第127話―多々ある陰謀論は不安を除くため原因をぶつけるため―

ラブコメというものは現実から大きく極端に逸脱いつだつしたストーリーとされる。

そこで三十サーティーを迎えたいい大人である山脇東洋やまわきとうようはこう考える。

ラブコメがここまで長い間も衰えることなく愛され需要の高さがあるのはひとえに理想的な世界と出来事があるからと主張したい。

主張したいけど具体的にどこで主張するか決めていないのと現在は思っているだけにある。

ある種こうして惹かれてしまうのも理想化された世界を求めるから所以なのだろう。とどのつまり夢のある世界に浸かりたい。

そういう傾向や心理の治療があるとも考えているが、これは令和に生きる山脇東洋という一個人の見解だ。これを見当違いであると過ぎないかと捉えるかラブコメという求めるなにかを追求したなにかと受け取るかは自由。

さて、そうしてラブコメという時代に沿った追加定義を考えていた山脇東洋いまの俺はシャウトしたい気分にいた。


「ま、まずい……何を書けばいいのか。

思いつかないし浮かんでこない」


テーブルの上には立ち上げたノートパソコン、その液晶画面に映るのは白紙。ただの白紙だった。


(くっ、リアル恋愛ばかりしていたからなのか何も浮かんでこない。

ラブコメって一体なんなのか分からなくなって来た。ああー、どうしよう。

ラノベ作家として成功するサクセスストーリーを描いているのに。その妄想は膨らんでも肝心のヒロインとデートが浮かばないなんてぇぇーーーっ!?)


かなり皮肉な話だ。

そうなったと思われるのはある……付き合っている彼女や真奈たち。

映画を観たり買い物したりと十代後半ハイティーンがするであろう時間を過ごして絆を深めてきた。

でもデートするだけラブコメのシチュエーションという展開や繰り広げて多くの読者層からうらやむようなものが見えなくなった。

彼女たちが非がないのは分かっている。こんなことでつまずいてせっかくのデートを活かせない自分がわるいのだ。

そう思うと余計に、進ま鳴らずキーボードに向けて指を構えるだけの滑稽こっけいな自分の姿が白紙の奥で投影している。

そんな鬱々うつうつたる気持ちでいるのは良くないと考えて2階の自室にいく。


(ラブコメ何年も書いているのに見えてこないなあ。片付けでもして気分を変えないとならないかな)


とはいえ掃除するような汚れがないので本の掃除でもしようと始める。

ほとんど汚れがなくて掃除というよりも清楚を終えると腕を伸ばして伸びをする。

その後にスマホを確認、もしかするとメッセージが送られているからと考えたからだ。

今では手元に置くのが当たり前なスマホを居室を置かずに距離を置いたのは創作活動の集中力の妨げとなるからである。

やはりと言うべきか数時間後にはメッセージ

の数は尋常じゃない。とくに付き合っている彼女の冬雅ふゆかの数が最も多い。

とりあえず返事をするかと文字またはスタンプで返す。すべて答えれない場合は、スタンプで文字の代わりに利用している。

そうしているとピンポーンと来訪を報せる音。


「今日は冬雅はイラストに専念しているから訪れないはずだろうけど、誰だろう?」


すべて対応するのを諦めて俺はスマホを置いて玄関に向かおうと歩く。

階段を降りるとピンポーンと二回と鳴り、

靴を履こうとして三度目のピンポーン鳴る。

ふむせっかく性分しているね。

ドアを開けると中央に立っているのは花恋かな


「東洋お兄ちゃん何をしていたの。連絡しても無視するから直々に来てやったわよ。

まったくドア開けるのも……おそーーいッ!」


「はは、ごめんごめん」


カジュアルな格好をする女子高生。

腰を当てながら頬をパルーンのようになる勇敢的な彼女の名前は広岡花恋ひろおかかな

言動からして誤解されがちだが意外にも清楚である。整った容姿からも内側も。


「笑っても手心を加えたりしないから。

ほら、それよりも東洋お兄ちゃん行くよ!」


「それは構わないけど……どこに?」


「説明は道中で。レッツゴー!」


急かされたので、そのまま家を出るのだった。

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