第四話 炎に包まれた心
時雨が部屋に入ると、目の前に表すのはベッドと机だけ、何もない部屋だ
「どうやら、家具を支度しなきゃならないね。いきなり全寮制と言われてもなかなか慣れないよね。叔父様に内緒しなきゃ。家から何とか荷物を運んでこないとね。まあ、叔父様は普段家に帰ってこないし、ばれないよね。にしても、こんなにたくさんのかわいい子が集まる場所、なんか楽しそうよね。」
机の上には、最新型のモグラが用意している。モグラとは、
「最新型のモグラ、つけてみたかったなあ。生活品質アップだね」
嬉しい気持ちと目の前のややこしいことが混じり合う状況にも関わらず、時雨はベッドに横たわって、もっと深刻な問題を思いついた。
「そういえば、こんなグループに入ったら、私、みんなの足を引っ張るんじゃないかな、私なんかに入ってくれて、いいのかな。」
「もう、考えてもしょうがないじゃん、とりあえず頑張らないと!」
「まずは、せっかくだし、日用品を支度しましょう。」
部屋に出て、ドアを開けるところの心乃とぴったり遭遇。
「時雨ちゃんも出かけるの?」
「え、私はデパートへ行くつもりですが、部屋に何もないので日用品を支度しようと思いまして、心乃ちゃんは?」
「一緒じゃん!わたしもデパートへ買物に行く!一緒に行ってみない?」
ええ、心乃ちゃんと出かけ?これ、もしかして、デート?
「いいですわ、せっかくですし」
「いよいよ、時雨ちゃんとの デ、ー、ト」
「何をおっしゃるのですか。たまたま都合がいいです。」
「素直じゃないわね」
わわ、喋った、こんな言葉をあっさりと口に出すなんて、恥ずかしい
「時雨ちゃん、既に最新型のモグラ、つけてるね。」
「はい、ずっとほしいものなので、つけてみます。心乃ちゃんもつけてみますか。」
「私はいいよ、機械音痴なので、マニュアルを読むだけで手間がかかるのよ、別にいいじゃん。」
「そうですか。もしお手伝いが必要なら気軽に聞いてください。」
「わかった。頼りね、時雨ちゃん。」
浜海の夕方、人が途絶えず、モグラからの情報を取りながらぞれぞれの目的地へ進行。
「今年5月1日、国会下院の議員選挙が行われる予定です。注目すべきなのは、モグラによる通信投票が可能となり、投票率が90パーセントへ急上昇の見込みです。」「浜海第10選挙区の正本議員が出馬表明」
「俺も最新型のモグラ買っちゃおうか」「やっぱりモグラがないと生きていけないね」
エレベーターに降り、羅長ビルの正門を出て、大通りの向こう側に立つのは
「首急モールNR威文駅前店」
都内大手の鉄道会社「首都急行電鉄」が運営しているチェーンショッピングモール。
アクセス抜群、最新技術を入れる看板、人の目を引く商品がずらりと並んでいて、
スーパー通販が普及している今でも、訪れる人が大勢いる。
「ねえねえ、時雨ちゃんって、ここ来たことがある?」
「ほぼありません。私、インドア派なので、今日は偶々買い物で」
「そうなんだぁ、私、結構そういう雰囲気好きだなあ。偶にはここへ来て、ウインドショッピングしてもいいんじゃないと思って。」
「そうですね。」
「時雨ちゃん他の予定はないよね。あと付き合ってくれる?新しい洋服、かわいいアクセサリー買いたいなあ。」
「大丈夫ですよ。日用品はあとでいいです。」
「やった!」
心乃ちゃんとお出かけ、緊張しちゃう、でも、嬉しいなあ。
「ほら見て、このドレス、リボンついてるよ、かわいいよなあ、時雨ちゃん、きてみて!」
「私、こういうふわふわした服、あんまり着たことがないですよ。きっと似合わないですから。」
「またまた、遠慮なく遠慮なく」
「心乃ちゃん?」
「どう、かな?」
「かわいい、すっごく、かわいいよ、今日は最高の日だよ!」
「そう、ですか。かっちゃおう、かな」
「せっかくだし、新生活祝い、時雨ちゃんへのプレゼント、この服でいい?」
「あああ、いやいや、こんな貴重なプレゼント、うけるわけには!」
「別にいいじゃん、かわいい服を着てくれるだけで嬉しいよ。毎日こんな服を着る時雨ちゃんの姿を見てみたいなあ!いいから、いいから」
「すみません、この服ください!」
「ちょっと待ってくださあああい!!!」
「ありがどうございました」
矢のようなスビートで決済済み。
「時雨ちゃん、これ、受け取って」
「心乃ちゃん、勝手に買っちゃいました、もう!気持ちがうれしいですけど、どう返すのでしょうか。心乃ちゃんの好物まだわからなくて、何のプレゼントを選べばいいのでしょうか。私も心乃ちゃんにプレゼントを送りたいです。」
「いやや、私はいいよ。別に返しものを求めるわけでもないし、まあ、もし必ずプレゼントをくれるのなら、もう一度、時雨ちゃんのピアノ、聞きたいなあ。」
「ピアノ、ですか。私は、長い間ピアノを弾いてないから、うまくいかないと思いますよ。
この前は、流石に恥ずかしいところを見せてしまって、」
「時雨ちゃんのピアノ演奏、すごくすごく、上手いよ、リズム感が強く、私もついボーカルを付いっちゃった。また聞きたいなあ!」
「ほめてくれてありがどうございます。私のわがままのお願いですが、心乃ちゃんのボーカル、ぜひいれてください、私も一生懸命練習したいと思います。」
「ぜひぜひ」
心乃ちゃんとの初デート、心が暖かくなるよね、こんな幸せな時間、ずっと続けばいいのに
時雨は日用品を支度したあと、別れの時になった。
「それじゃあ、私、用事があるので、時雨ちゃんお先に帰ってて」
「はい、お先に失礼します。」
そのところ、二人とも怪しい音が聞こえた
「さき、変な音が聞こえますけど、心乃ちゃんも?」
「さあ、そうだなあ、なんだろう。」
突然、床が揺れ始め、天井が裂け、何かが脱落した。そして、倒れたお年寄りや、泣き始める赤ちゃんがいた。
「まさか、巨大地震?」「いややあああああ!」
不安の雰囲気が満ち、途方に暮れた人々、彷徨ってたまらなくなる。
「皆さん、早く避難しなさい!非常口へお越しください!」
スタッフの誘導に従い、人々がモールの外へ出ていく。
「心乃ちゃんはどこですか。大丈夫ですか。」
時雨が人の群れに吞み込まれ、非常口のほうへ連れていってしまった。
「わああああ、火災!」「モールが、炎に吞み込まれてしまう!」
先まで栄えたモール、人間煉獄になってしまった。
「心乃ちゃん!どこ?どこ?返事して!返事してよ!」
そとにいる時雨が、炎にのまれているモールの様子を見て、心臓が止まるように、戸惑った。
「心乃ちゃんの連絡先まだわからなくて、どうしょう。」
「お嬢さん、近づいてはいけません、危ないですよ」
「私の友たちがあそこにいます!助けてなければ!」
「私たちは助けますから、近づかないでください」
「心乃ちゃん、どうか、どうかご無事で」
「18時33分、浜海都大都会区の首急モール威文店で火災が発生しました。当事者によると、床が揺れ、天井が脱落だという、事故の原因まだ不明」
「あの辺、なんか光ってるぞ!誰かいるか!」
消防士が廃墟みたいなモールを探し回り、生存者を探るところ、二階の一角で、変で光っている瓶を見つけた。
「これって、なに?」
「さあ。とりあえず上に報告しよう。」
同日 19:10 浜海都庁 災害対策本部
「部長、災害現場で、変な瓶を見つけるそうですが、これは、もしかして人為的な事件なのでしょうか。」
「そうだね、そうかもしれないが、本来ならば普通な災害として、消防署と都警だけで済ませるのだが、国のほうからの圧力が押し寄せてきた。なんか変だな。まあ、後は国土交通院の人から捜査の任務を受けるから、放っておけば構わん。」
「かしこまりました。」
19:50 科羅都 国土交通院
「大臣、例の件、こちらから受け取りになりました。あれからどうしますか。内閣府と宮内院にも通告しますか。」
「こっちのほうが通告したから、あと、マスコミに、「ただの電気短絡だ」と伝えておけ」
「かしこまりました。すぐお伝えします。」
「また、
星と少女の章~星下の少女たちの物語 ザ•ステラ•アリナ プロジェクト「トロ星」シリーズライトノベル PTRS/THE STELLA ARINA 内嶋つまる @uchishima
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