作戦No.0018 潜入ミッション始動
リアンとラークの功績により、要塞都市とヤーレスの町が通信によって繋がった。
なので、ストル達部隊員全員で次の作戦について話し合うことが可能となったのだ。
『通信が来たのが昨日と今日。どっちも夜中に1回ずつ来てるね』
「ふむ……どう思う?リアン」
「うーん、怪しい…かな」
ヤーレスの町にある通信装置は高性能で、それの反応する範囲は相当だ。流石に敵の無線は暗号化されていて覗き見ることができないものの…
『でも、無視はできないんじゃない?』
…一般人が出すようなものは、簡単に拾うことが出来る。
それが、ヤーレスの次の街から発信されているのだ。俗に言う、SOSというやつが。
「まあ、な」
ドラードは机に足を乗せる。
みんな頭を抱えたいような状況だ。
なぜならば、その町は敵が占領している街だからだ。
『次の街と言うと、確かエルトだったね』
「エルトって確か…」
ラークの言いたいことは、みなまで言わずとも全員に伝わる。
エルトは首都カルボに次ぐ巨大都市。軍の中でこの街を取り返すことが反撃の大きな1手とされている。そして、それは何度も失敗していることなのだ。
はっきり言って、ここを取り返せば英雄になれると軍の中で囁かれている。
「………」
『行きましょう。別に、取り返そうというわけではないもの』
「うむ、そうだな。とりあえず今回は無線の調査と状況によって民間人の救助が任務となる。そして、それらを
「潜入捜査…ということか」
ドラードは乗り気な様子。ストルも「ああ」とうなずく。
『かぁっ!!潜入かよ!つっっまんねえな!』
『あ!ガスポート逃げる⁉』『待って〜!』『あ、ちっ…お前らっ…来るんじゃねぇ』
段々とその会話が小さくなっていく。無線越しで見えないが、声で判断するに、おそらくガスポートと双子が退席したのだろう。
ストルは、はあ…とため息をつく、がすぐに切り替えた。彼ら、特に、イストリアとヒストリアの事は考えるだけ無駄なのである。
「とにかく、大人数で行くと目立つから2人を潜入させようと思う」
はーい、とラークは意見があるようで、手を上げた。
「ヤーレスを取り返すくらい強いクレルとシェーロちゃんが行けばいいのでは?」
しかし、ストルはそれに賛同せず首を横にふる。
「いや、ヤーレスにいた敵兵士がエルトに逃げ込んでいる可能性がある。顔が割れるのはまずい」
「だから、2人のうち、1人は俺だ。何度か経験があるからな」
ドラードが立候補。ストルもそれに反対しない。
ならば後は1人。
「そうだな。要塞基地から呼ぶのは時間の無駄だ。ここにいる中から決めよう」
つまり、リアンかラークのどちらかということだ。
「………」
「………」
お互いに顔を見合わせる。
その実、目線で押し付け合いを勃発させていた。
「よし、お前に決めよう」
「え?え?」
ガシッと肩を掴まれ捉えられたリアン。理由は簡単、ドラードの隣に座っていたからだ。
「ほう、なるほど…まあ、何事も経験だ。これを機に潜入術を極めるといい」
「いやあああああ!!!」
ズリズリとドラードに引っぱられ、リアンは敵地へと向かっていったのであった。
「嗚呼…ご冥福を……」
「クレル!縁起でもないことを言うのはご法度だぞ」
「はい!ごめんなさい!!」
―――――――――――――――
ドラードに連れていかれたリアンは、外の、クレルとシェーロが戦闘したときの死体の元へと来ていた。
「よーし、潜入するんだからこいつらの中から服奪わねえと」
リアンは嫌な顔をする。なにせ血まみれで倒れているのだ。主に、クレルが撃った敵が殆どで、血がドクドク出た跡があり、それが服にべっとりと付いている個体ばかりだ。
「…血がついてたら怪しまれちゃうんじゃない?」
「いーや、逃げ遅れた敵兵士を演じるためには、多少は血がついてたほうがいいだろうさ」
ゴソゴソと死体漁りをしながらドラードは答える。既に上の服はいいものを見つけたようで、腕にかけている。それを見てリアンもいやいや死体を漁る。
「…お、これなんかいいんじゃないか?」
ドラードが差し出してくるそれは、確かにリアンが今まで見つけたものよりは幾分かマシだ。渋々受け取る。
「ズボンがねぇな…これ……これかぁ……まあ、洗えばいいか…」
「うう…血が…」
手が血でベトベトする。早く手を洗いたいので、取り急ぎ状態のいいものを見繕う。
「よし、流石にこのまま着るのは気持ちわりぃから洗って…あと、レクシブも必要だな…まあ、とにかく洗うか!」
何よりも、不安な気持ちを全身に浴びて、リアンはドラードに言われるままに付いていくのであった。
―――――あとがき―――――
うえぇ…血が固まって気持ち悪い…このまま次回まで持ち越されるとは思わなかった。
はい、リアンです。
よりによって2人きりで潜入って…不安だわ…
はあ…
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