第71話―マナも百の質問する③―

ユーチューブに投稿するため型通りな撮影しないための一環として場所を変える。

防音があって撮影に問題ない所を話し合った結果がレンタルスペースのある施設。


「ボクのために集まってくれて、まずは謝辞を申し上げさせてもらう。

それでは堅苦しい挨拶はこのあたりにして

速攻!光のスピードで嵐のごとく

ゲームをやろうと思いまーす!」


その日ために準備してきた不死川さんは、いつもよりも高揚と楽しそうな笑みで言った。

こんな気楽な言葉をしていはいるけど、俺たち一人一人と視線を向けられる瞳には真摯さと感謝の気持ちが込められている。

これが俺から見えた幻覚のようなものかもしれないけど。


「ふわぁー、前置きは終わったようだし。

さっさと始めて終わらせて本命を進めよう」


目覚めたばかりみたいに椅子から立ち上がって腕を真っ直として伸びをする香音。

不死川さんは隣で今から作業を始めようとする調子に困ったように笑う。頓着ないとした態度されると怒りよりも清々しくある。


「もう、やる気がないにも程があるんだけど。あっ!もしかしてボクのこと好きなんだ。いい大人の女性なのに不器用だな。

幼少期で好きな相手を惹かせたいのに困らせる迷惑な行為やつ」


「はあぁー?」


「きゃあっ!?ユー、ユーモアジョークです。まさかシバタお姉様にそんなこと言う訳ないじゃないですか。あっははは!

ボクは、ずっと美人で天才シバタお姉様を慕っていますよ。ホントーです」


好き放題とする不死川さんが、女の子らしい悲鳴を出した。隣に座っているのが香音で鋭い眼差しで睨まれたら俺でもすくみ上がる。


「もういい。目を合わせないで心もない口をきわめて褒められても嬉しくないから。

早くしないと本命が遅れるから」


「ボク的には、これがメインなんだけどなぁ」


あの二人のやりとりからして気になる言葉をする。これだけではないような……ここで動画を撮影するためだけではないことなのか?

気にしながらも向かいで座っていた俺と真奈も撮影準備に取り掛かるのであった。

未だに機材の細かい仕組みを知らないならがも接続だけ知りながら付けていく。

ここを借りて会議をするであろう長机には機材が置かれ端にはカバンなどの入れ物。

その収納して持ち運べる物から不死川さんはゲームを実況するためのパッケージを出す。


「やっぱりこの人数でやることといえば、

マリオパーティ!スーパースターズだあぁ」


この日やるのはマリオパーティシリーズ。

スーパースターズは2021年の秋頃に発売されたゲームで、すごろくゲームになる。

このゲームは大人数で盛り上がりたいときやファミリー層を基本的には楽しめられるだけではなく、最近ではオンラインで楽しめたり一人でも遊べる。

どの世代にも人気が高く、ゲームに疎い方でも知る人は多い。

これをどう視聴して楽しめるか腕が掛かっている。なら、みせてやろうではないか。この日のために鍛えた技を!

とっておきのテクニックを披露しようとしたが――


「……バ、バカなあッ。スター三倍で勝利をするだとッ!?何故このような天地の差が」


真奈の前ではそれは児戯じぎに等しいことを痛感させられた。しかもミニゲームでは真奈が四人の中で全勝して不動の一位となった。その順位を覆せるような手段はなく

パーフェクトゲームを決められた。

こんなゲーム結果になったことをリアルタイムで観ていた視聴者は『身内でなんか芝居をしているぞ』『ワイこのゲームよくするんだが、こんなことならないぞ。普通なら』『なにか不正とかしてんだろう』などネットの中にいる人たちは誰も信じようとしなかった。

当然だ。どんな腕を持っていても膨大なミニゲームで全勝は、ありえない。


「いつもなら運を左右されず頼らないゲームをたしなむのだけど、たまにはこういう平和なゲームもいいですねぇ。

フフっ、また皆とゲームしたいよねぇ」


「そ、ソウスネ」


頂点としての一位が決まったようなゲームを続けるのは、なかなか盛り上げにくい。

序盤では逆転勝ちしようと夢をみていたが神には勝ってるはずがない。途中から心をくじいた同士で争うことになる。

勝敗も二位になることが一位になることと同義となってしまったゲーム。

そんなミニゲームさえも無敗を達成させた真奈の作り出した一人のプレイヤーによる新たなるルールを三回も遊び終えると、不死川さんは「今日はここまで。みんな最後まで、途中から見てくれてありがとう!

パートナーの無敗伝説をまた観たい方や挑戦する人は、いいねボタンと高評価ボタンを」と決まり文句を言いながら区切りをつける不死川さん。

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