第158話 土で囲ってしまおうそうしよう
ジンの指摘があった魔道具は、パッと見では何の変哲もない水瓶だった。言われなければ気が付かないぞ?
で、この魔道具の恐ろしさは、この魔道具の近くについうっかり精霊が近づくと、今まで発動していなかったのにいきなり発動する事だ。しかも微妙に遅れて発動するらしい。
それで先ほどシルフとジンはやられたのだとか。
シルフが水瓶のすぐ近くを通ったらしく、ジンはシルフより若干遅れ気味で移動していた。この為水瓶を模した魔道具が発動した時、ジンはシルフより近くに居たのだとか。
本来であればジンの方がよりダメージが大きくなりそうなのだが、そこは精霊としての格の違いで何とか持ち堪えたそうな。
しかもシルフは自らミスを犯した事を悟り、ジンが巻き込まれるのを防ごうとしたのか、何とかしようと無理やりジンの所へ向かう。この魔道具は不幸中の幸いとでもいうべきか、精霊を暴走させるのが目的ではなかったようで、精霊の力を吸収していたようだ。
シルフが身を挺してジンを護って・・・・つまりシルフは本来ジンの吸収される分まで吸い取られてしまうのだが・・・・この間にジンは吸収され尽くす前に脱出できたのだとか。
【最初は余裕だと思っておったのだ。だが吸い取られているうちに身動きできなくなってしまったのだ。そこにシルフが現れ盾となってくれ、その瞬間動くようになり、そのまま勢いで魔道具の範囲から脱出をしたのだ。】
ジンが魔道具を目の前にしてそんな事を言っているが、
「吸収されたって、力だけか?」
【ああそうだ。シルフは全ての力を吸い取られ、消えてしまった。】
「それと今は発動していないんだな?」
【発動しておらぬし、仕組みも凡そわかった。今となっては他の魔道具の位置もすぐにわかる。ただ、止め方はわからぬがな。】
「俺には仕組みも止め方も分からないから、取り敢えず俺の【土】で囲ってしまうぞ。そしてそのまま地中深くに埋めてしまおう。解決したら改めて何とかする。一応確認すると、ただの水瓶にしか見えないが、あれを壊したらどうなると思う?」
多分水瓶を持ち上げて、手を放せば割れると思う。
【精霊が居ない場所でやってくれぬか?爆発しては敵わぬ。】
結局【土】で囲って、そのまま地中深くに埋めていった。
これを4ケ所行った。
そして5ヶ所目。ここで俺は気が付いた。
これ、
つまり水瓶を配置してある場所自体に何かあるんじゃないか、という事だ。
俺は最後の1個は他のよりもさらに深く沈めた。しかも上下逆さまにして、だ。
そして忘れてないのはダミーの設置だ。一応それぞれ方向も向きもバラバラにしてある。
最後の仕上げとして置いてあった水瓶と同じ姿の物をこしらえて、設置。
これを仕込んだ奴が異変に気が付くかどうかはわからんが、見ただけでは分からないだろう。
そしていよいよヤーナの出番だ。
「精霊をここに置いておけばいいのね?」
「そうしてほしい。もしこの水瓶に何かをしようとする奴がいたら、知り合いだろうと容赦なく襲ってほしい。」
「それ、大丈夫なの?」
知らずに近づく事もあり得るか。
「じゃあ知り合いだったら何もせずに知らせてもらう事は出来る?」
「それぐらい容易いわ。下位の精霊に頼めばいいのよ。」
さて、罠も仕込んだが、これって他にも仕掛けがあったりしないのか?
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