【バグズ視点】暗躍のバグズ

 デイブック南部の更に南の未開地にバグズは戻る。

 もっと強くなる必要がある。

 もっと魔物も人も殺す。

 

 もっと強い軍が必要だ。

 もっとエースを育てる。

 

 俺は毎日魔物を狩って過ごした。

 

 ウインに斬られた腹の痛みを思い出す。

「ぐううらああああ!」

 ブラックベアを斬り倒し、雑魚のゴブリンを巻き込んで斬り倒す。


 避けられない雑魚め。

 弱い部下にイラつく。

 まだだ!まだ足りない。


 もっともっともっともっともっともっともっと魔物も人も殺して殺して殺す!


「いらついて、いるようだ、な」

 たどたどしい言葉のゴブリンが現れる。

 背は普通のゴブリンより小さく、1メートルも無いかもしれない。

 だが背中には異様に大きな剣に布に巻かれ、アンバランスな印象を受ける。


「見ない顔だな」

「おれは、おまえを、とおくから、みていた。めんとむかってあうのは、はじめてだ」

「お前、名前持ちか?」

「そう、グラブ、だ」


 名前持ちとは、魔物が進化し、到達する最上位の存在だ。

 特徴としてはレベル100を超えている事。

 そして固有スキルを持つ点だ。


「何の用だ?」

「きょうりょく、したい。みたとおり、おれはつよくはない。できるのは、れんきんじゅつ」


 グラブは背負っていた剣の布をほどき、俺に差し出した。

「まけんだ、せいめいりょくを、すうが、きょうりょくな、ぶきだ」


 魔剣は俺に合うように作られており、大剣サイズの魔剣を両手で振る。

 斬った木が手ごたえ無く両断された。


「気に入った。他にも作れるか?」

「ざいりょうが、あれば、な」


 ゴブリンエースすべてにこいつの武器を持たせて、デイブックに侵攻する。

 デイブックを手に入れ、その後にアーサー王国を潰す。

 ウインを殺す。


「俺は竜を殺してくる。足りない材料はすべて部下に用意させる」

「このたいりくの、じょうほうがほしい」

「部下に聞け」

「わかった」




 ぐおおおおおおおおおおお!!

 竜の叫び声にかまわず俺はとびかかる。


「キングタイム!」

 1分間戦闘力を2倍にするスキルを使って竜の腹下まで一気に走り、下から首を斬りつける。

 竜の血を浴びながら何度も斬りつけて竜を倒す。


 いい剣だ。

「お前ら!解体してグラブに届けろ!!」


 待っていろ!ウイン!

 殺してやる!

 すぐにお前を追い越して殺してやる!


 俺を見下すやつは許さない!

 俺を下に見るやつは許さない!

 俺は勝ち続ける!


 ここにいるドラゴンを全て殺す。

 次に残った魔物を殺す。 

 そしてデイブックを潰したら次はウイン、お前だ!




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