第60話―黄金パーソナリティ―
姿見で、わたしは明日の勝負服どれにするかと悩んで立ていました。黄金週間、またはゴールデンウィークと呼ばれる連休が始まりました。時間の調整を取りやすい大学生活に、それにときめいたりする魅力のある響きを感じませんが、お兄ちゃんと迎えるとなれば別です。
黄金週間わたしの中では特別で大事なものです。映る姿見の前で色々と来て懸命に選ぶのは、一人ファッションショー。
わたしのお兄ちゃんからメッセージが届きました。時刻は夜が深くなる23時です。
「わあぁー。お兄ちゃんからこんな夜遅くから連絡してくれるなんて……えへへ、ドキドキします」
なんでしょう。こんな時間なのでお兄ちゃんから寝る前に、通話モードにして遠くから愛を囁いてイチャイチャするのでしょうか。
いえ、これに違いないでしょうねぇ。
もし夢中になって通話を切らずに通話中ですと、眠気に負けてしまった彼氏……お兄ちゃんの寝言を聴きながら眠れます。
そうなれば擬似的な添い寝。
よし!そうしましょう。また勘違いであっても夜の逢瀬を遠くからの通話に流れになるよう誘導してみせます。
けど、わたしの恋愛いっぱいの花畑は吹きすさぶ台風によって散り散りとなる衝撃を受けます。
「えっ、真奈と関係をリセットしたって」
簡潔に記されていたのは真奈の実家に訪れて、真奈と父母を相手に付き合えないことを旨を説明。それは今朝から聞いていました。
てっきり無事に終わったから、こんな夜分に連絡してきたのだと思いました。
もし、お兄ちゃんが危機的なことになっていたら真奈が何もしないわけがありません。
時間が経過するに対比して真奈から連絡が一切ないことに安堵していきましたが、こんなことが起きていたなんて思いもしませんでした。
(お兄ちゃんどうして、そんなことを……
まだ真奈の心を整理するためにも付き合うままじゃないとですよ。
その選択は時期早々ではないですか……)
不思議な感じでした。わたしのために、関係を不倫などの懸念を払おうとしてかもしれませんが、そのために真奈の関係をリセットしようとするのは……どれだけ苦しんでいるか心配で潰れそうになりました。
だって、同じ人を好きになっているのです。お兄ちゃんとわたしのために真奈は奔走して幾度とお世話になっているのです。
もし、わたしが逆の立場ならと想像するのも容易。もし振られたら泣き叫びますよ立場がわたしなら。
「真奈になんて声をかければいいですか。今後どうしたら……また、お兄ちゃんからメッセージ決めした。えーと……ええぇーー!?
今日は真奈の家で泊まるって、どうしたらそうなるんですかぁぁぁーー。
わあぁーーッお兄ちゃん」
これをシンプルな文書にしたのを目にして心は不安が爆発して叫びました。夜遅かったので、ママから怒られました。
そんな不安を抱えながら明日を迎えます。
「よし、直に真相を尋ねてみよう!
……ついでに同じ部屋で寝たのかも」
色々と聞かねばならないことが出来ました。
イチャイチャの五月デートは保留にして、シリアスデートにランクを下げた予定にします。
では突入します。とはいえ勝手に入るのも味わいがないのでインターホンを押して待ちます。
「こんにちは冬雅。それじゃあ中に」
「はい!こんにちは、なのです。
今日は控えめにイチャイチャしましょう」
「えっ?そ、そうだね……控えめ」
怪訝そうにしていますが応える余裕ありません。いつものように、後についてリビングに入るとソファーに座ってアニメを見ている美しい女性がいます。
「真奈!?ここにいて平気なのですか」
昼過ぎの居室では真奈いたことに、びっくりしましてが何故ここにいるのか疑問が湧きます。
どうして?わたしが近寄って訊くと真奈は上品に笑いました。
「見抜かれてしまうんだねぇ冬雅は……平気とは言えない。ワタシの恋は終わりました」
諦念のある声でした。そこに座っているのは悲哀であふれている粛々と振舞おうとする女の子。わたしは抱きしめて励ましたくなりました。
「真奈……」
「お兄さんのお嫁さんになれない。
受け入れるまで時間が掛かります。なら、せめて最高な友達としての枠なら空いています」
みなぎる真奈。ソファーから立ち上がった真奈は目が萌えており力強くて揺るぎないものがありました。替わるようにして、わたしがソファーに座って真奈は回って語ります。
立ちながら語ると演説を聴いているような気がしますねぇ。
「そ、そうなんだねぇ」
「ワタシ聞いたの。お兄さんの大親友が飢えていることを。でしたら、その枠はワタシしか存在しません。お兄さんのことならなんでもしていると自負していますし、お兄さん
のためならなんでもします。
お兄さんの初めてをいっぱい体験させる。そんな大親友になると決めたんだ」
「そ、そうなんだねぇ……あ、あはは」
言葉の
なによりも真奈は心配していたほど落ち込んでいなく元気そうで幸いでした。
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