第126話 滅んだ領地跡を確認する

「お前達だけにこんな事はさせられない。俺も行こう。」

 人を募ったら、真っ先に親父が立候補した。

 但し家族の残りは居残りらしい。

 万が一があると、誰かが守らないといけないので、そんなに領地跡には行けないらしい。


 ある程度腕っぷしのある連中と、土魔法を使える連中を中心に候補者から選抜していく。


 結果的に、20人程が一緒に向かう事になった。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 クツーゴ領があったと思われる場所にやってきたが・・・・見事に何もない。

 建物の残骸などがあるかも?と思ったのだが、それすら無いとはこれいかに?


 とある元領民は、


「ここまで何もないとは、かえってやりやすいじゃないか!開拓するのに邪魔だった大岩すらないんだ、農地はとにかく、住居用には適していないか?」

「区分けがやりやすいじゃないか!計画的な街づくりが出来るってなもんだ!」

「おいおい、ただの貧乏な村からいきなり街か!はははは!」


 たくましい。一度は命以外の全てを失ったというのに、皆の表情は明るい。


「よし皆、まずは道を作ろうじゃないか!」

 誰かがそう言った。

 道を作ると言っても、やみくもに作ったんじゃなあ。

「そういう訳だクーン、天馬に乗って、道がどこから残っているのか確認してほしい。」


 親父の話だと、やはり適当に道を作る訳にはいかないので、今ある道からほぼ一直線で伸ばしていくのがいいだろうと。


 結局俺が向かう事になったのだが、

「何かあったら心配だから、私も一緒に行ってあげるわよ。」

 ヤーナが一緒に来てくれた。



 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・



 確かこの辺りだよなあ。

 何がって?

 元クツーゴ領の、領地の端っこの事なんだけどさ。

 まあ何もない更地になっているから判断は難しいが、もう少し先か?


 で、ありました。

「それじゃわからないでしょ!」

 ヤーナに怒られた。

 つまりあれだ、道があったんだ。


 領地との境でスパッと道が無くなっている。

 ポチ達はツクーゴ領だけを破壊したんだな。

「なあヤーナ、この道をまっすぐ伸ばせばいいと思うか?」

「当り前に決まっているでしょ!ほらさっさとする!」


 ええ?今からするの?

「分かったよ、ヤーナ。上から見ていてくれないか?」


「いいわよ、でもどうするの?」


「まず細いのを作る。その後真っ直ぐだったらその場所を本格的な道にしていく。」


「分かったわ。見ていてあげるから早くしなさいよね!」

 何故かせかすヤーナ。

 慌てても真っ直ぐな道はできないぞ?


 そして俺は試してみたが・・・・


「もう少し右よ!」

「左にそれたわ!」

「道幅が一定していないわよ!」


 何度もヤーナから【マテ】がかかり、その度にこの言われよう。

 真っ直ぐな道、俺は甘く考えていたようだ。

 うん、意外と難しい。




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