原子から分子へ

 何かが存在する可能性だけが存在していた無。


 運動エネルギーを保有した魔素に満たさた生動界。


 時間と空間が定義され、属性の基礎が生み出され、さらには最初の神と呼べる二柱が誕生した要成界。


 質量を持った摩素と、その摩素から生み出されたいくつかの属性。

 その属性から生成された原子。

 属性を司る神々が誕生した素物界。


 小さな世界イッツ・ア・スモールワールドは、動きが生まれた事により定義され、要と成る物が生まれ、そして、物質の素が発生し原子が生成された。

 世界は次のステージへと続いていく。


 複数の属性の纏まりから成る原子。

 電属性により纏められた原子。

 運動量を介入する熱。

 引力と斥力の和である重力を獲得している原子。

 波動属性により運動する原子。


 原子はさらに大きくなるだけの素養を持っていた。

 カレはこれに介入し、より自分が作り出したい状態へとなるようにしていく。


 風属性が多い気体を作った。

 水属性が多い液体を作った。

 土属性が多い固体を作った。


 火属性は固体を液体に、液体を気体にした。

 氷属性は気体を液体に、液体を固体にした。


 電は気体を、液体を、固体を繋げ伝わった。


 これらをカレは分子と呼んだ。


 分子は保有する斥力と引力の和が異なっていた。

 分子は保有する運動量がそれぞれ異なっていた。


 種々様々な、カレにとって都合の良い分子が世界に満ち溢れた。

 カレにとって都合の良い世界とは、カレがいる原初世界でコンテンツとして売れる状態の世界だった。

 彼はゲームクリエイター。

 小さな世界イッツ・ア・スモールワールドを使ったゲームを作る仕事を熟す者。


 世界は物で満たされた。

 されどゲームと呼ぶには程遠い。

 環境シミュレーターをゲームとして遊べるのならば、これはゲームと呼べるだろう。

 だが、彼はそういったゲームを作りたい訳ではなかった。

 カレは更なる変化を世界に求める。


 カレは今の状態の世界を俗物界と呼んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る