第152話 やはり盆暗共は持っていた!
俺があの盆暗共に何を期待しているのか不思議に思ったのではないかな?
確かに初見で帰れとは言った。
だがあいつ等は帰らない。それどころかずっと居座るつもりだ。
ではどうすれば?有効利用すればいい。
それまでの間に色々とリサーチはした。
あいつ等の性格、好み、性癖・・・・性癖は特に女のだが・・・・食べ物の好みや酒の好みまで調べた。
そこで導き出されたのは、さりげなく周囲と隔離させたうえで、つまり元領民の目に触れないようにと言う意味でだが、そこまでしてからヤーナ達の兄や姉、あの人達のお付きに協力してもらい、貴族の令息・令嬢として扱うふりをし、まずはその気にさせてしまう。
これがまず必要。
貴族としての扱いを受けていると感じると、それだけで何故かフレンドリーになるのだ。そして羽振りがよくなる。
やがて本住まい用の住居が完成し、引っ越してもらった。今までは仮住まいだったからな。
盆暗共のお付きはいたって普通の使用人だ。
その使用人達には盆暗共の領地での対応と同じ対応をするよう、密かに伝えてある。
例外は子分扱いの子爵令息・令嬢達だ。子分と言っていいのかわからんが。
で、ここからが俺の気が変わった理由だ。
盆暗共の親は皆伯爵。
それも国王が伯爵共を切るに切れない、重要な何かがあるらしい。
この伯爵共もやはりどうしようもないクズなんだとか。
そんなどうしようもない3人の伯爵だが、
何を?金と色々な【何か】らしい。
金は分かるが【何か】ってなんだ?
1人目の領地での【何か】とは、どうやら特定の地域でしか育たない植物から採れる【何か】らしい。
これがあるので切るに切れないのだとか。
何だと思うよな?食べ物なのか、麻薬の類なのか?それとも布にしたり出来るような植物なのかって。
気になったから調べたが、ぶっちゃけ綿のような糸を紡ぐのに適した植物だった。
2人目の領地での【何か】は鉱山だ。
どうやらミスリルが豊富に埋蔵されているらしく、ロッベモント王国最大の埋蔵量だとか。
3人目は塩と言っていた。
やはりロッベモント王国最大の塩の産地。
塩は重要だからな。
で、色々思ったが糸ねえ。そんなに他の領地では手に入らないのか?
結局の所は布だろう?布から服をこしらえるのか?
そう言えば俺はこういった知識が無かったが、そんなに重要視する事なのか?
つまり俺の【土】があれば、特定の地域でしか育たない植物でも対応できる土を用意できそうなんだが。
ミスリルはどうなんだ?と、思わなくもないが良質な武具を得るには必要不可欠で、一般兵と違い騎士には軍事的に必要なのだとか。
注:クーンが作成した剣と盾はミスリル製を遥かに凌駕する性能。切れ味耐久力等全てが上。
最後の塩は何となくわかる。
【異世界あるある】定番だよな。
で、この3領はその特殊性から金をしこたま貯めているという話らしく、案の定盆暗共は支度金という名目で、親が大量に金や物を持たせたらしい。
そう、大金を持っているんだ。
ついでに馬車の中には結構な量の素材が詰め込まれていたりする。
俺の狙いは双方だ。
しかも向こうから使わせ、放出させるのが目的だ。
で、盆暗共が今どうしているかと思えば・・・・
1人目は武器だ。武器を眺めてニヤニヤしている。
2人目は無駄にグルメらしい。
3人目は・・・・
「きゃあ!分かるぅ?流石はS級ねえ!」
「そうでしょうとも。私は最初から分かっていましたよ。貴女からは伯爵(令嬢)としての気品がありますもの。」
破壊女は上手くやっているようだな。
どうやら伯爵令嬢の実家は糸の産地らしい。
後の2人は分かるよな?
グルメは塩、武器はミスリルだ。
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