第33話―ネコネコネコ・エアードライブ―
窓越しから見る外の景色は芸術家が描いた
ような青と白。
その美しく心を奪われる群青の天空がキラキラが、どこまでも広がっていた。
(はは、まさかこんな俺がプライベートジェット機になる日が訪れる日が来るとは…夢にも想像もつかなかった。
……現実の景色なのに現実じゃないみたい)
自由を地で行くペネお嬢様から直々にと案内され行けばプライベートジェット機に乗っていました。
まるで空のドライブ。
どこか他人事のようには感じて、乗った先程の記憶が夢か現かとあやふやな程に頭の中で漂っている。
「いかがでござるかお兄様。空の天井が|地面のような敷地のほどは?」
「ああ、感動している。経済的に優しい席にしか着かない身としては最高だよ。
特等席で優雅にこうしていられるのは」
「ふふっ、それは何より」
正面を向いてサファイア家の令嬢さんは満足したように微笑んでいた。
サファイア家からすればこの空域も敷地なのかもしれない。
実際ここを通過するものが無い。あるとすれば羽をはばたかせている鳥ぐらいだ。
上空どこまで高さか分からないが窓枠から広がる空は、とりあえず雲が体当たりする高度。
窓から見ていた視線を前に戻す。正面には、ペネお嬢様が腰掛けているとはいえテーブルが挟んでおり2メートル少し先に距離がある。
ソーシャルディスタンスを徹底している。
「フッフフ!東洋お兄ちゃん、まだまだ田舎者だな。これぐらい都会人なら当然でしょ」
声は左側の席。片手にワイングラス(中はライスジュース)を優雅に手にして足を組んでいた
「花恋それは、ちょっと無いかなと思うけど…。でも、こうしていると快適で仕事や学業の疲れが取れていいですねぇ」
足を揃えて優雅に寛いでいた現役アイドル兼JKである
ネコネコが腰掛ける位置はペネお嬢様から隣で花恋から正面にある。
2メートル以上とある距離感の空間が保っていた。
それだけではなくパーソナルスペースも。
それはともあれ同じJKとはいえ三人は本当に仲がいい。仲が良くなるのは難しいはず。
立場や性格、身分まで違うというのに絶妙なバランスで成り立っているようにも感じる一方で引力に惹き付けるような運命の結び付きのようにさえ隣にいて感じる。
(活発でスポーツ少女な花恋。
サムライ好きの好奇心の塊のペネお嬢様。
向いている方向や違う道を歩んできた三人。
善きかな、善きかな。こうして仲睦まじくしているの眺めていると穏やかな気持ちになる)
変に気負っていない。
サファイア家の財力に対して利己的な欲を湧いてくるものだけど現に二人はこうして寛いでいた。
環境が違えば…これが友達だと、さも一般論のように述べて施すのが当然のような横暴さや特別視とした緊縮になることもなく当たり前のように接する。
感謝してそれ以上を望まず普段通りに接している。
ある意味、この二人は大物かもしれない。
俺の方は身近に真奈というスペシャリストがいるので耐性がついている。
それからの時間は快適な機内を楽しんでいたら、いつの間にか着地を開始しますとアナウンス。
降りる場所はサファイア家の別荘にある屋上。
もう麻痺しかない。そんな規格外なことを聞いても「へぇー」しか声が出なくなった。
無事になんのトラブルもなく屋上に着地。
荷物を持ってタラップに降りていく。
さあ、京都に来たぞ。
「古来から時代の
京の都に布陣しましたあぁぁーー!!」
最後にタラップから降りたペネお嬢様は腕を高々と上げてマックスなテンションで叫ぶ。
ではお嬢様を連れて高い別荘の中へと入るとしますかとドアを開けてエレベーターに入り1階のボタンを押す。
移動している間に三人は楽しそうに
エレベーターのドアが開くと数人の列が赤い絨毯の左右で並ぶように立っていた。それも入口まで進んでいる。
圧巻とも呆然なる俺と花恋に猫塚さん。
猫塚お嬢様は慣れた様子で歩いていく。
これ普通だと認識したら何かおかしくなりそうだと俺は自分にそう聞かせて主人の後を追う。
別荘って高層ビルも入るのかなと俺はドアをくぐり抜けて振り返ってみて思うのだった。
そして出迎えたのは中だけではなく細長い車が待っていた。えっ!まさかこれで行くのか!?ペネお嬢様は「さぁ、参りましょう」
とお嬢様然としたセリフで促していた。
3人はもう慣れた様子で車内へと進む。ふむ、どうやら入るのか入っていいのか?
恐る恐ると中に入ると発進しました。
車で移動なのは、どうやら途中まで。途中から降りて後は徒歩でいくようだ。
歩きながら談笑していると疑問は浮上する。どうして高校生である彼女たちに俺のようなオッサンいるのだろう。
呼ばれて来たから来ただけで彼女たちを楽しませる自信が無い。
(それにこの荒唐無稽なアイデアからきた観光だって花恋のためだしなあ……)
不適人ではないかとペネお嬢様の隣まで近寄って目配せを送ったがキョトンとされ笑顔で返された。
花恋を耳に入らないよう注意して目の瞬きや向きで伝えようとしたが普通に考えて困難。
ペネお嬢様は、とりあえず微笑んで対応。
終わってからスマホで伝えればいいかと今は花恋を楽しませようと考えた。
あと疲れている猫塚さんも。
ルートは大原へと行く途中で
「わぁー、東洋お兄ちゃん思ったよりショボイんだねニャンニャン寺」
「失礼だよ花恋」
勝手に寺院だと思っていたが、そうでもないのかと内心そう俺も感じていた。
「これは、なかなか」と玄人なペネお嬢様は頬を弛めている。上級者だね。
いざニャンニャンジへ。
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