四章 ドキドキ!? 巨乳美少女達と夏旅行!

第71話 いざ孤島の別荘へ!

「みてみてハル! 目的地の島ってあれかな!」

「到着の時間まで、まだ結構あるだろ。絶対違うって」


 俺はソフィアと一緒に、クルーザーの甲板から、とある島を眺めながら声を弾ませた。


 え、こんなところで何をしているのかって? 実は、西園寺家が所有する島に、クルーザーで向かっている最中なんだ。


 どうしてそうなったか。ソフィアの両親が無事に帰国して少し経ったある日、西園寺先輩から来た連絡がきっかけだ。


『来週、二泊三日で我が西園寺家が所有する島の別荘に行くんだ。毎年恒例で行くんだが、よければ磯山君達も一緒に行かないか?』


 といった感じのお誘いが来たわけだ。当然断る理由もなく、こうして世話になった次第だ。


 場所についてだけど、クルーザーで二時間ほどで到着する孤島らしい。


「それにしても、風……気持ちいね~。あ、あそこで魚が跳ねたよ!」

「……そ、そうだな」


 キラキラと輝く金色の髪を抑えながら呟くソフィアの横顔があまりにも綺麗で、俺の心臓が無意識に大きく高鳴った。


 すごいな、世界中で有名な絵画よりも、トップクラスの女優よりも輝いて見える。まるで女神のようだ。


「ハル? なんか顔赤いけど大丈夫? もしかして熱中症!?」

「いや、大丈夫だから! 落ち着けって!」

「ならよかった~。玲桜奈ちゃん先輩の別荘って、どんな感じなのかな?」

「想像もつかないな。西園寺家の家がとんでもなかったから、別荘もかなりのスケールだと思う」

「ふふっ、君達の期待に添えられればいいんだが」


 ソフィアと楽しく話していると、西園寺先輩がやってきた。また女神が増えてしまった。


「玲桜奈ちゃん先輩! 今日は誘ってくれてありがとうございます!」

「なに、礼には及ばないさ。私も友人と一緒に行くのは初めてだから、心が躍っているよ」

「俺も凄く楽しみです。そうだ、ゆいはどこに?」

「まだお楽しみの最中だよ。あそこまで喜んでもらえると、こっちも嬉しくなる」


 西園寺先輩の視線の先――クルーザーの船内がのぞける窓から、おいしそうにご飯を食べまくるゆいと、どんどん料理を用意してるシェフの姿があった。


 相変わらずゆいはめっちゃ食べるな。しかも幸せそうに食べるから、見てる方もほっこりしてしまう。まさに女神。


「ゆい、おいしいか?」

「陽翔さん! はい、すっごくおいしいです……!」


 船内に入ってゆいに声をかけると、すぐに反応してくれた。その目は、アトラクションを前にした子供のように輝いている。


「陽翔さんも一緒にどうですか……?」

「俺はさっき食べたから、もう大丈夫だよ」

「そうですか? 残念です……」

「ゆいは旅行楽しみか?」

「はい! 旅行もそうですけど……船に乗るのも初めてなので……ワクワクします!」


 旅行も初めて……そうだよな。あんな親のもとで育っていたら、旅行になんて連れていってもらえるとは、到底思えない。


 そう思うと、ゆいとこの旅行を目いっぱい楽しみたいと、心の底から思う。


「旅行、楽しもうな!」

「陽翔さん……! はい! そのために……たくさん食べて、元気にならないとです……!」


 そう言うと、目の前に置かれたステーキを口に運ぶゆい。すると、さっきからニコニコだった顔が、もう蕩けに蕩けきってしまった。


 なにこのかわいい女神。持って帰ってずっとおいしいものを食べさせてあげたくなる。


「す、すごい……口の中で溶けちゃった……陽翔さんも食べてみてください!」

「そこまで言うなら、一口貰おうかな」

「ぜひ! はい、あーん!」

「……お、おう……あーん……」


 テンションが上がりまくってるせいか、狙ってるのかはわからないが、ゆいはステーキを俺の口元に運んできた。


 いつもソフィアにやられてるときはツッコミに回れるんだが、相手がゆいだと強く言えなかった俺は、そのまま素直に口を開いた。


 うわっ、すげぇホントに溶けたんだが!? 今まで食べてた肉は何だったんだ!? ゴムだったのか!?


「本当においしいな。たくさん食べな」

「はいっ! もぐもぐもぐ……はぁぁぁ……おいしぃ……」


 再び食事に没頭し始めたゆいを暖かい目で見てから、俺は再び甲板に戻ると、ソフィアと西園寺先輩が楽しそうに談笑していた。


 女神が揃うと美しさが二倍どころか、百乗くらいになっている気がしてならない。え? 大げさ? そんな事は無いぞ!


「あ、おかえりハル~。ゆいちゃんどうだった?」

「めっちゃ幸せそうだった」

「そっか! ゆいちゃんが幸せそうだと、アタシも幸せになっちゃうな~」

「その気持ち、めっちゃわかる。それで、何の話をしてたんだ?」

「ああ。着いてからの事を話していてな。着いたら海水浴に行こうと思うんだが、どうだろう?」

「い、良いと思いますよ?」


 海水浴って事は、三人共水着になるって事だよな……。俺、理性を保てるか? いや、きっと大丈夫。なにせ、俺は水着よりももっと凄いものを見させられてるしな!


 ……大丈夫、だよな? なんか不安になってきた。


「実は、ハルに内緒で可愛い水着を買ったんだ~! これでハルをメロメロにしちゃうから!」

「おわっ!?」


 ソフィアは可愛らしくウインクをしながら、俺の腕に抱きついた。薄着だからなのか、ソフィアの柔らかさがいつも以上にダイレクトに伝わってくるんですが!?


「ソフィアさん、ハレンチなのは控えるように!」

「そんな事しないよ~」

「全く説得力がないんだが……まあいい。一応別荘に一通りの水着はあるから、気に入ったのがあったら是非着てほしい」

「すごっ!? さすが玲桜奈ちゃん先輩!」


 嬉しそうに小躍りするソフィア。気持ちはとてもわかる。


 それに、俺としては……この旅行で、誰に気持ちを伝えるか決める、良いきっかけになりそうだしな。

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