第212話―陽光のみぎりブルースカイ4―
知り合いのアイドルライブが盛況で飛行機でパーティーを開く。その場ペネお嬢様のノリから。
お嬢様の戯れでも諧謔でもなく本当に開催され俺までここへいる。その行動力には茫然自失することもなくなったけれど理解の
(は、はは……これがメタバースの架空の世界だって誰かが告げても信じてしまいそう。
でも、こんな機会は滅多にないだろうし。
外の景色でも楽しもうと)
飛行機のなかでエレガントな
(当たり前だけど雲が近くに見える)
窓の形はアーチ状で大きさは人の身丈ほどまである百と六十の高さ。
窓からの景色をまず目にして心に揺れたのは雲。
こういった景色を眺めようとするなら街並みを見下ろしたりや見渡す限りの青い空。
だけど真っ先に見たいと感じたのが漂う雲。
「マナリン立ち食いパーティー楽しい。
それでこの漢字表記で当たっている」
数メートルだけ離れた位置からブイチューバーとして活動する不死川さんが真奈に質問をしている。外の景色から目を離せずに耳だけ傾ける。
「あー、これはねぇ
立ち食いは普通に送り仮名で書くようにねぇ」
「うおわぁッ!?あ、危ねぇ……。
このまま誤字で動画に出すところだった。
やっぱり聞いてよかった。ありがとうねマナリン」
「フフ、どういたしまして。
張り切っている紬にフルーツケーキ一口だけ差し上げる」
一口サイズをフォークで口元まで運ぶのかな。どんどん真奈の包容力が甘くなってきている件。
「マッ!?マジで。でもカロリー気になるから遠慮しておくね。気持ちだけ受け取る的な」
ストレートには断らず食べれない理由を述べて遠慮した。最近は会わないうちに不死川さんも成長しているのだなと俺はしみじみとなる。
よし帰ったら新しい百合作品のプロットでも書こうかなと決意する。一月から三月に放送された2023年のアニメでファンタジア文庫のラノベである『転生王女と天才令嬢の魔法革命』のアニメを観たが大変に楽しめた作品。
脚本が
作画も良くて可憐なヒロインのやり取りは百合系をたしなまない人でも満足できると思う。
「あーーッ!どこで姿を消したかと思ったら。
こんな所にいた兄」
「その声は……猫塚さん?」
祝福されるべき主役の弾むような声が掛けられて俺はゆっくりと半円形を描くような動作で向く。
何か用なのかと定石な言葉を言おうとして目的がすぐ察した。彼女の両手には二眼レンズのカメラを持っていた。
「少し目を離すと居なくなるから驚いたよ。
兄は迷惑かけないと判断されると好奇心に従いますよね。で、一緒に撮りませんか?
せっかくの華やかな衣装をしているのですから収めたいの」
「ああ。構わないよ」
「やった!あっ、コホン。
あっー、そう。アイドルと個人的に撮ったとネットで投稿なさないようにお願いしますね」
「はは。もちろん」
腰に手を当てて前傾の姿勢で不要な行動をしないようにと注意喚起な言葉を言った。
先程までみせた喜色満面な反応を隠そうとしているが時はすでに遅し。どれだけ言葉を並べても最初に表に出したのが本音なのは明白。
(なんだか立場が逆のような……でもいいか。
他に気になるなぁ。立食なら
フライトでの揺れる原因として考えられるのは乱気流だけど。それを避けて快適を優先しているはずとみて取れるけど他にも要素があるかな)
そう考えながら笑みを作って猫塚さんと並んで写真を撮る。本来ならアイドルとツーショットなんて垂涎ものはずだけど不思議と喜びが湧かない。
アイドルに興味が無いというもよりも年が離れているからかもしれない。またはその両方か。
「あの兄!明日よろしければ私と二人だけで……花見をしませんか」
「ああ。それはもちろん構わないよ」
「や、約束ですからね」
そういうが早いか猫塚さんは撮ったカメラを持って離れていく。同世代と話に加わろうと輪に入っていくの背を眺めていながら俺はなんか迂闊な返事をしたのではないかと省みて、これはデートの誘いではと遅れて気づくのであった。
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