第176話―下っ端から王に成り上がる世界最強の王を象徴するオオサカ・キャッスル弍―
そびえ立つ建物の別名は
にしきの城と呼ばれるが一部の資料には金城とも表記される呼び方は同じ。だが錦城が一般的な別名。
「うわぁー圧巻でしたね。先ほど石垣とても壮大なスケールで言葉を失いました」
東からの東面から高く積まれた石垣を見上げて感じたことをそののまま口にする人気アイドル猫塚さん。
その威厳の高さは日本一の約三十二メートル。
まだ中央の城へ入る前に猫塚さんは満ち満ていた「兄とたくさん写真も取りました。
それに友達もピースした。
青春が今ここに残した」と彼女らしい言葉にどこか寂寥感を感じずいられなかった。
「あらら、ネコネコやっぱり兄ちゃんと写真に幸せみたいだね。
ボクらと撮るよりも」
からかう笑みを浮かべながら腕を後頭部に回して組まれて並んで歩く不死川さん。
「ええっ、違うよ。そんな誰かが撮れたなんて良かったなんて、紬も撮れて私は嬉しかったよ」
「くう、まさかのストレートな言葉。
これ心にきて調子が狂うなぁ」
頬をわずかに桜色に染める。そっぽを向きながら独白か返事を返す不死川さん。
「あっはは。ときどき照れていて可愛い」
「可愛いくないっ!」
「紬はどう?本丸まで少しだけど結構ここを回ってみて良かったところあった」
「基本的にそんな話題されても困るけど……ボク的にはタコ石かな?兄ちゃんとヒヨリンがやたらと説明していたほうが驚いたけど」
まず通過するところまで触れないといけない。観光を訪れてきた人が本丸を向かおうとして入口をくぐろうとする南門がある。
ここが正門ゲートとも言わんばかりな威風あふれる作りの南の門こと桜門。
その桜門をくぐった先にあるのは蛸石だ。
積まれていた石垣とは違い単体の石だ。
その巨石を目にした者は肝を奪う。
「フフ、たしかに。あの二人の勢い凄かったね。
では比翼が良かった場所をお聞きしたいです」
「今日は好きな人といるからなのかグイグイと来ているなぁ。わたしは――」
「す、好きな人といるなんて関係ないよ!」
呆れながら応えようとして遮るように時を移さず否定をした猫塚さん。ただ上擦った声なせいで二人はニヤニヤとしている。
それが余計に顔を赤らめた猫塚さんは、顔をうつ伏せる。それとこちらにチラチラと視線を向けてくる。きっと無意識なのだろうけど視線に気づかないようにするのは何気に難しい。
「勝手に説明を始めてなんだけどそこまで好きじゃないんだよね」
「えっ、そうなの以外」
ややオーバーに驚く不死川さん。
「けど石垣や堀は好きだね。
あれだけの規格外はなかなか無いからね」
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