第192話―ヒヨ・サファイアの優雅な参拝―

朝の食事。せっかくの家族団欒なのだ。わたしは長いテーブルの端にでも座ろうと腰掛けると席を立つ義妹に手を引っばられ隣席に座らせる。

サファイア家は海の外側から富裕層。ペネおねえちゃんが日本に在住することに大変に満足されてから居住地として立派な館を構える。


「えー、では一同が揃ったところで乾杯」


「アナタこれは家族円満な席なのですよ。されは相応な言葉なのかしら」


「仰る通りであります。よし娘が揃ったし盛り上がるぞ」


……もはや子分ような義父に憐れさえを覚える元旦。去年から作って保存おせち料理。テーブルに食べきれないほど並べられて用意されている。

夫婦コントが終わると手を合わせ「いただきます」タイミングを合わせて異口同音と感動句を口にするのだった。

それから家族総出で参拝はどこにするかと話題を持ち出す。向かわれる場所を決めたのは――

興福寺こうふくじ

奈良県の登大路町のぼりおおじちょう建立こんりゅうされた法相宗ほっそうしゅうの本山となる大きな寺院。


「中世では大きな勢力として猛威を振るわれた興福寺。今からワクワクされますわね」


まだ気品を維持している義姉ペネおねえちゃんは箸で豆を口に運ぶ。


「なんと、しちだいじ一つ」


姉に教えられたのか義妹の小学生は拙さの残る言葉をいう。漢字に変換すれば南都七大寺一つ。

応仁の乱でも当時のお坊さんが記された書物が資料として研究されている。世界遺産に登録もされており所蔵する仏像の寺院では日本一でもある。地蔵職ような荘園しょうえんも所有もされ興福寺は、それだけの権力あった。


(わたしは本当の家族じゃないから総出といわれると肩身の狭さを感じざるえないけどね)


食事を終えてから参拝の支度をはじめる。侍女に手伝ってもらい鮮やかな黄色の着物を袖を通す。

もう高校生なのに元気にあふれるカラーなのは自分の性格とはミスマッチだけど拵えたのなら文句はいえない。姉妹からは「わたくしの目は間違いなかった。とても愛らしいですわよ比翼」「宝玉のようですわ!ですわ」。そして夫婦にも褒められる嵐の賞賛を受ける。

人が良すぎるし、心がホワホワとなる。

――興福寺の途中まで高級車で移動。使用人の九分九厘お暇をいただく人は多いがグレイスさんのような一部の人は断って働いている。

とはいえ流石に身を粉にするのもよくないので運転手も兼ねるグレイスさん家族に加えて参拝。


「おぉー五重塔がある」


「おぉーそうなのだ。我が娘の比翼ここの塔はなぁ墓標なのだ。お釈迦様の遺骨が納められており昔はそれがステータスの象徴だったのだ。であって遷都に伴って藤原不比等ふじわらふひとが移されて興福寺と変更されたと歴史があるのだ」


語尾にやたらと「だ」が多い。

義父はあまり歴史には得意では無い。この日のために事前に調べたのだろう。

――五円玉を投げて賽銭。祈った後わたしたちは、おみくじを引いた。わたしの今年の運勢は。


「小吉だ」


吉と中吉の間にあたる順位。吉よりも運勢は高い方ではあるが小踊りをついする喜びがわくことなく別段これに悲しく嘆かれるものじゃない微妙な感じであった。


「わたくしは大吉」


次期当主として期待されるペネおねえちゃんは最高運勢を引いた。

さすがですわ、おねえちゃん。


「わたしも大吉だよ。グレイスは?」


「ええ、私も大吉でした」


トリプル大吉が引いたのかスゴイなぁ。

そしてサファイア家の当主と子分の運勢はと、おみくじを開くのを黙って見守る。


「吉。フフッ良くも悪くもない結果だわ」


最高権力者サファイア当主は吉。


「いいか娘たちよ。こういうのは聞いたことがあるのだ。おみくじの中は幸先が良くなるようにと凶の紙が昔より減らしていると。

そう余程のことなければ凶は引か……ない。

な、なんだと!?大凶を引だとッ!!?」


渋く解説しながらも結果が散々で滑稽なことに、わたしたちは笑って爆笑の渦に包まれる。

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