第2話

 2等宇宙船舶操縦士であるぼくだってコンセンサスのないままに暗黙裡にみるみる先鋭化してゆく政体にはうんざりしている。政治だの思想だのむずかしいのは苦手だが、現況政府が排他政策を極端に重視して銀河内世論の統制のために思想犯の締めだしを強化しているくらい知っている。


 ついでに言えば、頭蓋が異様に肥大する公人たちが、母胎妊娠によって産まれてくる旧銀河系列の子孫たちを粛清しはじめていることも知っている。高度な組織機構と膨大な情報網を飽和寸前まで駆動させて、大銀河内すべての知的生命体をあまねく管理しているという。


 ぼくにもマリーにも番号がわりふられている。そう、名前なんてない。ぼくたちは記号。公人たちに管理される対象の一部分。交換可能な機械部品。単なるロット番号だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る