第235話 異世界4カ国会談 10月下旬

<<リン・ツポネス国 4カ国会談会場>>


ここ、第1世界と定義される世界には、第2世界と同じように、友好国同士でつるみ、連絡を取り合い、政治・経済・軍事的に協力し合う組織がある。

この世界はスタンピードもあれば、戦争を仕掛けてくる困った国もある。基本的価値観が似ている国が接近するのは極自然なことであった。


ラメヒー王国、マガツヒ・マガライヒ魔道王国、リン・ツポネス国、そしてエンパイアの4カ国は、同盟関係とも言える合い柄で、毎年スタンピード箇所が確定した段階で4カ国会議を開催する。


4カ国会議の開催箇所は、毎年変更になるが、今年の会場はリン・ツポネス国のとある港湾都市であった。


この会談は、政治、経済、そして軍の責任者などが参加し、様々な案件が話合われる。


今回の重要案件は、ラメヒー王国東部で発生した超巨大スタンピード転移門の対策。それから、『魔王の魔道具』の発明。異世界への相互転移が可能になった件についてである。


「さて、今年も無事に4カ国が集まれたこと、嬉しく思います。会談を始めましょう」


ホスト国、リン・ツポネス国の第一王子が会談の開始を告げる。その王子は、褐色の肌をした青年だ。その後ろには、同じく褐色の肌をした肉感的な女性と、白い肌でブルーの瞳の男性が立っていた。


会議は先に通常案件に始まり、その後に重要案件について情報共有と今後の方針が話合われる。

もちろん、事前に実務者協議は行われているが、この世界の政治は、トップが持っている権力が強く、このような会議の場で物事が決定することが多い傾向があった。


・・・


通常案件は殆ど報告のような形で終わり、重要案件に移る。


「それでは、重要案件に移りましょう。ラメヒー王国のスタンピードの対処についてです。今年は、マ国との国境付近に通常クラスが1つ。そこまではいいのですが、東の果て、リン・ツポネス国側の地に過去類を見ないほど巨大なスタンピード転移門が3つも同時に出現しております。まずはラメヒー王国側の対応についてご説明ください」


議事進行役は、引き続きリン国の王子だ。


「ラメヒー王国軍務卿である。彼の地は半年前のスタンピード発生地点とほぼ同じバルバロ平野である・・・敵の悪意を感じておる。我が国としては、急遽、軍を再編しておる。退役軍人の復帰、予備兵の招集、学徒兵、ハンターズギルドからの転用、民兵の登用、なんでもやるつもりだ」


「話は少し前後しますが、異世界からの支援はどうなっていますか?」と、リン国が質問する。


「我が国が呼んだ異世界人の国家は、日本国という。かの国は軍隊を他国に派遣することを非常に嫌う傾向がある。魔術が使えない軍隊がどれくらいモンスターに対処できるか不透明な部分もある。そこで我々としては、先に魔道具の材料となる金属を輸入しようと考えている」


「ほう。生産のめどは立っておられるのでしょうか?」


「うむ。我が国の至宝、ロングバレルより若干性能は劣るが、ほぼ同機能の性能を発揮する金属材料をいくつか発見している。現在、外貨獲得も行っており、購入費も問題ないだろう」


その時、一人の女性が口を挟む。


「貴方達は冶金技術が大好きですものね。でも、趣味に走るのは少し待って。今は時間が重要なの」と言った。体がとても細く小さな女性だ。


「エウシュリー殿。分かっております。材料は近日中に決めて、直ちに量産体制に入ります。目標員数は、ロングバレル級八千挺と考えております」と、ラメヒー王国の軍務卿が答えた。


エウシュリーと呼ばれた女性は、とても小柄で華奢な体格をし、その美しい金髪から覗く耳は、細長かった。今会議のエンパイア代表が彼女である。彼女の後ろにも数名が立っている。そのうちの一人は、であり、坊主頭で穏やかな笑みを浮べている。


「なんと、八千挺。それはまた・・・」と、マ国の軍師から呟きが漏れる。


本会議のマ国代表は軍師だ。

だが、今回は『魔王の魔道具』が議題に上っているため、オブザーバーで魔王の副官、すなわちイセも参加している。


「かの国の工業力からすれば、可能な員数と見ている。もちろん、貴方方の懸念は理解している。ロングバレル急魔道兵器八千挺のうち、二千はリン・ツポネス国に差し上げる。スタンピードが終われば所有数が同じになるように売ってもよい」と、ラメヒー王国軍務卿が言った。


ラメヒー王国は、自衛以外の軍事力を持つことを放棄している。その代わり、不測の事態には周囲3カ国が守っているのだが、今回は史上空前規模のスタンピードとあって、虎の子の大砲八千挺を計画するに至った。しかし、そうなるとリン・ツポネス国を刺激することになりかねないため、自主的に軍事バランスを取ろうという配慮である。ラメヒー王国は、そうやって国際社会を生き抜いているのである。


「かの地のスタンピード転移門は、我が国にも近い。恐らく、飛行するタイプは海峡を渡り、我が国にも来襲するだろう。ロングバレル級なら非常に助かる。我が国の東には、困った国もあることだしな」と、王子が言った。


リン・ツポネス国はラメヒー王国と違い、戦争中の国が東方にある。エンパイアと協力して追い払っているが、なかなかしつこい国が相手のようである。


「今回、『魔王の魔道具』のお陰で、魔力補給要員が不要になる。空いた彼らと抜刀隊、それから攻撃魔術が不得意な者達をロングバレル隊とする予定だ。その中には、貴族以外の人間も登用するつもりだ」と、ラメヒー王国軍務卿が言った。


「ほう。貴族以外の軍人か。確かに手数を増やそうと思うとそうせざるを得ないだろう」と、エウシュリーが言った。


「ロングバレル級は、オリジナルと同じ射程数キロの近距離型、それから射程十キロ程度の中距離型も作成可能と見ている。だが、遠距離型は作成が難しく、員数が揃わない可能性もある。今後の研究が待たれる。攻略作戦については専門部会で詰めたい。それに、もう一つの戦力である魔道飛行機であるが、これも何とか間に合わせたいと考えている。空爆は魅力的だ。今ようやく数十機分ほどの魔石が入手できたところだが、このペースで行くと数百機分は集まると思われる」とラメヒー王国サイド。


「ああ、あれだけの転移門だ。どういうモンスターが出てくるか予測が付かん。飛行型も多数出るだろう。魔道飛行機は多い方が良い」と、マ国の軍師が言った。


「魔道飛行機は、次の議題でもあります。先に協力体制について話合いましょう」と進行役のリン国王子が議論を戻す。


その時、態度と尻の太さが参加者随一の女性が口を開く。


「ラメヒー王国の穀倉地帯が潰されてはまずい。我がマ国も協力は惜しまぬが、我が国には首都ハチマンの隣に巨大門。ラメヒー王国国境付近に普通クラスが1つじゃ。間が悪いことに、神聖グィネヴィア帝国のスタンピード転移門は、小規模が2つだそうだ。過去最少クラス・・・確かに、悪意を感じるな・・・」と言った。


今回のマ国の代表は軍師だというのに、口を出さずにいられなかったようだ。


「エンパイアもそうだイセ殿。こちらは巨大門が3つ。首都と港湾都市、それからリン・ツポネス国との国境だ。逆に女神教連合国家達の領土には極端に少ない。ま、勝てば大量の魔石を手にする事ができるがな」と、エウシュリーが言った。


「スタンピードから取れる魔石など、大した価値は無いことが分かってきているぞ。エウシュリー殿。まあ、これも次の話だがな」と、イセが返す。


「まあまあ、我がリン国は、部隊を3つに分け、エンパイア国境とラメヒー国境と、他に湧いた1箇所に当てます。ラメヒー王国からいただいた火力はラメヒー国境の方に配備することを約束しましょう」と、リン国王子が言った。


「我がエンパイアは魔力の供与くらいしかできぬ。地理も離れておるでな。それに、大陸の困った奴らの国は、発生したスタンピード転移門は小規模だったことから、ドサクサで3月中に我が国に攻め込んで来る恐れがある」と、エウシュリーがやれやれと言った感じで応じる。


「いえ、ありがたいことです」とラメヒー王国軍務卿が言った。


「マ国からの支援は、神聖グィネヴィア帝国攻略作戦次第である。が、西部戦線で大勝したこともあり、これは勝てるだろう。それでだ。ライン国境の通常規模の門は、戦力の9割はマ国から出す。バルバロ平野の方は、グ国から鹵獲した大量の移動砦の改修次第だが、そこそこの数は出せるだろう。それから、魔道飛行機は量産計画を立てている。ある程度数は揃うだろう。魔石さえ準備できれば、ボディを譲渡することも可能だ」とはマ国の軍師。


「航空部隊はリン・ツポネス国としてもありがたい。それでは次の重要案件に移りましょう。『魔王の魔道具』ですね。お手元の魔王の論文は、秘密厳守でお願いします」


会の参加者の手元には、極秘情報である魔王の論文が配布されていた。だが、これは原理や基礎的研究で、魔道具そのものの制作方法は秘匿されている。


「『原始の炎』か、その存在は明らかであったにも関わらず、実態が掴めなかった魔術の深淵。それがついに手が届く所に来たと言うことか。素晴らしいな。我がエンパイアでは、すでに魔石ハントが始まっている。貴族どもが死蔵させている観賞用や調度品用の魔石も買い取りを始めておるぞ」と、エウシュリーが言った。


「おいおいエウシュリー。やり過ぎると敵にばれるぞ。慎重にせよ」と、イセが言った。


「分っておるわ。イセ」と、エウシュリーが応じる。すでにため口になっている。


「とにかく、この存在のお陰で今度のスタンピード討伐にも光明が見えてまいった。ロングバレルの配備数もこの魔道具あってのことだ」と、ラメヒー王国軍務卿が言った。


「ええ。リン・ツポネス国も早速魔石ハントを始めています。この魔道具によって、移動砦の利用方法も多岐に亘るようになるでことでしょう」


「しかし、魔道具の製作自体はマ国が独占か。まあ発見者に利益が行くのはかまわぬが、あまり欲張りすぎるなよ。マ国よ」と、エウシュリーが言った。


「ふん。分っておる。戦況次第ではエンパイアにも魔道飛行機を流す。その辺りは、すでに手打ちになっておる」と、イセが言った。


「さて、次は魔道飛行機です」と、リン国の王子はすまし顔議題を進める。


「エンパイアから一言言わせてもらおう。この魔道飛行機。これはまずい。これは、ほぼ既存の技術で出来ている。反重力発生装置は従来からあった。それを100年以上の長寿モンスターの魔石を使うことで出力を安定させ、それを4つ並べて連動させることで、実用的な立体機動を可能にする。その発想と発見は素晴らしいものだ。だが、構造が簡単である以上、必ず模倣されだろう」と、エウシュリーが言った。


「エウシュリー。その通りではある。だが、すでに実用化されてしまっておる。それを踏まえて議論するべきじゃ」と、イセが諫める。


「ふん。少し嫉妬しただけだ。まさかこんな単純な発想でこれだけの機動が出来るとは。これまでの飛行装置とは全く質が異なる。これまでは単に上昇するだけ、若しくは真っ直ぐ飛ぶだけの代物だったからな。後は、術者が反重力魔術で操っていた」


「なまじ魔術でなんでもできるからこそ、基礎的な研究がおろそかになっていたということだ。反省せねばならん」そう言って、イセは会議室の後ろに目線を移す。


この広い会議室には、黒と赤のカラーリングのファイターと、ガンメタリックのマルチロールが無造作に置かれていた。


「異世界にあった技術を元にしておるそうだぞ?」


「それは聞いた。我が国は勇者召喚により情報収集を行ってきたが、確かにヘリコプターの情報はあった。しかし、これはそれとは違う技術のようだ。我が国の情報力が甘かったとみるべきだろう」と、エウシュリーが言った。


「それでな、すでに知っていると思うが、先の西部戦線で神聖グィネヴィア帝国の主力に奇襲攻撃を仕掛けた。結果は大成功であった」と、軍師が言った。


「報告は読ませてもらっております。移動砦は古代兵器2基を含む約50基の鹵獲に成功。多数を破壊。さらに地上軍もほぼ壊滅とは。つい先日も20基程度を鹵獲しておられたというのに」と、ラメヒー王国軍務卿が言った。


「これら鹵獲した移動砦は、同盟国諸君にも分けようと考えている。これから、移動砦の役目は多岐に亘ることだろうからな」と、軍師が言った。


「おお。移動砦をそんなに気前よく・・・」


「それに関しては素直にお礼を言うよ。移動砦というものは、例の魔道具を取り付けたら、全くの別物になる。戦争に使うなんて、もったいないと思えるほどに。まさか、真の意味での無属性魔術の具現化に成功するとは・・・『魔力の根源は皆同じである』。以前より理論上は分かっていたことだ。しかし、その真理を解き明かし、さらに魔道具化して実際に無属性魔力の貯蓄に成功するとはな。これで、魔道研究も一気に進むだろう」と。エウシュリーが得意げに言った。


「この、いわゆる『魔王の魔道具』すなわち、『高効率魔力変換装置兼魔力備蓄装置』を様々な魔道具と組み合わせることで、レアな魔力を持続的に使用することが、安価にできる」と、リン国王子が言った。


「そうだ。それゆえ、今の優先事項は魔石ハントだ」と、エウシュリーが言った。


「さて、ここで一つ問題がある。実は、魔道飛行機、このマルチロールタイプが1機敵に奪われたと思われる」と、イセが言った。


「なんと! それでは、模倣は早いだろうな」と、エウシュリーが言った。


「だが、『魔王の魔道具』の神髄である親機は付いておらん。魔道具の模倣は無理だろうが、飛行技術と、『魔王の魔道具』の機能とその材料は解析される恐れがある」


「魔石ハントを急がねばならぬ。それから、対空戦術だ。飛行機が襲ってきた場合の対処を考えておかねばならん。急いで予算を付けて研究させよう。手伝えよ、イセ」と、エウシュリーが言った。


「分かっておるわ。研究は始めておる」


「新しい議題が増えましたか。これからは対空戦術の研究も進めて行きましょう。次の議題です。これは異世界の相互転移が可能となった件。これはマ国の魔王がその手法も含めて開発されたとか。実際に異世界から人・物・金が入って来ている。その状況について、ラメヒー王国からどうぞ」


「うむ。我が国が呼んだ600人の日本人達が帰還事業を開始した。そして、今現在・・・・・・」


ラメヒー王国の担当者が淡々と説明を続ける。


・・・・


一通り説明が終わると、再び議論が始まる。


「ひとまず、日本国との国交樹立はラメヒー王国に任せよう。その後は、余所の国に行かれる前に、マ国やエンパイア、そしてリン・ツポネス国で囲ってしまいましょう」と、リン国の王子が言った。


「ああ。現状、公式な『パラレル・ゲート』があるのは、ラメヒー王国のサイレンだけだ。エンパイアからは高官を派遣しておく。しかるべきタイミングで異世界の国と関係を持ちたい」と、エウシュリーが言った。


ゲートの件に関しては、エンパイア、リン・ツポネス国が、サイレンに臨時で使節団を派遣することが決定した。



・・・・


本日の会議後。


「イセ。ちょっとよいか。話がある」と、エウシュリーが廊下を歩くイセに後ろから声を掛けた。


「おう。なんだエウシュリー。今から夕飯の時間なんだがな」と、イセが歩みを止めて振り返る。


「なら、うちの大使館に来い。お前達の安ホテルより、うまいものを食わせてやる」と、エウシュリーが言った。


「ふん。魔道飛行機はやらんぞ」


「1台貸して貰えれば造れるわ。そんなもん。別の話だ」と、エウシュリーが目を細めて言った。



・・・・

<<エンパイア大使館>>


「これが異世界の酒か。気に入った」と言って、エウシュリーは、イセがお土産に持ってきた異世界のブランデーを呷る。


目の前のテーブルには、贅を尽くした料理が並べられている。


「で? エウシュリー。話とはなんじゃ? 酒が飲みたかったのか? まだあるぞ」


「ふん。お主、どうやってここに来た?」


「あん? お前と一緒に歩いて来ただろうが」


「今ではない! お主、昨日までは何処にもいなかったではないか。一体どこから出てきた?」


「空間移動だ」と、イセがさも同然のごとく言った。


「そうか。お主の国にも空間移動が使える魔道士が出てきたか。今回はよっぽど忙しかったのか? そんな貴重な魔術を浪費するなど」


「そんなところだ。私は忙しいのじゃ。おおそうだ。少し気になっておることがあったな。知っていたら教えてくれ」


「ん? なんだ? 改まって」


「エンパイアの勇者、今日も来ておっただろう?」


「そうだな」


「ヤツの、出身国は何処だったかと思うてな」


「ん? マ国が勇者の故郷を気にするのも珍しいな。ヤツは、C国出身だが?」と、エウシュリーがきょとんとした顔をして言った。


「そうか・・・やはりな。だが、C国でも色々あるだろう。C国の何処だ?」と、イセが鋭い目をして言った。


「ん? 何処? いや、何処だったか、あ、い、う、うぃ、た、た、たい、ち、ちぃ、て、てぃ・・・ううむ、忘れた。C国でいいではないか」と、エウシュリーがにぱぁと笑って言った。


「お前に聞いたわしが愚かだったな。済まん、謝罪する」と、イセが言って、深々と頭を垂れる。


「そんなことより、魔王の魔道具。まだ秘密にしておることがあるな? はけオラ!」と、エウシュリーの表情が邪悪に歪む。


「そんな可愛い顔で凄まれても怖くはないぞ? だいたい何だ、その秘密とやらは」と、イセは笑みを浮べる。


「ふん。私を舐めるなよ? あの論文、指向性の無い魔力の存在の発見。これは、基礎研究を積み重ねた末の結論では無い。まるで最初から答えを知っているかのような正確さで確認されている。一体どうやって書いた? どこでこの魔力の存在を知った!」と、エウシュリーが凄む。


「さて、どうしよっかな~~というか、今回、何でお前が来たんじゃ・・・エンプレスはどうした」と、イセがため息交じりに言った。


「やっぱ、知っとるな? このデブ鬼が!」


「おや? わしは美巨乳かつ美尻じゃ。この、ロリババア」と、イセが言った。


「何だって? ロリババア?」


マ国とエンパイアは言語が異なる。そして、何故か『ロリ』という言葉は翻訳魔術が働かないようだ。


「異世界で、お前みたいなヤツをそう呼ぶらしい。敬意を込めてな」


「嘘だ! 少なくとも敬意は込もっとらん!」


「ぷっくく・・・ロリババア・・・なんと秀逸な・・・よし。今日からお前はロリババアじゃ」と、イセが余裕の笑みを見せる。


「がぁああああああ~~~」「しゃらくさい。そしてうざい」


ロリババアと呼ばれた小さな女性は髪を乱しながらイセに掴み掛かる。

しかし、イセに余裕で避けられ、軽くあしらわれる。

その髪の隙間から覗く耳は、細く尖っていた。


こんな会議が、1週間に渡って行われる。

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