第169話 魔族のおっさん、白状する

「はあはあ、やめてkるえっみおgpえ・・・・・・・・・・・・!!!」


 魔族のおっさんがギブアップした。そして途中で壊れた。

 もう何言ってんのか分からない。

 泣きじゃくって漏らしまくって。

 上も下も駄々洩れだ。

 こんなメタボおっさんの醜態、誰得よ?


 まあニッチな需要はこの際無視して、いったんおっさんから話を聞き出すか。

「お――――い、俺の言葉は分かるか?」

 お、反応あり。うんうん頷いている。


「よしよし、俺の質問に答えてくれたら、さっきのような事はしない。」

「た、頼む!何でも言うから助けてくれ!」


 お、喋る事が出来る様になったな。

「よし、じゃあおっさん、まずはあんたの名前と本当の目的、それにあんたが何者か知りたい。」


「しゃ、喋ったら介抱・・してくれるのか?」

 うん?解放ではなく介抱か?

 何故に介抱?

「お、俺の名は碇△ンジ、ネ■フに所属している。」

 俺は頭を思いっきり叩いた。うわ、触っちまったぜ!

「エ◇ァネタはやめろ。」

 するとおっさんは目を見開いた。

「何故エ◇ァを知っている??」

「残念だがここに綾◎はいない。当然☆スカもだ。」

 自分しか知らないとでも思ったか?愕然としたのだろう。ぐはははは!!

「お、お前も日本からやって来たのか?」

「ほう、あんたは日本から来たのか?俺は日本から来たのではない。」

 嘘は言っていない。何故ならば俺は転生したからだ。

「くそ!あの神共のせいで俺は死んだんだ!この世界で頑張れば世界がよくなると言っていたのに!よりにもよって魔王の側近だぞ!なんで勇者になれなかったんだ!」


 どうやらこのおっさん、日本から転移してきたらしい。俺と同じく日本で神のミスで死んだようだ。

 ただ俺と違うのは、日本で生きていた時の身体のまま、この地にやってきたという事だ。何で俺は転生だったんだ?

「俺は勇者になれると聞いていたんだ!それがどうだ!魔王の側近だぞ!完全に隷属化されて身動きが取れんし。仕方なしに魔王の駒として動いていたんだよ!」

「で、何で今まで喋らなかったんだ?」

「は?何でこっちの奴に喋らないと駄目なんだ?俺は選ばれたんだ!それが神の手違いで!くそくそくそ!実際はさっきまで自分の意志で口を開けなかったんだよ!」

 うーん、想定外の正体だ。どうしたらいいのかわからんぞ。


「まあいいや。あんたの本名と年齢を教えてくれ。何年前にこっちに来たの?」

 すると今度は本名を喋ったようだ。

 名前はどうでもいい。歳はたぶん51とか。もう20年程この地にいるらしい。だから年齢はたぶんみたいだ。

 だからエヴァネタだったのか。

「あんたは既にこっちで隷属化されている。もう魔王とやらの命令には従う必要は無いんだろう?」

「あ、ああ、そのようだ。感謝する。」

 感謝してもあんたのやった事をなかった事にはできないし、どうすっかなあ。



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