北斎とお栄-その晩年

作者 海石榴

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★★ Very Good!!

 内容としては、北斎とその娘の伝記なのですが、芯となるそのストーリーを軸に、江戸での暮らしぶりが丁寧に描かれています。
 特に言葉遣いや、感情の動きなどは、いかにもきっぷの良い江戸っ子気質が表現されています。ポンポンと出てくる言葉のキャッチボールは爽快ですよ!

★★★ Excellent!!!

この国を代表する絵師――葛飾北斎の名は有名です。しかしその娘、お栄という絵師まで知っておられる方は少ないでしょう。私の偏見かもしれませんが。

本作は、北斎のみでなく、そのお栄にもスポットを当てているのが白眉だと思います。

そのお栄が、北斎の生涯をまるで浮世絵の如く、ぱらりぱらりと捲るようにその過去のシーンを切り取って回想し、物語は始まります。

そしてこの時代の江戸の情景――その洒脱なところも汚いところも見たままをえぐり取ったかのような描写が見事ですね。

一幅の画のようであり、そうかと思えば長尺の、どこまでもつづくパノラマのように広がっていくこの物語、ご一読してみてはいかがでしょうか。

★★★ Excellent!!!

語彙力、表現力はじめ基本的な文章力がとても高い作家さんと思いました。知識も考証もとてもしっかりしているのに、投稿小説にありがちな「ここ必要なところだから書いとかなきゃ・・・って感じで頑張って書いてるわ・・・」などとは感じさせません。キャラも生き生きとしていてとても自然に読め、小説としても面白いです。北斎の死後、娘のお栄がどうなったかははっきりしていないようですが、この作者さんの想像力でどのような最後にしてくれるか楽しみです。

★★★ Excellent!!!

画狂い北斎と、その血を色濃く継いだ娘・お栄の日常。その異才ぶり、破天荒ながら画には真摯、画への執着は他の追随を許さず、、北斎の偉大な画業の秘密の一端が窺えます。
語り口調は江戸っ子らしく諧謔に啖呵に憎まれ口まで、活きのいい科白は唾も飛んできそうな勢い。すぐ目と鼻の先で見ている心地がします。
脇を固めるのは、現代に名を残す戯作者や画工でいずれも一癖あって、役者揃い。
達者な文章で江戸時代へと連れていってもらえます。江戸の市井と、不世出の奇矯な画工に出会う旅を、楽しまれてはいかがでしょうか。