突然、目の前に筋骨隆々の光り輝く男性が現れ『条件を飲めば、命を救けてやる』……とのたまったそうだ。


 狭間さんは、死の恐怖から逃れようと、藁にもすがる思いで、その男性に『救けて下さい!』……と懇願した。


 その時の交換条件が、これからの人生を『策定者フォーミュレーター』として生きる事だった。


……その『フォーミュレーター』とはなんぞや?



 ……読者の方々は憶えているだろうか?


 僕が『ナメくん』と出逢ったのは、僕が『完璧な人生を歩みたい』……と願った事に端を発している。


 まあ、ナメくんと出逢った事により『失敗した〜(汗)』と思ったら、ぐに同じ時間を何度もやり直す事が可能になったので、そう言った意味では『完璧な人生』の夢が叶った……と言えるだろう。


 でも実は……僕個人の、そんな小さな願望よりも遥かに巨大な『願望』が進行していたらしいんだ。


 ……それは……『完璧な』の実現(!)だ。


 その実現の為に選ばれ、人知れず活動している人々……それが『策定者フォーミュレーター』だと言う。



 ……ふとナメくんを見ると……狭間さんに敬意を表するように、彼女に頭を下げている!



 ……僕自身に起こっている『完璧な人生への布石』もナメくんと逢えた事で現実味を帯びて来たし、挾間さんの『策定者フォーミュレーター』の話も、満更まんざら与太話よたばなしとは言えないよね!


 …………


 ……で?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る